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一旦、店に戻ろうと思って振り返ると
「ガキかよ。お前は」
・
パンツに手を突っ込んで、面倒くさそうに眉間にシワを寄せ、得意げに笑う先生が立っていた。
『…先生?』
「なにやってんの」
『…先生こそ…何して、』
また雷が光って、耳を塞いでる私を先生が呆れた顔で笑う。
そしてそのまま、私の耳を塞いで肩をもち、駅とは逆方向に向かう。
ポツン
雨が降る音が大きく響く。
先生がチッと軽く舌打ち。
「姫野、走るぞ!」
『…えっ!?』
先生が急に走り出すから何が何だか分からず私も走り続ける。
胸が苦しくて、顔が熱い。
なのに、ドキドキは止まらない。
前を走ってる先生が急に立ち止まって、来ていたジャケットを脱いでシャツ1枚になると
「これ、被っとけ」
私の頭にバサッとジャケットをのせた。
『…あの』
「ほら、走れ!行くぞ」
『…はい、!』
走って辿り着いたのは、ちょっと古めの古民家だった。
先生は私に「入って」だけ言って扉を開ける。
『え…ここは、どこの』
まさか、先生の家、!!?
私、先生の家に入れるの、!?
「ばーちゃんち」
『え…?』
「車停めさせてもらってんの。ほら、早く!風邪ひくだろうがよ」
『あ、…はい!』
先生は玄関じゃない扉を開けて、中から鍵を出し、車のロックを解除すると
「乗って」
助手席のドアを開けてくれた。
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え、え、え、え、えええ! もうパニック!!