\== shp ==
夜、20時。
俺たちは会議室に集められた。
グルッペンが、王冠を持って入ってくる。
gr「こんなに簡単に奪えるなんてな」
あの後、一階に行けばトントンさんがすでに帰るところだった。騒ぎもなかったし、よくわからないが、多分何人か殴ったと思う。
グルッペンさんは、王冠を机の上にコトン、と置く。
gr「チーノ。1人殺したんだな?君が提案したと聞いたが」
全員の視線がチーノに集まる。
ci「まぁ…はい…やっぱアウトっすか?」
肩をすくめながらはは、と笑う。
チーノの言葉に、グルッペンさんも鼻で笑った。
gr「俺はいいと思う。対して間違っていない」
空気がふっと軽くなる。
gr「まあいい。今日は対して会議する話もない。ただ、俺から言いたいことがあるだけ」
王冠を手元で弄りながら、グルッペンさんはただ1人を見つめた。
視線の先は———ゾムさん。
gr「ゾム。そろそろ潮時なんじゃないか」
zm「…お前」
gr「もう半年。俺は付き合ってあげたんだ。そろそろ新しい事がしたい」
zm「待っ」
その言葉を遮るように、グルッペンがニヤリと笑う。
gr「襲撃はそろそろか?」
時が止まった気がした。
空気が凝固して、早まる心臓の音だけが聞こえる。
チーノが瞬きをせず、いつもの表情でグルッペンさんを見る。
トントンさんが目を見開きゾムさんの方をパッと見る。
大先生が口角をひきつらせている。
ゾムさんが、息を呑み、拳を握りしめる。
俺は、何も理解できなかった。
gr「さて、どうする?ゾム」
その音だけが、静まり返った音にやけに響いた。
困惑しながら、トントンさんが声を発する。
tn「襲撃って…」
gr「世界を救うとか、その為にここまで来たんじゃない、そうだろう?彼は、全て嘘だった。俺たちと会ってから…いや、出会う前から」
俺は声が出なかった。
嘘?何が?どこから?俺は騙されていた?頭がフリーズして、真っ白になる。
sha「じゃあ…詐欺の話は?」
ゾムさんが、ゆっくりと口を開く。
zm「…嘘」
ut「じゃあ今まで物を盗ってたのは」
zm「国の弱体化のため」
rbr「え…流石に過去の話は…」
zm「………嘘」
頬杖をついたまま、ゾムさんは視線ひとつ動かさず、淡々と答えた。
その”嘘”の一言一言が刃物みたいに胸に突き刺さってくる。
tn「ゾム…お前…ほんまに?」
返事はない。
ただ、ゆっくりと、机に置いている指をとんとん、と叩く。
目が笑っていない。
gr「半年、楽しかったか?お前がどう動くか、俺も楽しかった」
tn「グルッペン…泳がせてたんか」
gr「泳がせるとかじゃない。遊びだ。でもそろそろ実行するんじゃないかと思って。もう飽きた」
トントンさんが立ち上がりかけるが、声が震えて言葉にならない。
俺はただ、座っていた。
頭も何も動かない。
shp「…ゾム…、さん…?」
ようやく声が出たかと思ったら、掠れていて自分でもびっくりした。
zm「ん?」
まるで他人事のように、気だるそうな返事だった。
shp「じゃあ俺に言ったあの言葉も助けてくれたのも全部…」
zm「……全部じゃない」
一瞬、希望が刺した。
zm「ショッピくんのことは大好きや」
心が、少し和らいだ気がした。
ゾムさんがふっと笑う。
zm「…w誘ったのは”利用価値がありそうだったから”…だけど」
shp「……!」
rbr「ゾムお前…!」
思わずロボロさんが立ち上がった。
でもゾムさんは表情ひとつ変えない。
zm「いやぁ〜だってさ。俺も最初は警戒しててん。w国は強いで有名だったし。でもいざ来てみれば全員アホ。人情熱すぎてなんでも信じるからぁ〜…」
笑いながら言うその声は、聞いたことないくらい冷たく、俺の心を刺した。
zm「さて…襲撃はあと3日。もう準備万全なんやろなぁ…」
ゾムさんは立ち上がり、部屋を出ようとした。
shp「ゾムさん…ほんまに俺のこと…」
zm「使いやすかったで」
辛い。悲しい。喉が震える。
フードで顔が見えなかった。
ぱたん、とドアが閉まる。
== tn ==
俺は、壁にもたれながら静かに息を吐いた。
夜の風がカーテンを揺らし。室内で微かに音を立てる。
