テラーノベル
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「……と、おーい、起きてぺいんと」
「んん……お母さんお願いあと5分……」
「誰がお母さんだ。布団引っぺがすよ」
「うぇぁ!?……ら、らっだぁ!?」
「もうすぐ朝食できるから起きて着替えて」
「あ、ありが……って、ちょっと待って、今、寝顔見た!?」
「アホ面して涎垂らして寝てたよw」
「うそぉ!?」
「冗談だよw何度もノックしたのに返事しないから様子を見に来ただけだよ」
そう言って出て行くらだ男を見送りながら、「最悪」と呟く。
「恥ずかしぬ……」
まあ、子どもの頃は一緒に昼寝とかしてたし、家で2人でゲームして寝落ちたこともあったし、
向こうは今更なのかもだけど――
「一応もう成人してますから……」
目覚ましにも気付かず爆睡した自分を呪いつつ、絵斗は着替えを始める。
その後、洗顔、着替え、洗濯と一通り済ませてダイニングテーブルに付くと、美味しそうな朝食が用意されていた。
「すごい、らっだぁって料理も上手なんだ」
「上手いってほどじゃないよ」
「でも、料理できる旦那さんてポイント高いよ。俺も将来はそういう人と結婚……」
「ぺいんと彼女いないでしょwならまずは相手探しからだねww」
「うっ……そ、そうだけど!」
何故か一瞬不機嫌になったらだ男を不思議に思いながら、絵斗はむっとしながら形の良いオムレツを口に運ぶ。
「美味しい!」
「良かった」
朝食を終え、後片付けも済ませると、らだ男は、「出掛ける支度して」と言った。
例の服とやらを買いに行くらしい。
言われた通り支度をして外に出ると、向かった先は駐車場だった。
「車で行くの?」
「その方が楽だからね」
運転するらだ男を間近で見るのは初めてで、
絵斗は、ここには自分の知らないらだ男がたくさんいるんだなと一抹の寂しさを覚えた。
「らだ男のその夢が叶ったら、次はどうするか決めてる?」
「さぁね」
「ずっとここで暮らすの?」
「別に、ここに一生居続けたいわけじゃないし。自分のいるべき場所がわかったらそこに行くと思う」
「そっか」
「ぺいんとは、実家出ないの」
「そろそろ出たいとは思ってるよ。」
「就職チャレンジ失敗しちゃったから、取り合えずバイトでお金貯めて夢の警察になろうかなって」
前のバイトの店長さんには、「ウチで正社員になれば」って言ってもらったんだけどねと笑いながら言うと、
何故か「止めとけ」と言われた。
「下心で言ってるでしょそいつ」
「はぁ?そんなわけないじゃん。いい人だったよ」
「ぺいんとは、誰でもすぐいい人扱いするから信用ならない」
「知りもしないのにそういうこと言わないでほしいんだけど!」
急に何なのだ全く。
微妙な空気になりながらも車はスムーズに進み、目的の店の駐車スペースで停車した。
「お店ってここ?」
見るからにお高そうなブランド店だ。外観がハイセンスすぎる。
らだ男のことはよく知っているのか、はたまたお得意様なのか、入り口で出迎えた店員が物腰丁寧に挨拶してきた。
『ぺいんとの服を選んで欲しいんだけど』
う、英語だ。全く分からない。
絵斗が怯む中、対応した男性店員はにこやかに言葉を返し、別のフロアから女性スタッフを呼んできた。
どうやらレディースもメンズもどちらも扱っているらしく、ここからは二人別々のフロアに案内されるらしい。
「え、めちゃくちゃ緊張する。どうしよう」
「どういうのがいいかは全部伝えたから、後は店の人に任せるだけでいいから」
「そんなこと言われても…」
しかしらだ男は構うことなく男性店員と行ってしまった。
残された絵斗に品のいい笑みを向けた女性スタッフによって、どうぞというように二階へ案内される。
言葉が通じないので、その後一時間ほどは、本当に全部お任せするしかなかった。気分は着せ替え人形だ。
フィッティングルームで、ああでもないこうでもないと色々試着し、
最終的に女性は満足そうに頷いて絵斗を鏡の前に立たせた。
「うわ、こんなの日本じゃ絶対着ないでしょ……」
「あと、ちょっと恥ずかしんだけど、ワンピースなんて着たことないよぉ」
黒を基調としたその衣装は、胸元と袖に透け感のある生地を使った、
全体的にクラシカルな雰囲気のフォーマルワンピースだ。スカートは膝が隠れる程度の丈で、シルエットが美しい。
腰のリボンとヒールのストラップはお揃いの蒼色そして耳元に付けた大ぶりのイヤリングには黄色の石が揺れていた。
あとはシルバーのブレスレットとリングで完成とばかりOKサインを出されて、鏡の中の自分をじっと見つめていると、
「悪くないね」という声が背後で聞こえて――思わずパッと振り返った。
「っ……」
「似合ってんじゃん」
いやいやいや、似合ってるのはそっちですから!!
フォーマルな恰好をしたらだ男をあまり目にしたことがなかった絵斗は、
よく見ればストライプ調と分かる黒いスーツを完璧に着こなしたらだ男を見て絶句した。
ノーカラーの白シャツにジャケットの釦をきっちり閉めないラフさも彼らしくていいが、それにしても……
『お二人で並んだら、完璧な恋人同士ですね!』
「今、彼女何て言ったの?」
「完璧な恋人同士だって」
「え……」
「むしろ見えないと困るでしょ」
そう、だけど。
らだ男が支払いを済ませる前に、服を脱いで包んでもらわなければならなかったので、そこからさらにまた時間がかかった。
「あとは、明日ホテル行く前に美容室行ってカットとメイクだね」
「ねえ、全部でいくらだったの?」
「ん?別にいいでしょ」
そう言われて、値札を見ながらスマホで必死に調べ、日本円にしていくらなのか分かったところで、
絵斗は悲鳴を上げそうになった。
「け、桁が……ゼロが二つも多……」
「用も済んだし、帰るか」
「待っ……!」
またのお越しをというように、にこやかに送り出されて、再び車に乗り込む。
だが、金額のショックから抜け切れない絵斗は、「ゼロが多い……ゼロが……」とぶつぶつ呟いて、
隣のらだ男に「いつまで放心してのw」とツッコまれた。
「だって、あんなお上品な服、明日が終わったら次いつ着るの!?」
「似合ってたんだからいいじゃん」
「そういう問題じゃ……」
「――他のヤツに見せるのは癪だけど」
「ぇ、何?聞こえなかった」
どこかの車が鳴らしたクラクションのせいで、らだ男の声は届かなかった。
「別に。どっかでメシでも食って帰るか!」
それは魅力的なお誘いだ。
頷いた絵斗を見て、らだ男は一人口端を上げる。
結局、衣装については、有無を言わさぬらだ男の態度に、完全負けした絵斗なのだった。
これは私事なんですが学校が学級閉鎖になりまして、自分も昨日までインフルですごいつらかったんですが、
実質自分七連休なんですごくハッピーなんですよ!!
あと、自分学校ないんでお話の続きの更新が早くなると思います!!!
(いつも通りだったら申し訳ございません)
でも、テンション上がってるんで速いと思います!多分!!
学級閉鎖サイコー!^o^
(七時間授業とかになったら泣きますけどね…)
コメント
1件
一気に全部見たんですが、神作に出会ってしまった…! お体に気をつけて頑張ってください!