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母「都のお婆ちゃん家に行こうと思うんだけど、都はどうする?」


突然、母から告げられた。


都「行くけど、どうして?」


母は昔から何も言わず、急にお出かけへ連れて行くような人だった。

今回も少し県外に出るくらいなんじゃないか、と思った。でも予想はほんの少し違っていた。


母「お婆ちゃん家、少し遠くてね。其れと凄く田舎で10日間居る予定だから直ぐに帰る事出来ないの。」


都「行きたい、お婆ちゃんに会ってみたい。」


母「都がそういうなら行きましょう、夏休みの間でいい?」


勿論、と答え部屋へ戻る。

其の時既に心が高鳴っていた。






美味しい空気を肺いっぱいに吸い込む。

私が住んでいる街では味わえない何かが此の田舎に、自然にあった。


都「凄く綺麗な所だね」


母「えぇそうね。都、もう直ぐバスが来るから荷物準備しておいてね。此のバスに乗り遅れたらもう暫くバスは来ないみたいだから。」


うん、と頷きまた空気を吸う。何度行っても脳が、身体がスッキリする。

都会生まれ都会育ちの私はこんな風景なんて絵でしか見たことがなく、生まれて初めての感覚。


都「此れからお婆ちゃん家?」


こんなに素敵な所なら余計胸が高鳴る。

楽しみで仕方がないのだ。


母「そうよ、お婆ちゃん家に行って挨拶をするの。その後は、そうね、自由に動いて探検して来て。」


都「もちろんっ!」


嬉しくてあと9日が惜しい気がする。






都「じゃ、いってきまーす」


そう言い、母と祖母に手を振る。

家から飛び出て、唯只管に歩く。

何れも此れも美しくて、自然と笑みが止まらない。


「君、何処の子?」


後ろから急に話し掛けられ、身体が硬直する。


都「此処の人じゃないの。お婆ちゃん家があってお母さんが帰省、?みたいな感じです」


敬語とタメ口をぐちゃぐちゃに混ぜ、人見知り乍も問に答える。


「ふーん?そっかぁ、御名前なんて言うのっ?」


無邪気に笑い、納得してくれる。

なんだか優しくて好きな雰囲気を纏っていた。


都「みやこ!都会の都でみやこ!」


夜憂「そっか、俺はよう。夜に憂いで夜憂っ!どうぞ宜しくね。」


人見知りなんて知らないような性格がキラキラしていた。


都「夜憂くん、?でいいのかな、どうぞ宜しくお願いします」


律儀にお辞儀をし、夜憂くんが微笑む。


夜憂「此処の人じゃないんだよね?今日はもう暗いから明日とかになるんだけど、此処紹介とかしよっか?」


都「いいのっ?是非お願いしたいなあ」


私が歩くよりも、地元の人なら私の倍は知っている気がしてテンションが上がる。

今からもう楽しみだ。


夜憂「じゃあそうしよっか。明日また此処で!」


都「うん!また明日っ」


そう言い、お互い帰路に着いた。

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