渡辺が可愛くて仕方がない岩本。
今日はもう一組のカップルである目黒と阿部も誘って4人でいちご狩りにやって来た。
フルーツはビタミンも豊富だし、いちごは野菜と変わらないらしいと美容仲間から聞き齧った渡辺が珍しく乗り気で行きたいと岩本にねだった。
実際の手配やスケジュールの調整は『やって』という渡辺の丸投げで岩本が腐心したが、いつものことなので気にならない。
知り合いのいちご農園にお願いしてみたら、快諾してもらい、今日の遠出が実現した。
渡辺が運転したい!と主張したので、助手席には岩本が、後部座席には目黒と阿部が座った。近頃よく運転しているだけあって、渡辺のハンドル捌きは思ったよりスムーズだ。
それでも残りの3人が盛り上がって話している話題に入れないことが続いて、『つまらん、やっぱり代わって』と、途中のサービスエリアで渡辺は岩本と運転を交替して貰っていた。
ビニールハウスに充満する甘酸っぱいいちごの香り。いちごは今まさに旬を迎えていて、生い茂る緑の葉の隙間のあちこちから、赤い実がたわわになっているのが見えた。
食べ切れる量にしとけよ、と岩本から注意を受けたのに、テンションが上がっている渡辺はどんどんと大きく赤い粒を、持っている籠に放り込んでいく。
目黒と阿部は二人で仲良く手分けをしながら程よい量を収穫していく。時々食べさせ合ったりして、とても仲睦まじく見えた。
面白いくらいの対比に、岩本が感心して見ていると、いつのまにか隣りに来た渡辺が、岩本の口に大粒のいちごを押し込んだ。
💛「むぐっ……」
💙「甘いだろ。照もちょっとは参加しろ」
渡辺は悪戯っぽく笑って、再び目黒たちの方へ走った。
💙「めめ、阿部ちゃん、それっぽっち?俺はねぇ…」
得意げに渡辺が見せた籠いっぱいのいちごに、目黒たちから物言いがつく。
🖤「しょっぴーが取りすぎでしょ」
💚「翔太それ食べ切れるの?」
💙「………考えてなかった」
頭を抱える渡辺の、まあ、でも冷凍すればもつんじゃね?という苦し紛れの反論が聞こえる。新鮮ないちごを食べてもらいたい農家さんの苦笑いが見えた。岩本にとってはそんなやりとりも愛おしくて、いつまでも抱きしめていたいような、甘い思い出になりそうな日だ。
帰りも岩本が運転した。
高速道路に入って、変わり映えしない景色の、単調なドライブになってきた頃、助手席にいた渡辺は眠ってしまった。
🖤「岩本くん、しょっぴーが可愛くて仕方がないんでしょう」
💛「超可愛い。二人ともちょっと聞いてくれる?」
前夜からの渡辺のはしゃぎようを岩本は緩んだ顔で説明してみせ、目黒と阿部は普段の渡辺からは想像がつかないようなあまりのギャップに笑いながら話を聞いていた。恋人が寝ている隙に、密告する岩本も面白い。
お世話になった農園の方に頼んで4人で撮ったいちご畑の前の写真は、秋になるまで、渡辺の携帯の待ち受け画面になっていた。
おわり。
コメント
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ひーくんのしょっぴー溺愛の話聞きたーい💛💙 ひーくん目尻下がってかわいい顔してそう🥰
とても穏やかで胸がジーンとなって涙が出てくる^^ ひーくんの自慢話で口角は上がりっぱなしw