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――「力とは、持つ者が如何にそれを扱うかで、その本質が決まる。」
伊吹丸はこの言葉を噛みしめる。復活した彼にとって、目の前に立ちはだかる最大の脅威は、核兵器の存在であった。核戦争を止めた今も、世界の各地には未だ核が眠り続け、ひとたびそれが使われれば、再び世界は滅亡の危機に瀕する。
「核兵器は、人類の手に余るものだ。俺の力で、すべて無に帰すしかない。」
核戦争を食い止めた伊吹丸の行動により、一時的に平和が訪れたかのように見えた世界。しかし、各国は依然として核の脅威を手放そうとはしなかった。互いに疑心暗鬼に陥り、力の均衡を保とうとする動きが続いていた。
倭、フランス、ローマ、アメリカ――すべての国々が、核兵器を保持し、その存在が一触即発の危機を生み出していた。
「俺が立ち上がらなければ、また同じ悲劇が繰り返されるだろう。」
伊吹丸は、かつての力を完全に取り戻しつつあった。「すべてを無にする力」と「すべてを有にする力」を巧みに操ることで、核兵器そのものを無力化し、この世から消し去ることを決意する。
まず、伊吹丸は倭の支部から動き始めた。ソウルを拠点に、各国の核施設の位置を特定し、それらを無力化するための作戦を計画した。だが、この計画には世界各国の協力が必要だった。
彼はフランス、ローマ、そしてアメリカの指導者たちと秘密裏に接触し、核兵器を無にする計画を説明した。各国の指導者たちは、初めは彼を疑ったが、伊吹丸の異能の力を目の当たりにし、計画に同意することとなった。
そして、ついにその日が訪れた。
「全ての核を無にする。」
伊吹丸は、世界各地の核兵器を同時に消し去るため、異能の力を発動させた。彼の力は、核の存在そのものを消し去るべく働き、各国の核施設は次々と無力化されていく。爆発もなく、破壊もなく、静かに、そして完全に核の力が消滅していった。
この瞬間、世界は初めて核の恐怖から解放されたのであった。
伊吹丸の偉業は瞬く間に世界中に知れ渡り、人々は歓喜に沸いた。核の脅威が消えたことにより、各国の間に長らく続いていた緊張も徐々に和らぎ、新たな平和の時代が訪れようとしていた。
だが、伊吹丸は決して楽観的にはなれなかった。核兵器を無にすることで一つの脅威は取り除かれたが、人類の欲望と力への執着は未だに根強く残っていたからだ。
「次に人類が創り出す脅威が何か…それを見極めなければならない。」
彼は再び、世界の動向を見守るための旅に出ることを決意する。すべての核を無にした英雄として、だが同時に、次なる災厄を未然に防ぐために。