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いるまの部屋のソファに、らんは毛布をかぶって横になっていた。夜の時計は1時をまわっていたが、静かな部屋にひとつだけ、かすかな声が響いていた。
🎼🌸「……やだ……やだ……」
夢の中で、泣いているような声。
眉間を苦しげに寄せるらんの額に、冷たい汗がにじむ。
――「お前なんか、生まれてこなきゃよかった」
――「いなくなってほしい」
声にならない悲鳴に、隣の部屋で寝ていたいるまが気づいた。
🎼📢「……らん?」
寝ぼけた足取りでリビングに来たいるまは、すぐにらんの様子に気づいた。
汗だくでうなされる小さな背中。その震えに、思わず手が伸びた。
🎼📢「らん。起きろ、夢だ。……おいっ」
揺さぶった瞬間、らんの目が見開かれた。
🎼🌸「やっ……!」
息を荒くして起き上がる。だが、自分がどこにいるのか分からず、混乱するらんに――
🎼📢「大丈夫。ここは俺んち。お前は安全だ」
低く、落ち着いた声。
その音だけで、らんの呼吸が少しずつ落ち着いていく。
🎼🌸「……ごめん、いるま。こわい夢、みた……」
🎼📢「気にすんな。……お前が無理しすぎんの、知ってんだから」
🎼🌸「……」
🎼📢「手、貸してやる。……お前が言わなくても、勝手にやるから」
そう言って、いるまはらんの手を軽く握った。
らんの小さな手が、彼の大きな手にすっぽりと包まれる。
🎼🌸「……温かいね、いるま」
🎼📢「お前が冷たすぎんだよ。……ったく、心配させんな」
苦笑する声。
そのぬくもりに、らんは初めて“守られている”と感じた。
そっと目を閉じる。
――夢の中の嵐は、もう、過ぎ去っていた。