空気が張り詰めていて、緊張する。
目の前には、ゾム。この部屋には2人しかいない。
俺は会議室にゾムを呼んだ。
tn「ゾム」
ゾムは、めんどくさそうに視線だけを動かす。
zm「…あんまこう言うの得意じゃないねんけど」
tn「真面目に答えて」
ゾムは跳ねた横髪を触りながら、気怠げに返す。
zm「…なに」
tn「ショッピくんのこと、どう思ってる?」
ほんの一瞬、ゾムの眉がわずかに動く。
だが表情は変わらず、それは無感情そのもの。
zm「え?仲間…とかじゃない?」
tn「…使える仲間?」
ゾムは肩をすくめて、鼻で笑った。
zm「…w やめてや〜誘導するの」
tn「否定しないんや」
ゾムは椅子の背にもたれ、天井を見上げる。
まるで面倒な質問を浴びせられてるだけ、という態度。
zm「トントンも上手いなぁ〜……、まあ、さっきも言っちゃったしねー…」
淡々と言うその声は、本音か嘘か、判断しがたいほど静かだった。
tn「ショッピくんはどう思ってると思う?」
zm「別に。俺は知らん」
俺は少し眉を寄せた。
俺は静かになった部屋で口を開く。
tn「……どうでもええんやろ。こんなの」
ゾムは、そこで初めて視線を落とした。
机に映る自分の影を、無感情に眺める。
zm「…正解」
tn「なんで誘ったん」
zm「ただただ使えるから使っただけ。常識やろ?使える物を使う。本人も誘ったら嬉しそうに俺を信用するからさぁ」
その言葉はあまりにも冷たく、ためらいが一切なかった。
まるで「人間関係」という概念が、ゾムの中では別の形で存在しているようだ。
tn「それは…嘘ちゃうんか」
ゾムは動きを止め、僅かに笑う。
けれどその笑みは優しくも照れもなく、ただ何かを考えているようにも見えた。
zm「ここで嘘つく理由もないやろ」
そう言って天を仰ぐ。
俺は何も言い返せず、ただゾムを見つめるだけだった。
ゾムの横顔には、情も迷いも揺らぎもなかった。
ただ静かで、残酷なほど淡々としていた。
音もない、空気の揺らぎもないただの静かな時間。
俺は立ち上がった。
tn「じゃあ、もう終わりにしようか。ごめんな、夜に」
zm「…俺のこと、捕まえないん?」
tn「何のために?」
俺は、まっすぐドアまで歩き、この部屋を去った。
・・・
ノックし、ドアノブを回す。
グルッペンは書類の整理をしながら、顔だけ上げた。
gr「……何」
tn「さっきゾムと話してきた」
グルッペンが手を止める。
tn「『ショッピくんの事、どう思ってる?』って」
gr「で、使えるものは使ったほうがお得〜とか言ったんだろ?」
tn「まあ…そんな感じ」
グルッペンは眉ひとつ動かさない。
ただゆっくりと、背もたれに重心をかける。
gr「…トントンは気づいてた?」
tn「いや…違和感はあったけど…信じたかった」
gr「甘いな」
tn「わかってる」
グルッペンは立ち上がり、さまざまな本がある棚の前に立つ。
そして、一つの箱を手に取り、蓋を開けて俺に見せてきた。
九つの小さな宝石を飾る、黒い箱。
tn「ぇ…それって」
gr「あんなに隙がないゾムが、本物と偽物を間違えるか?」
ふっ、と優しく笑うグルッペン。
tn「……俺どうすればいい?」
gr「何もしなくていい。俺が仕切る」
tn「は?」
gr「予定通りに動かそう。ゾムを救うため?ショッピを守るため?違うだろ、国のためだ」
窓の外を見るグルッペンの横に歩み寄る。
tn「ショッピのメンタルケアは」
gr「あいつは簡単に折れないだろ」
tn「…そうやな」
俺は部屋を出ようと、ドアを開ける。
gr「トントン。お前だけはゾムトショッピの中立でいるんだぞ」
tn「…わかった」
静かにドアを閉めた。
どうも〜昨日は友達からマグカップをもらったので麦茶を美味しくいただきました、あめです。
「クリスマスにパン皿(朝はパン派ですねの)買って〜」と、親に言ったら
「1000円の茶碗いる??」と言われました。
年末はパンが盛り付けられた画像を載せたいです。
それでは次回もよろしくお願いします。
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