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「この覆面たちは一体…」
「これは、不名誉なことに僕の村人たちだ 」
チタニーはそれを聞いて、私の手に手を伸ばそうと縋り付いてくる。
「コリエンヌ、私にも見せて」
私は真実を彼女へ渡そうと身をかがめた。
「いや、それは彼女には見せない方がいい」
ドルの制する声に、私はハッとした。やはり彼女へ写真を見せないことにした。
「ごめん、チタニー。やっぱり私は、君にこの真実を見せたくない気持ちが勝る」
「そんな…」
悲しみに満ちた彼女の声に、固まりかけた覚悟が揺らぎ初める。けれど、やはり真実をこんな幼い子に見せるのは私だって辛い。その気持ちにピン留めをして、私は彼と向き合った。
「それで、この写真の意味はなにかな」
彼が息を飲むのが分かった。その真剣な顔つきに嘘は無かった。
「こいつらが今日、おそらく時間は日が沈む頃。大勢でこの花園を焼け野原にするとの話を耳にしたんだ」
僕は耳を疑った。
「そんなまさか。こんなに広大な花園を焼ける訳ないじゃないか」
私は、花園を見渡した。私の見える範囲全て、花が咲き乱れている。私の背後も余すことなく、咲いている。ましてやここには、遮蔽物となるような森林が周りを囲っている。この花園は、外壁のように守られている巨大な森林の中に隠されている。ここを知っているのは私たちくらいだ。
「ここを焼くなんて、嘘なんじゃないかな。こんな綺麗な場所をなんのために焼くんだよ」
私は景色を一周した後、彼を再び視界へ戻した。彼は笑っていなかった。
「聞いてくれ、コリエン。僕が嘘をつくのは自分のためくらいだ。でも、他人に嘘をばら撒くような悪人ではない」
ドルは、正直者だ。その事実に私は気付いていた。時々、彼が自分自身に悲惨な現実を受け入れるために、自分を騙したり、言葉で気合いがけをすることはあった。自分は妹のために生きているのだと。妹はまだ死んでいないとか。私はそこで一つ引っ掛かりを覚えた。でも、それがなんなのか私には分からなかった。けれど、それは口から出ていたようで。
「死んでいない…?」
私はその言葉が自分のものでは無いような気がした。まるで誰かが私に憑依でもして、告げたような。
「コリエン、真面目に聞いてくれないか」
「あ、あぁ…」
「信じられないかもしれないが、僕はこの写真を、会話を聞いたんだ。これが唯一の成果といってもいい」
「唯一の成果ってどういうことだ?」
彼は私の言葉に一度驚くと、何かを隠すように諭すように続けた。
「待て、コリエン。僕は村に行っただろう。それでこの写真を撮っただけさ」
「あぁ、そういうことか」
「ねえ、コリエンヌ」