テラーノベル
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努が少年たちと話をしている頃、トンネルの反対側、つまり村の西の突き当たりの森の前に沢村と島が来ていた。親分とミサがイチャつくからと二人は集会所を追い出されたのだ。
「チッ、いつまでこの村にいんだよ」
乱れた金髪頭を気にしながら島が毒づいた。高校を中退して誘われるがまま組に入ったまだ二十歳になったばかりの血気盛んな若者だ。
状況をあまり理解していないので何も無いこんな村を早く出て街に戻りたかった。
「しゃーねーじゃん」
沢村はタバコを吸いながら答えた。こちらはパンチパーマなので髪型に乱れはない。島より3歳上だが同じ時期に組に入ったこともあり上下関係はなかった。
「梶さん、なんでここ出ようとしねーんだろ」
「トンネルから出られなかっただろ?」
なんだかわからないが不思議な力で村に閉じ込められている。その程度の認識だったが沢村は島より今の状況を理解していた。
「つってもよー、森を抜けたらいいじゃん」
島が不満そうに言った。
「危なくね? なんか化け物がいるんだろ」
「大丈夫だろ。俺ちょっと見てくるわ」
「おい、勝手すると梶さんに怒られんぞ?」
「だーいじょうぶだって、ちょっと見てすぐに戻るから」
心配する沢村を残して島は森の中に入っていった。
「しゃーねえ奴だな」
呆れ顔の沢村だが後を追おうとはしなかった。
それから5分、再びタバコを取り出して火をつける。そして一口吸って煙を吐き出すと……。
「あああっ! ああああああっっ!」
森から悲鳴が聞こえた。
「お、おいっ、島か?」
「ああああっ!」
「島っ! 驚かそうとしてんだろ? おい、島!」
呼びかけても悲鳴しか返ってこない。何度も呼びかけはするが森に入る勇気は湧かなかった。
時間にすれば10分ほどだが何時間も続いていたような悲鳴がようやく消えた。それから30分ほど呼びかけながら待ったが島はついに戻ってこなかった。
「梶さん! 梶さん!」
沢村は梶が眠るミニバンのドアを叩いた。すぐに梶は出てきたがその顔に眠気はなく、すでに知性に溢れた鋭い目をしていた。
「なにがあった?」
「し、島が森の中に入って……ひ、悲鳴が聞こえて帰ってこないんです!」
「チッ、安田と長岡……あのガキを呼んでこい」
「ガキはどこに?」
「探してこい」
珍しく怒りの籠もった声に沢村は全力で駆けだした。巨漢の安田はトンネル前の外車にちぃこと一緒にいるのをすぐに見つけたが、努を見つけるに少し時間が掛かってようやく見つけた努を連れて来たのは梶に声をかけてから20分以上が経っていた。
努は怒り狂っている沢村に急かされてやってきたものの、状況がつかめないまま梶たちの後ろを歩く。先頭は沢村で梶に何か説明をしていた。聞こえた内容から金髪リーゼント頭の島が森に入って悲鳴と共に行方不明になったということだった。
努の後ろには安田と何故かちぃこも着いてきていた。緊張顔の男たちと違い、まるでハイキングにでも行くかのようにニコニコしていた。
このメンバーで今から森に入るのだとしたら嫌だな。努は素直にそう思った。
コメント
1件
第15話、ゾクゾクしました…!島が軽いノリで森に入って、悲鳴だけが戻ってくる感じ、じわじわくる怖さがたまらなかったです。沢村が呼びかけても返事がないままの時間、読んでるこっちも息が詰まりました。梶さんの「あのガキを呼んでこい」の台詞、短いけど怒りがひしひし伝わってきて。ちぃこの無邪気さが逆に不気味で、続きが気になりすぎます🌙
#怪異
イキリ火の玉
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