テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
41
白米のお米抜き
39
PSS(ネタエビ)
第7話:濡れ鼠の逃走劇とドライヤーのプラグ
外から帰ってきたそいつの体が、あまりにも泥だらけだったので、意を決して浴室でお風呂に入れることにした。
「ギャウッ!」
普段聞いたこともないような悲鳴をあげると、そいつは火が付いたような勢いで大暴れを開始した。僕の腕を蹴飛ばし、泡のついた濡れた体のまま浴室から飛び出していったのだ。
「あ、待て! こら!」
濡れ鼠となったそいつと、それを追う僕の、狭い賃貸アパートでの大逃走劇が始まった。そいつは畳の上をすべり、ソファーの上を飛び越え、カーテンにしがみついて部屋中に水滴を撒き散らす。僕も必死で追いかけるが、濡れた床に足をすくわれて派手に転倒した。
「痛たた……」
床に倒れ込んだ僕の顔のすぐ横に、そいつが着地した。お互いにハァハァと荒い息を吐きながら、濡れネズミのようなお互いの姿を見合わせる。僕の服はビショビショで、そいつの毛は変な方向に固まっている。
次の瞬間、僕の口から自然と「ハハハ!」と笑いがこぼれ落ちた。そいつもうれしそうに「キュキュッ」と鳴き、僕の顔を舐めてきた。
結局、バスタオルでしっかりと抱きすくめ、ドライヤーの温風で乾かしてあげることになった。
ポケットからこぼれ落ちて床に転がっていたドライヤーのコンセントプラグを拾い上げながら、僕は「次は絶対に脱走させないぞ」と心に誓った。でも、そいつの乾いた毛がふわふわと膨らんでいくのを見るのは、たまらなく幸せな時間だった。
コメント
1件
あっ、この回めっちゃ好きだわ! 風呂嫌いのペットVS必死の飼い主の逃走劇、読んでるだけで情景が浮かんで思わず笑ったよ。畳すべってカーテンにしがみつく姿とか、倒れた飼い主の顔の横に着地するシーン、めちゃくちゃかわいい。最後のドライヤーの温風でふわふわになる毛並み、こっちまでほっこりした。次も絶対読む!