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「マジで来ちゃったよアメリカ……」
無事にパスポートが取れた三日後、絵斗は、らだ男に言われた通りの飛行機に乗って、アメリカの空港に降り立っていた。
(らっだぁ、ちゃんと来てるよね、一人でいるのめっちゃ心細い!!)
英語だってろくに話せない。しかし、らだ男はどっちも話せるし、あのハイスペック野郎め。
「ぺいんと!」
良かった、らっだぁいた!振り向いた先に、らだ男の姿を見付けて、絵斗は、ほっと胸を撫で下ろした。
「ぺいんと、ジャングルの中で怯える小動物みたいな顔してるwww」
「だ、だって、周りみんな外国の人ばっかだし……」
「荷物それだけ?」
スーツケースを受け取ると、らだ男が付いて来いとばかり歩き出す。
今日のらだ男は、日本で見た時より数段オシャレだった。比べて自分はいたって目立たぬ一般人。
周りにどう思われるだろうかと辺りを見回すと、皆自分のことに夢中で、誰も二人を気にしてなどいなかった。
「真っ直ぐ俺の家に行くけど、いい?」
「ん?うん……あ、ちなみに、俺はどこに泊まるの?」
「だから、俺んとこ行くんでしょ」
「えぇと……つまり、らっだぁの家に寝泊りするってこと?」
「何か問題ある?」
ある、と思うけど、何て言っていいか分からない。
確かに、異国の地でぼっちホテルはハードルが高い。だがしかし、らだ男の家に……泊まる……
(そうか、一人暮らしとはいえ、すっごい広い家に住んでるのかも。客室とかいっぱいあるような!)
なら安心かなと思った絵斗だったが、実際に辿り着いてみると、立派であることに間違いはなくとも、
部屋の数はそうたくさんあるわけではなかった。
「でも、めちゃくちゃ綺麗だし、お洒落……家具とかも高そう……」
無駄な物は一切なく、整理整頓されているのも、らしいなと思ってしまう。
「荷物は寝室に置いとくから、その部屋のもんは、ベッドも全部ぺいんとが使って。俺はリビングのソファで寝るから」
「いいよ、俺がソファ使うから」
「あそこが一番静かだし、陽の光も気にならない。ぺいんとにはその方が楽でしょ?」
「でも、悪い気が……」
「気にしなすんな」
「うん…..」
らだ男が冷蔵庫から、ペットボトルの水を出してきた。礼を言って受け取ると、冷たいそれで喉を潤す。
「それで、例の食事会はいつなの?」
「明後日の夜。明日はその準備だね」
「準備って……ああそっか、口裏合わせるために作戦練るってこと」
「いいや?ぺいんとが着る服を買いに行く」
「へ?」
「かなり高級なホテルでの食事だから。それなりの礼装が求められるからね」
「マジか」
フォーマルな服装が必要だとは思ってたけど、想像以上にレベルが高いらしい。
「あんまり高いお店はちょっと……持ち合わせに不安が……」
「費用は全部俺が出すって言ったでしょ。店ももう決めてあるし」
「えぇえ……!?」
しれっと言わないでほしいんですけど。
だが、らだ男は何も問題ないとばかり、絵斗の方を見遣った。
「ところで、お腹は減ってる?」
「ううん、大丈夫」
「なら今日はもう風呂入って寝たら。時間も遅いし、疲れただろうしね」
「確かにここまで超遠かったけど、飛行機の中でも寝たから、割と元気かも」
「そう言ってるうちに休んどいて。あ、風呂っていってもシャワーしか無いけど」
タオルとか必要だったらここの使えと浴室の中を一通り説明されて、
絵斗はスーツケースから取り出した着替え諸々を手に中へ入った。
「…………今更だけど、緊張する」
らだ男が普段使っている浴室を自分が使うなんて、色々想像するとヤバい。いや、想像するな、変態か俺。
「ち、違うよ、変な想像じゃなくて――」
「ねぇ」
「ひゃい!?」
ドアの外から声が聞こえて、絵斗は飛び上がった。まだ服着てるから良かったけど、びびびびっくりした。
まさか、今の独り言聞かれ――
「鍵は掛けないで。何かあった時、助けれないから」
「え……」
「急に気分悪くなったとかあっても、開かなかったら困るから」
あぁ、そういうことか。
「分かった。ありがとう」
慣れない飛行機旅の後だから、念の為声を掛けてくれたのだろうが、そうやって気を遣ってくれたことが嬉しかった。
(よし、平常心、平常心。あとはもう、ここはホテルだと思えばいいんだ!)
