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すの短編2

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すの短編2

8 - 泣けない 🧡💙

♥

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2025年04月02日

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初めて繋がった時、俺よりも康二が喜んで、泣いた。俺は腰から下が強張って、うまく笑い返すことができなかった。肉体を引き裂かれる痛みが強く、下半身が本当に千切れるかと思ったのだ。


🧡「しょっぴー、痛かった?俺は気持ちよかったで。ありがとう」


泣いている康二に何も言えなくて、俺はひたすら痛みを堪えながら枕に顔を埋めていた。泣き虫康二は、ズルい。それが俺たちの初夜の記憶だ。


康二は一緒にいると、


🧡「なんで俺なんか選んでくれたんや」


と必ず言う。

好きになるのに理屈なんかないのに、しつこく聞いてくるから、いつも俺は同じ答えを返す。


💙「わからん」


本当にわからないのだから、仕方がない。これを聞くと康二はいつも泣きそうな顔をする。


康二は俺に愛され続ける自信がないと、もっと言うと、『いつしょっぴーに捨てられるかわからへん』と不安がっていた。そんな時にはいつも少しだけ優越感を感じた。


康二にうっとりした目で、「綺麗や」と言われるたびに、背中がぞくっとするような快感を憶える。康二の目は時々、本当にファインダーみたいに俺を切り取っているように感じた。今ではいっぱしのカメラマンとも言える康二は、作品を見定めるような熱っぽい目で、俺をよく見ていた。


俺はカメラを構える康二が大好きだ。


カメラ越しに被写体を睨む康二はやけにセクシーで、かっこよくて、そして、男らしくて、俺はいつもそれを見ると、決まって抱かれたくなるのだ。


俺も、同じ男のはずなのに。

胸の奥がたまらなく切なくなる。


💙「康二、今日はしてくれる?」

🧡「ええの?」

💙「康二が欲しい」


遠回しな誘い方もわからず、ストレートに求めることしかできない俺は、康二の目からどう見えていたのだろうか。



初めて。

この前、本当に初めて。

とある理由で康二に拒否された。


💙「康二…。何を言ってるの?」

🧡「ごめんやけど、しょっぴーへの気持ちが、わからんようになった」

💙「なんで…」

🧡「俺、照兄のことが好きかもしれん」

💙「…………」


康二はまた、俺より先に泣いていた。


俺のことが大好きだと、俺に捨てられそうでいつも不安だと言い続けた口と同じ口で、康二は照への愛を語る。俺はそれを受け入れるしかなく、康二に先に泣かれたことで、泣くことも許されなかった。


💙「わかった」


あらゆる感情を飲み込んで、俺は康二との別れを受け入れた。



照と康二がその後どうなったのか、知りたくもなかったし、知る必要もないと思っていたが、 ある時、家に帰ると、マンションの前に康二がいた。


💙「何してんの」

🧡「間違えてん」

💙「は?何を?」

🧡「照兄に言われたわ。俺のこと好きじゃないだろって」

💙「あっちがダメならまたこっちか?」

🧡「そうやない!」


康二は俺の言葉を遮った。


🧡「俺と照兄、一度は付き合うたんや。でも、俺はすぐに間違いやとわかった」

💙「だからそれが勝手だって言ってるんだよ……」


俺はいつのまにか涙声になっていた。

あの時流せなかった涙が、堰を切ったように今、溢れてきている。康二が驚いている。なぜなら、俺が初めて康二の前で涙を見せたからだ。


康二は俺を抱きしめた。そんなもんで許すか、と腹が立ったけど、意思に反して、俺の身体は康二の体温を強く求めていた。懐かしい匂いに、鼻の奥がツン、となった。


🧡「ふらふらして、ごめん」

💙「康二の……ばかっ…」


おいおい泣く俺を、康二は泣き止むまで抱きしめてくれた。本当に馬鹿みたいだけど、一旦裏切られても、俺もまだ康二が好きなのだ。




康二のものを久しぶりに舐める。喉を鳴らして、できるだけ深く飲み込んだ。

康二も、俺の気持ちのいいところをひとつひとつ、愛おしむように丁寧に愛した。


💙「こうじっ……こうじっ……」


離れてからもずっと、康二が欲しくてたまらなかった。熱っぽい目で、俺だけを見てほしかった。康二のものが、俺の口の愛撫で達し、欲望を吐き出してすぐ、康二は俺の後ろを求めた。


🧡「ああっ……やっぱり…これや」

💙「こうじ、こうじぃ……っ」


太さはないが細長い康二の、奥まで届くいやらしい腰つき。俺は気持ちよくて、腰を振り、恥じらいもなくよがった。


💙「あっ、あっ、きもちっ、いいよぉ……」

🧡「しょっぴー、俺の、しょっぴー」


乾いた皮膚同士がぶつかり合う音が室内に響きわたる。康二がイク寸前に、俺の右肩に鋭い痛みが走った。そして肩に噛み付かれている間、ドクドクと、康二の精が俺の中に注がれているのを感じた。


💙「康二、もう離れないで」

🧡「もう離さへんよ」

💙「こうじぃ……」


涙腺が緩み、涙が止まらない。

康二は俺の頬を伝う涙を、舌で舐め取った。


🧡「愛しとる」

💙「俺も、愛してる」



康二にしっかり溺れているのは、俺の方だった。






おわり。

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コメント

16

ユーザー
ユーザー

しょっぴーかわいそうだーー😢 でもやっぱりまきぴよさんのしょっぴーめっちゃ可愛い☺️💙

ユーザー

こーじズルい💢💢別れを切り出しながら泣くなんてズルいよ‼️あっちがダメならまたこっちか‼️の部分共感した でも最終的にはお互いじゃないとダメだってわかったなら本当に大切にしてね。このひーくんってもしかしたらこーじに本当に大切な人を気づかせる為に受け入れたのかな?それだとしたら本当に大人だ^^

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