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#異能力バトル
もな
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#恋愛
もな
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背中で小さな扉を閉めると、そのまま背中を預けてズルズルと座り込む。ほっとすると同時に、涙腺が緩んだ。
「もうやだ……なんで私がこんな目に遭わなきゃならないの……?」
こんなに小さくなっちゃって……これからどうしたらいいんだろう。
ぐっと目を瞑った時、突然頭上から明るい声が降ってくる。
「どうしましたあ、お嬢さん?」
顔を上げて、私は固まった。そこには謎の巨大動物が立っている。な、なにこれ、クマ!?
「何泣いてるんですかあ?」
彼は警戒心のない間延びした声を発した。
「あああああなた、誰……!? クマ!?」
「ちっ、違いますよ! 僕はハリネズミですよう」
クマに間違えられたのが心外なのか、ハリネズミは激しく首を横に振る。
「ハ、ハリネズミ……?」
目の前の大きな動物をまじまじと見つめた。
細く突き出た鼻先、黒いつぶらな瞳、ずんぐりむっくりとした体を覆う、硬そうな毛皮。言われてみればハリネズミだ。図鑑で見たことがある。そっか、私が縮んでるから大きく見えるんだわ……。
「な、なんでハリネズミが日本語喋ってるの……?」
「え」
「なんで学校にハリネズミがいるの……?」
「え」
私の質問に、ハリネズミはポカンと口を開けたまま固まった。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「あ、あの……」
「……えっ?」
私以上に聞かれた本人が悩んでいる。
「もういいです……気にしないで……」
このままでは永遠に話が進みそうにない。私は質問を打ち切った。彼はそうですかあ?と、ニコニコ笑っている。
そういえばスーツを着たウサギだって見たもの。ハリネズミが喋るくらいどうってことな……。
「!?」
びっくりした!!
いつの間にか、そのハリネズミの顔がドアップで迫っていたのだ。
「な、何……?」
「え? 何がですか?」
何がって、その顔の近さはあんまり普通じゃないと思うんだけど……。
「ところでお嬢さんは、ここで何をしてるんですかあ?」
ものすごい至近距離のまま、ハリネズミは問いかけてくる。
「わ、私は……自習室で寝てたの……そしたらフードの……」
「ふんふん」
距離を取ろうと身を引いたけど、彼はなおも近づいてくる。
「変な人がぁ……」
「はぁはぁ、それで?「 」
無理!こんな状態で喋るのは無理!
「あの……ちょっと顔、近すぎ……」
やんわりとハリネズミの顔を押し返した。
「え?ああ、すみません。ついー」
気を悪くした様子もなく、彼はようやく離れる。
「それで、それで?」
「え、ああ、うん、あの……」
なんだか説明するのも面倒くさくなってきちゃった。最初から事情を話すと長いし、うまく説明できる自信もないし……。
「困ってるの」
私はものすごく端的に状況を述べた。
「はぁ、困ってるんですかあ」
ハリネズミは真面目な顔をして、私の前に正座する。
「だって、小さくなっちゃったし……服も脱げちゃうし、学校から出られないし」
「やだなぁ、ちっとも小さくないですよう!」
彼はひらひらと手を振った。
「元の私はもっと大きいの! 私、元の大きさがいい……」
「そうですかあ? そのくらいのほうがかわいいですよう」
慰めてくれるのはありがたいんだけど、また顔を近づけてきている。どうしてそんなに顔を近づけて鼻をひくつかせるんだろう。
「私、何か変な臭いする?」
汗臭いのかなあ。
心配になって、自分の臭いを嗅ぐ。あんまり分からない……でも、自分だから分からないのかも。
「えっ。しませんよう、変な臭いなんて! 全然!」
彼は首と手を激しく振った。
「ならいいんだけど」
そんな私をほんの少し黙って見ていたハリネズミは、ややあって私の顔を覗き込む。
「あのー、お嬢さんひょっとして」
彼の鼻先が私の鼻にピッタリとくっつく。
「え?」
「アリスじゃないですか?」
「ちっ違いますっ」
即座に首を振った。
せっかくアリスを連発する黒色フード男から逃げてきたのに、このハリネズミまでアリスと言い出すのか。
「あぁ……違うんですかあぁ……」
彼はがっかりと肩を落とした。な、何もそんなにがっかりしなくても……。
あんまり激しく落ち込まれたので、私はなんだか申し訳ない気持ちになる。
「ち、違うけど……チェシャ猫って人にはそう呼ばれたわ。えっと、チェシャ猫って黒色の」
フードを被った人なんだけどと言う後半部分は、多分彼の耳に入らなかったのだろう。ガツっと私の肩を掴んで、ハリネズミは叫んだ。
「じゃあアリスですね!?」
何、この勢いは!
「だ、だからあ、本当は違うんだけど……」
「いいえ、猫が呼ぶならアリスです!!」
彼はきっぱりと言い切る。
「やっぱりなあ、そうだと思ったんですよ! だって匂いーー」
「?」
「…………」
な、なんでそこで急に黙るの?
「匂いが……何?」
「え? いえ、別に?」
ほんとに?
「そんなことより、僕らのアリス! お帰りなさい!」
「キャアッ」
力任せに抱きしめられて私は動揺した。
生枠の日本人なので、こう言うスキンシップには慣れていない。ハリネズミに抱きしめられるのは、外国人だって慣れていないだろうけど。しかも少し痛い。
「僕は幸運です! アリスに会えるなんて最高です!!」
「いっ、いたたた」
「噂には聞いてたんですよう! 僕は若いのでアリスにあったことがなくて、もう会えないんじゃないかなんて親方に言われたんですけど! でも僕はずっと夢見てて、いつか絶対ーー」
そこでハリネズミは再び黙り込んだ。
「クク」
「い、今、笑った?」
「え? いえ、別に?」
「そう?」
なんだか不穏な笑い声に聞こえたが、気のせいだったようだ。
「ね、アリス。ぜひ、当店へお越しください!」
彼は私の両手をギュッと握りしめる。
「当店って?」
「僕の親方がテーラーをやってるんですよう! ぜひ寄ってってください! 親方にも分けてあげたいですし!」
「分けるって何を?」
興奮しまくったハリネズミはに、私の声は届いていなかった。
「その様子じゃ、服だってご入用でしょ!? うちにはアリスの服が置いてありますから!」
「アリスの服?」
「さあさあ、ご案内しますよう! すぐそこですから!」
「うわ」
彼はものすごい力で私の手を引っ張る。ほとんど引きずられるようにして立ち上がった。
「で、でも、私お金持ってないし……」
「お金なんて要りませんよう。お金なんてねえ!」
ハリネズミはうっとりした顔で鼻をひくつかせたのだ。
コメント
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ああ、第6話読んだわ! 主人公が縮んで困ってるのに、ハリネズミがめっちゃテンション高くて「アリス!」って決めつけてるところ笑ったw しかも抱きしめられて「いたたた」って…距離感バグってるの可愛い。匂いでアリス判定するところ、なんか理由ありそうで気になるな。続き読みたい🔥