――その時、世界は再び変わろうとしていた。
伊吹丸が核戦争を食い止めた瞬間、命は尽きたかに見えた。しかし、異能「すべてを有にする力」は、消え去ってはいなかった。
核戦争の終焉から数ヶ月が経ち、世界は未だにその傷を癒やすことができずにいた。倭を中心にかろうじて文明が存続しているが、混乱と争いが各地で続いていた。倭の帝国は、伊吹丸の不在によって勢力を弱め、内部でも権力闘争が繰り広げられていた。
そんな中、ある異変が起きる。空の彼方に、かすかな光が現れた。
それは、伊吹丸が消え去った場所から放たれたものだった。ま死の淵から呼び戻されるかのように、その光は再び形を成し始め、やがて人々の目に見えるようになっていく。
「まさか…! 伊吹丸様が戻られるというのか?」
人々の噂が広まり、やがてその光の中心から一人の男が姿を現した。そう、それは伊吹丸だった。
「俺は死んだはずだった…」
伊吹丸は、朧げな記憶をたどりながら、再び生を得たことを理解しようとしていた。彼が復活した理由は、もう一つの異能――「すべてを有にする力」が、自らの存在を維持するために働いたからであった。この力は、無限の可能性を現実化させ、あらゆるものを作り出すことができる。その力が、彼の命を再び取り戻したのである。
「すべてを無にする力と、すべてを有にする力…この両方の異能を同時に持つことで、俺は不死の存在になってしまったのか。」
伊吹丸は、自らの力の真実を悟り始める。この力がもたらす無限の可能性――それは恐ろしいまでの力であった。彼は、自分の復活が世界にどのような影響を及ぼすのか、深く考えざるを得なかった。
だが、伊吹丸の復活はすぐに世界に大きな波紋を呼ぶこととなる。英雄として、彼を再び世界の支配者として祭り上げようとする動きがある一方で、彼の力を恐れる者たちが新たな陰謀を巡らせ始めた。
「俺はもう戦いには関わらないつもりだった…だが、世界はそう簡単には許してくれないようだ。」
伊吹丸は、自らの運命に抗うことを決意する。彼は再び刀を手に取り、世界の混沌を終わらせるための戦いに身を投じることとなる。だが今回は、彼自身の命運だけでなく、世界の未来そのものが彼の行動にかかっているのだ。
「この力…使い方を間違えれば、全てが終わる。だが、正しく使えば、世界を救えるかもしれない。」
伊吹丸は「すべてを有にする力」を使い、壊れた世界を再び創造し直す計画を立てる。しかし、それには莫大なエネルギーと時間が必要であった。また、彼自身の存在も次第にこの力に飲み込まれていく危険があった。
「俺は一度この世を去るべきだったかもしれない。しかし、今生きている以上、この力を世界のために使うしかない。」
復活した伊吹丸は、倭の新たな帝国を再建し、世界各地に広がる混乱を沈めるため、再び立ち上がる。そして彼が目指すのは、かつてない平和な世界――全てが「有」として存在する、新たな秩序の創造であった。
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