脱いだ服を丁寧に畳み、シャワールームの扉を開ける。
手早く全身を洗い、髪も同じように洗い流して脱衣所に戻ると、寝間着に着替えた。
寝間着といってもパジャマではなく、セットアップのルームウェアなので、人前に出ても恥ずかしくない。
最後にドライヤーで髪を乾かすと、外を窺うようにしながらドアを開け――「お先しました」と、
リビングにいるらだ男に向かって声を掛けた。
「うん」
「何見てるの?」
「会社の売上状況」
「オフなのに熱心だね」
ソファに座ってPCを眺めていたらだ男が、その言葉に顔を上げる。
目が合って、何故かどきりとするが、何でもない風を装って言葉を続けた。
「あのさ、明日の朝でいいから、着替えを洗濯したいんだけど……」
「好きに使っていいよ。洗剤は隣の棚だから。使い方分かんなかったら、後で聞けばいいよ」
「うん。……えっと、じゃあ……も、もう寝よっかな。おやすみなさい!」
久しぶりなのだから、本当は色々話したかったし、らだ男の隣で一緒に動画を見るとか、そんなこともしたかった。
けれど、シャワー後に二人きりというこの状況が、急に居た堪れなく思えて、
絵斗は逃げるように一人寝室へと向かったのだった。
寝室のドアを閉めると、絵斗は、ふぅと息を吐いた。
リビングに耳を澄ますが、特に物音は聞こえない。
熱いシャワーを浴びたらどっと疲れが出たけど、緊張してすぐには眠れなさそうだ。
らだ男が普段使っているのであろうベッドは、シーツも全部綺麗に整えてあって、
絵斗が来る前に用意してくれていたことが分かった。
同じ屋根の下に自分が居ても、らだ男は何とも思わないのだろうか。
それはそうだろう、婚約者の代わりを務めるとはいえ――絵斗を恋愛対象として見たことなんてないのだろうから。
「……でも、それなら俺にわざわざ代役なんて頼まなくても、気になる人の一人や二人いるんじゃないの?」
相手が誰であったって、らだ男が告白すれば一発OKだろう。断る理由など一つもない。
地位も名誉もルックスも頭の良さも全部併せもっているのだ。
もちろん、そうした表面的なものよりも、絵斗は、らだ男がらだ男だからこそ好きなのだけれど、
同じように思う女性はたくさんいるはずだ。
らだ男は天才だが、決して努力せず何もかもを手に入れたわけではない。
夢を実現するために、それこそ彼は人生の全てを賭けていた。
勉強以外ほとんど何も興味を示さない彼だったが、だからこそ天才になれたのだろう。
でも、もうすぐ彼がその夢を実現させた暁には、大事なものはきっと増えるはずだ。
特別に想う誰かと添い遂げて、新しい夢を見ることもあるかもしれない。
その時、自分はどこで何をしているだろう。
おめでとうと祝福しながら、今度こそかつての恋を忘れられるのだろうか。
(ずっと……傍で見て居られたらいいのに……)
彼のことも、彼の夢も、一緒に追えたなら、それは何て幸せな日々だろう――
ふと浮かんだそれに、ぺいんとは小さく自嘲を浮かべて……ゆるやかに、落ちるように……夢の中へと沈んでいった。
はい!
ということで今日はバレンタインですよ!
皆様は誰かにチョコとか上げましたかそれか誰かにチョコもらいましたか?
と言っても、土曜日なので月曜日か金曜日に渡す人が多いんでしょうが、、
ですがわたくしは今日バレンタイン当日に『好きな人』にチョコレート渡しましたよ!
友達と一緒に好きな人にチョコレートを渡そうと約束してたんですが!!
友達に裏切られました…ホントにひどい話ですよ!!!
後半は私の愚痴になりましたけども、、皆さんはよいバレンタインを!!!!
(もうすぐでバレンタインデー終わるんですけどもね!!)
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