テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
看「…はい、確認しました。111号室ですね」
う「ありがとうございます」
階段を登って111号室まで行く。
もう、見慣れた道。
何回開けただろうか、病院のドア
ガラガラ…
バタン。
規則正しい音だけがこの空間に広がっている。
そこに僕が来て、少しだけ騒がしくなったみたいだ。
う「差し入れ…って言ったってまた家に置くことになるね」
”凸さん”
ああ…もう何回この光景を見ただろう。
あの日からもう二年経っているのか…
時の流れって言うのは早いもんだね。
凸さんが植物状態になってからもう、そんなに経つのか。
正直、医者は回復の見込みは無いって言ってた。
「正直、ずっと生かせるのも本人にとって苦しいと思います。」
そんなこと、わかっていたよ。
でも、信じたくなかったんだ。
「後、脳が死ぬまで…二、三年と言った所です。そこからはもう、回復は見込めないと思ってください」
神様はそこまでしか、許してくれないのか。
この世界はなんて残酷なのだろう。
もう、脳が死んでもおかしくない年になってしまっている。
う「…久しぶり。元気にしてた?」
返事は無いと分かっていても話かける。
もしかしたら伝わっているかもじゃん…?
う「こっちはね〜またおどろくさんがPONかましているよ。」
これに、凸さんが加わっていたらどんなに面白かったのだろう。
う「リーダーだと言って、敵と真剣勝負するのだ!!って言ったんだよ?今までセコい手しか使ってない敵にさ?」
あの時は本当におもしろかったなぁ…
う「それで案の定こっちもセコい手を使って始末出来た訳なのよ。」
皆でハチャメチャ騒ぎだったっけ…
う「ほんと‥おどろくさんらしい考え方だよね」
楽しかった、楽しかったけどさ。
う「凸さんがいないから私の中では八色しか無いよ…」
皆、揃って、九色の色を出すはずなのに。
う「それなのにさぁ…凸さんが居ないから、いっつも色素が無い感じがするよ」
この限られたカラーパレットで生きなければいけないというのか。
う「…無理だなぁ。」
凸さんが居ない。
それだけで色素が失われる。
あの、エメラルドグリーンの瞳が、無いんだ。
時計を見る
う「…もう、こんな時間なんだな」
もう、任務に行かなければ
う「…また、来るよ。」
ガラガラ…
バタン
その日の夕方
う「ごめん‥遅くなった」
まぁ…起きているはずないか。
そうだったら、私の考えた起き方が出来ないもんな。
う「今日は、さ。もう凸さん起きなさすぎじゃん。」
懐から_
チャキッ
う「これで、時間内に起きなかったら、殺す」
銃を構える
う「ご、よん、さん、に、いち」
ぜろ_
その瞬間_
凸「ゴホッ‥ゲホッゲホッ」
う「…」
凸さんが咳をしている
凸「うた、ちゃ_
ガバッ
凸「!?、うお」
う「凸さん!!」
良かった…起きて。
う「‥凸さんなら起きるって信じてた」
凸「心臓に悪かったけどな」
う「いいじゃん。起きたから」
凸さんが銃を指差す
凸「ちなみに、弾入ってるの?」
う「もちろん」
凸「…うたちゃんって本気で俺、嫌いだね」
う「え!?、そういう訳ではない。本気で起こそうとしただけ」
ああ…凸さんの瞳のエメラルドグリーンが夕日に反射していて綺麗だ。
う「ありがとう、凸さん。これでやっと色が埋まったよ」
ちょっと前に書いた作品です!
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!