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日常に潜む怪談《めると》②
【能力者名】妖怪沢どろり
【能力名】メルト
《タイプ:擬態型》
【能力】手の平で触れた人間をどろどろに
溶かす能力。
【以下、細菌達の記録】
僕は妖怪沢どろり、米津高校一年A組の
ごく普通の高校生だ。
今日は僕の部活動を紹介しよう。
僕の所属する部は《ボランティア部》、
これは僕が今年新しく作った部活だ。
まぁ、非公認の部活だけどね。
部員は僕を合わせて三人。
僕と海街心蔵と恋原表裏一体だ。
さて、今日の僕達の活動は
《女子更衣室での能力者達のいじめを
解消すること。》
最近SNSで女子更衣室でいじめられている
生徒がいるという情報を目にした。
最近、能力を利用した悪質ないじめが
増加している。
かなしいことだ。
そこで僕達《ボランティア部》の
出番である。
《女子更衣室》
『ガボッ…..ボガガッ………。』
下着姿の女の子の顔の廻りを水が覆っている。
女の子は溺れているようだ。
腹には縄で縛られたような跡と殴られた跡が複数ついていた。
「きゃはは。」
「うけるー。」
「動画撮っとこー。」
「どうせなら下着も脱がしちゃおっかー。」
それをいじめっこ四人が囲んでいた。
いじめはよくない、かなしいことだ。
だが男である僕が女子更衣室に入るのは
よくない、なやましいことだ。
そこで我らが部員の一人、恋原表裏一体の
出番である。
「《裏表ラバーズ》♡」
表裏一体がそう言って唇に指を当てると
僕と海街は女の子になった。
恋原表裏一体の能力 《裏表ラバーズ》は
性別を操る能力である。
これで僕達はなんの問題もなく、女子更衣室に 入ることが出来るってわけだ。
「は?なにあんたら?」
「一年生がいきってんじゃねーぞ!!!」
「はやく失せなー。」
「てかやっちゃう?」
四人は僕らを睨み付けた。
彼女たちが一斉に僕らに襲いかかる。
一人は水を操り、一人は体を縄にし、
一人は腕を巨大化させ、一人は爪を伸ばした。
「《深海シティーアンダーグラウンド》。」
海街がそう言うと、僕らはどこかへと
姿を消した。
海街深蔵の能力、 異空間に防音室を作る能力、《 深海シティーアンダーグラウンド》。
この能力により、僕らは彼女達の攻撃を
避けることが出来たのだった。
「くそっあいつらも能力者か!?」
「消えた!!?」
「《深海シティーアンダーグラウンド》
……………解除。」
どこからともなく声がして僕らは異空間から
出て彼女達の背後をとった。
僕は彼女達が振り返る前に鬼ごっこの要領で
彼女達の肩をタッチした。
「《メルト》」
僕がそういうといじめっこ四人の体はどろどろと溶けてゆき、 影も形もなくなった。
そして、いじめられていた女の子は傷痕と
濡れた痕跡もなくなり、なぜ私はこんなとこに いるのだろうときょとん?としていた。
これで、この更衣室でのいじめは 文字通り解消した。
溶けて、消えてしまった。
【深海シティアンダーグラウンドの異空間にて】
《お洒落なカラオケボックス
みたいな空間。》
僕達は《深海シティーアンダーグラウンド》
の異空間にて会話をしていた。
ここでなら 誰にも会話を聴かれることはない。
「助かったよ海街、表裏一体。今回の報酬だ。」
僕は海街と表裏一体に千円を渡した。
僕達はSNSで知り合ったビジネスパートナー
である。
『能力使用一回につき報酬1000円。』
それが、僕が深蔵と表裏一体と交わした
契約内容だった。
「たりなーい☆」
表裏一体が新札をピラピラ
させながら言った。
…….は?何言ってんだこいつ???
「た•り•なぁーい♡いいのぉー?
どろりが女子更衣室に忍び込むド変態だって
クラスの皆にばらしちゃうよーー?」
あざとい笑みを浮かべながら表裏一体は
言った。
「…………..。」
ビキビキと、青筋を立てながら 僕は一瞬、『メルト』でこいつを溶かして やろうかと思ったがこいつがいないと今後の活動に支障が出るので辞めた。
仕方なく僕は表裏一体に北島柴三郎二枚と
野口英世一枚、計三千円を表裏一体に渡した。
恋原表裏一体はお札をピラピラして
「分かればよろしい♡」
と悪い顔で笑った。
「…..しかし信じられないな。本当にいじめ
っこなんていたのか?」
海街がヘッドフォンで音楽を聴きながら
僕に聞いてきた。
僕の能力《メルト》は触れた相手をまるごと
溶かして消してしまう。
そして消えてしまった人間はもう二度と
元には戻らない。
この二人はそのことを承知の上で
ボランティア部に入ってきた。
承知しなかったら最悪《メルト》で溶かして
消せばいいと思っていたが手間が省けた。
僕の能力を知る人間は僕と表裏一体と海街の三人だけだ。
僕はこの能力を、親にだって教えたことはない。
「本当はただ女子更衣室に入りたかっただけ
なんじゃないのー?どろりのエッチぃー。」
そう言って表裏一体はにやにや笑った。
「そんなわけないだろ?」
僕が呆れ顔で言うと裏表一体は何かを
思い付いたかのように悪い顔をし
僕に乳首を見せつけてきた。
「…..は!!?(思わず目を反らす)
そういうのよくない!!ほんっとによくないッ!!
(赤面しながら目を隠す)」
そうやってしばらくしたあとおそるおそる目を開けると、表裏一体は《裏表ラバーズ》で
美少年になっていた。
「……ざぁーんねん☆今のボクは男の子
だよー、あれあれぇー?がっかりしたー?
がっかりした?ねぇーー?へーーんたーーい
むっっつりどぉろぉりぃー?
(ものっすごく悪い顔)」
表裏一体はこれでもかというほど僕を煽り続けた。こいつは、天性の煽りカスだ。
(…….こいつ、もうクビにしようかな……。)
僕は心の中で溜め息をついた。
「…….どっちでもいいしどうでもいい。
俺はカラオケに行きたいので失礼する。」
そう言って海街深蔵はスタスタと帰ろうとした。
「えー、ボクも行きたーい☆」
表裏一体は海街に抱きつこうとした。
「《深海シティーアンダーグラウンド》」
そう言って海街は表裏一体の飛びつきハグを
躱した。
「ぎゃいん!!!」
表裏一体は地面に顔を打ち付けた。
海街はすぐに解除して出てきた。
「生憎だが、俺はカラオケは一人で楽しむ
主義だ。」
「いーじゃんケチぃーどろりがカラオケ代
奢るからさー。」
「なんでボクが!!!!?」
「ならいいだろう。」
「よくない!!!!!!!!」
こうして、結局僕達ボランティア部三人は
カラオケに行くことになり、八時まで
カラオケで歌ってすごした。