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「その子誰ッ!?」
「1人で彷徨ってたから助けた.」
というのが🌸と杉元達との出会い.
「すごいコスプレ,何かの撮影ですか??」
焚き火にあたる全員の時が止まる.
「…違うんですか??」
「杉元,コスプレってなんだ.」
「わからん.」
「好きなキャラの格好することですね.」
「ますます何言ってるかわからん.」
「俺は白石由竹.コイツは杉元佐一でこの子はアシリパちゃん.あんたの名前は??」
白石の言葉で殺伐としそうになる空気がゆるむ.
「🌸です.」
「🌸はどうして山を彷徨ってたんだ??」
「橋から飛び降りたと思ったのに,目を開けたら山の中でした.」
白石はぎょっとした顔であと2人は怪訝な顔をしている.
「橋から飛び降りて無事な訳がない.」
「どんな橋から飛び降りたんだ??」
「◯◯橋で…」
「そんな橋聞いたことないぞ.」
「私も聞いたことがない.」
「ここ◯◯県じゃないんですか??」
「ここは北海道だよ.」
白石の言葉に🌸は開いた口が塞がらない様子.
「とっとりあえず人通りのあるところに行きたいんですけど….」
と,山を降りたはいいが….
「あの…今って2024年ですよね?? 」
「何言ってんだ??今は1907年だぞ.」
「え…??」
というのが物語の始まり.
再び山に入りお互いの状況を整理する.
「アシリパさんのお父さんと隠された金塊を見つけないと帰れないの私….」
「その途中で何とか戻る方法を見つけられないか….」
🌸と杉元は頭を抱える.
「🌸は狩りはできるか.」
「できないです.銃も弓矢も使えません….」
「分かった.じゃあ白石とここで待っててくれ.」
アシリパは杉元に声をかけ立ち上がる.
「食事しながら考えれば何か良い方法が見つかるかもしれないな.」
「そう言えば朝食べたきり何も食べてないや.」
「白石,🌸さんに変なことすんなよ.」
「わかってるって.」
🌸にとっての慣れない旅は壮絶で.
「(不便すぎるー.くそー,なんて所に来てしまったんだ….)」
と思いながら必死に足を引っ張らないように食らいつく.そんなある日,見晴らしのいい崖沿いを歩いていると….
「ここから飛び降りたら2024年に帰れるのかな….」
意を決して飛び降りようとしたら,誰かに強く引っ張られた.
「もう目の前で人が死ぬのは見たくないんだ….」
「ごめんなさい杉元さん,私どうかしてた….」
「🌸,大丈夫だ.帰る方法は絶対に見つけてみせる.だから自分の命を粗末にするようなことはするな.」
「ごめんなさい,アシリパさん….」
その日の夜.
「向こうで私の体,どうなってるんだろ.」
焚き火番をする杉元の横で🌸はふと呟く.
「飛び下りたらここに来たんだから,そこには無いんじゃない?? 」
「分かんないですよ??もしかしたら幽体離脱してて,ここにいる私は幽霊かもしれないじゃないですか.」
「急に怖いこと言わないで??」
「このまま帰れたとして,私の肉体がダメになってたらそれは,死んだも同然です.だとしてもなんで私はここに来てしまったんだ….」
「🌸さんにとって明治の北海道は特別思い入れがあったとか??」
「いやいや,全く縁もゆかりもない場所です….」
また2人は頭を抱える.
「ま,この旅を終えた先に答えがあるんだし,今は何も考えないで寝るに限ります.」
🌸は寝転がって星空を眺める.
「🌸さん,前より表情明るくなったね.」
「ほんとですか??めちゃくちゃ不便だけどこういう生活も悪くないなって思い始めたとこなんです.そうだ,向こうで生きてたらソロキャンプでもしようかな….」
瞼が次第に重くなり,焚き火の温もりを背に眠りについた.
杉元との距離が少し縮まった気がした矢先,網走監獄で杉元は狙撃された.谷垣の制止を振り切って一緒に救出に向かった🌸は第七師団に捕らえられた.