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「待て、コリエン。僕は村に行っただろう。それでこの写真を撮っただけさ」
「あぁ、そういうことか」
「ねえ、コリエンヌ」
「なんだい、チタニー」
彼女の声を辿り、足元に目をやると私は言葉が出なかった。なぜか、彼女頬から涙を流していたからだ。
「えっ…チタニー…?どうしたんだい、その涙は…」
「コリエンヌ。貴方には分からない…?」
「え、いや、そんな…」
私は彼女の言っていることが分からなかった。なぜ、彼女がそんな寂しそうに泣いているのか。私がこの写真を見せなかったからか。あまりに悲痛なその表情の訴えに私は、彼女を抱きしめるしかなかった。
「すまない、僕がこんな話を続けたのもある」
「いや、ドルは悪くないさ…」
私の腕の中ですすり泣く小さな子供は、今にも消えてしまいそうな弱さがあった。
「やはり、この話を受け止めるには幼すぎたのかな」
「いいえ…違うのコリエンヌ。ドルリアン。もっと真実を見合って…」
肩を上下させながら苦しげに吐く彼女に、私たちの会話は終わりを迎えた。正確には、彼女の最後の言葉が理解出来ていなかったのもある。私とドルは、それから別れた。ドルがどこへ行ったのか分からない。いつもの事ながら、妹を迎えに行く以外、彼がどこで何をしているかはお互い知らなかった。
そして、彼が告げた日が沈む頃。
私とチタニー、ティニは教会の中で時を過ごしていた。
「その話が本当なら、どうしてこの場にドルは来ないのよ」
「それは私にも分からないな」
ティニは彼女と距離を置いて椅子に座っていた。
「ティニールは私のことが嫌いになった?」
私の横に座るチタニーは私に尋ねてくる。
「ええと、そうだな。たぶん、嫌いになったわけじゃないと思うよ」
とは言ったものの、私は少し困っていた。
「ちょっと、私がいるのになんでリエンに聞くのよ」
ティニは口を尖らせて言う。 ティニは心が豊かであるため、チタニーへの思いも特別に大事にしているはずだった。
「ティニも落ち着いて。君の思いも彼女には伝わっているはずだよ」
「どうかしら。だって、現に好きか嫌いかの区別もついていないじゃない」
「大人と子供でその差はあるものだろう。君が思っている以上に、もっと子供は単純なんじゃないかな」
「単純ってことは、さっきの事なんて気にせず、近寄っていけってことかしら?」
チタニーはつぶらな瞳で私を見つめていた。その顔つきは純粋なもので、こちらからの答えを待っているようだった。
「言葉よりも行動が一番なんじゃないかな」
チタニーから読み取った答えを、ティニに告げた。
「私だって、チタニーを愛しているわ。でも、変わっているっていう意味を覆すつもりもないから、近寄るのに抵抗があるのよ」