花火が上がる。暗闇の中で照らされた翔太の顔が赤くなったり、青くなったり。腹に響くどーんという音がして、ぱちぱちぱち、と火花が散っていく。
キラキラと美しく落ちていく火の粉を見ながら、俺たちは初めてのキスをした。
💙side
「翔太、お前、宮舘って知ってるだろ?」
💙「ああ、知ってる」
クラスメイトの1人が、急に俺に聞いてきた。
宮舘涼太は、生まれた病院が一緒で、同じ幼稚園に通い、芸能事務所で再会した奇縁の幼なじみのことだ。今は一応、同じアイドルグループで活動している。
現在は同じ高校に通っているが、クラスが一度も同じにはならず、3年生の今となっては物理的にも教室が同じ階の端っこと端っこで離れていた。選択科目もバラバラだし、学校では滅多に会うこともなくなっている。
「その宮舘がさ、◯◯ちゃんと付き合い始めたんだってさ」
💙「マジかよ…」
◯◯ちゃんは、芸能人が多いうちの学校の中でも、ダントツに可愛いと評判の女優の卵だ。俺たちみたいなデビュー前のアイドルとは違って、時々テレビにも出ているし、事務所一推しの有望株だともっぱらの噂だった。
💙「それにしても、涼太がねえ」
意外だった。
どちらかと言うと、恋愛に興味がなさそうにしていて、男友達とつるんでいるのを見ることはあっても、彼女がいるとかいたとか聞いたこともなかった。しかも、そんな学校中が注目するような一軍女子と涼太が付き合ってるなんて。
「噂をすれば、来たぜ?」
渡り廊下の向こうから、件の女生徒と腕を組んでやって来る涼太とすれ違った。
小動物を思わせるような可愛らしい容姿の女の子は、確かにちょっとそこらにいるようなレベルの女の子ではない。涼太と彼女は親しげに話しながら通り過ぎて行った。
「やっぱり噂は本当だな」
💙「だな」
涼太の後ろ姿を見送りながら、俺はもやもやした胸の内を感じていた。
コメント
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舘さん、、、