テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
事務所の屋上。夜風に吹かれながら、こさめは柵にもたれていた。ライトの届かない静かな場所。彼は今日も、逃げ場所を探していた。
🎼🍍「お前、またこんなとこでさぼってんのかよ」
背後から聞き慣れた声がする。
ふり返らずとも分かる。なつ、だ。
🎼☔️「……さぼってなんかないよ。考えてただけ」
🎼🍍「考え事、ね。どうせ、ヒートのこととかだろ」
🎼☔️「……なつくんって、なんでも知ってるみたいに言うよね」
🎼🍍「お前のことは全部見てきたからな。そりゃ、わかる」
🎼☔️「……それが気持ち悪いって思ったら、どうする?」
一瞬、風が止まったような静けさ。
🎼🍍「……それでも俺は、お前を手放す気はねぇよ」
🎼☔️「“手放す”って言い方、やめて。
こさめは、物じゃない。なつくんの“所有物”じゃないんだよ」
こさめは静かに、でもしっかりと、言葉を吐き出す。
🎼☔️「こさめは……なつくんに、好きって言ってもらいたいだけだった」
🎼🍍「……」
🎼☔️「なつくんが、こさめを見てるのが“利用価値”とか“管理対象”とかじゃなくて、
“ひとりの人間”としてだったら……って、ずっと、思ってた」
その瞳は真っ直ぐだった。
なつは、初めて言葉に詰まった。
――“好き”って、そんなに簡単じゃねえ。
だけど、“所有”と“恋”は、違う。
🎼🍍「……悪かったな。お前のこと、“都合よく”見てたかもな」
🎼☔️「……うん。でも、今そうやって謝ったなつくんを見て、
ちょっとだけ……“好きになってもいいかも”って思った」
🎼🍍「は?」
🎼☔️「うそうそ。……でも、今日のなつくん、ちょっとだけ人間味あって、すき」
にやっと笑って、こさめは屋上のドアを開けた。
🎼☔️「お先に戻ってるね、マネージャーさん」
残されたなつは、ため息をつきながらも、どこか口元を緩めていた。
🎼🍍「……ったく、手のかかるやつ」
でもその声は、少しだけ優しかった。