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やっと二人のイチャラブが見られると思ったら女子のドロドロ回です。 いや、作者も不本意だったんですけどね。 こういうのを一回でも挟まないとおもしろくないでしょう?
あれから一ヶ月が経った。
デビュタントを迎え社交界デビューした私は、令嬢たちの茶会に招かれるようになった。
そしてこうして茶会に参加している。
今日の茶会は、私を含めて八人が招かれた。
どの令嬢も高位の家門である。
主催は、アレクサンドラ・ディレンス・ロンリア嬢。ロンリア公爵家のご令嬢である。
くるくるとした燃えるような赤毛に、切れ長の琥珀色の瞳、くっきりとした目鼻立ちが印象的な美人である。
「……ディル嬢。フィアディル嬢」
「は、はい」
ロンリア嬢に呼ばれていたらしく、私は慌てて返事をする。
「まあ、ぼーっとされていただなんて……。失礼ですよ」
「ご、ごめんなさい」
私は謝った。
すると彼女は足を組み、はあっとため息をついて、開いた扇を口元にあてる。
なるほど。扱いにくい性格とは聞いていたが、まさかここまでとは。
「いいですよ。次から気をつけてくださいね」
「は、はい。失礼しました」
私が頭を下げると、彼女はフンッと鼻を鳴らした。
微妙になった場の空気に、ロンリア嬢が口火を切る。
「ああ、そういえばフィアディル嬢は三年前までマーティアン伯爵家に引き取られていたと聞きましたが」
私は頷いた。
「はい、左様です」
「あの汚らわしい伯爵家に五年間も引き取られていたなんて、あなた自身も汚らわしくなっているのでは?」
ロンリア嬢はクスクスと笑う。
他の令嬢たちも嗤った。
私は久々の感覚に背筋が凍る。
この茶会……、私のデビュタント記念と言っておきながら……。
ロンリア嬢は言葉を続けた。
「それに、あなたのお兄様……、クライヴ公爵様でしたか?あの方はアカデミーに追いやられたと聞きましたが……。次期公爵という立場だったくせに、大人に抗えなかったんですのね」
彼女は私たちを嘲笑う。
他の令嬢も嘲った。
兄は……、兄はそんなのじゃない。
兄は、早くにアカデミーを卒業し、若くして公爵になったすごい人だ。
私は怒りで机をダンッと叩いてしまいそうになったがなんとかこらえ、静かに顔を上げた。
「ロンリア嬢。今の言葉は聞き捨てなりません」
「……何ですって?」
彼女は眉をひそめる。
私は構わず言葉を続けた。
「ですから、聞き捨てならないと申したのです。聞こえませんでしたか?」
「あ、あなた……、このあたくしに向かって……」
私は彼女に微笑む。
「あらあら。私たちを侮辱していたあの傲慢で余裕そうな態度はどこに行ったのです?」
彼女はぶるぶると体を震わせ、ガタンッと勢いよく席を立った。
「お、お父様に言いつけてやりますからね!」
私は冷静に返す。
「どうぞご勝手に。でも、覚えておいてください」
私はにっこりと笑った。
「あなたより私たちの方が身分が高いということを。さっきの侮辱を兄に言えば、あなたの身分くらいどうすることもできますからね。あ、他の方々も例外ではありませんよ」
私は静かに席を立ち、令嬢たちに一礼してみせる。
「それでは、ごきげんよう」
そうして私はその場を後にした。