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前回の続きより
康二Side
いつの間にか、俺とラウの後ろに立っていた黒ずくめの男たち。
🧡「お前ら、まさか……」
「よくも俺たちの仲間を騙してくれたな、『Mr.Snow』」
『Mr.Snow』は俺らの戦士名。この名前を知ってる上に今ここに来ることが出来るのは、もう敵のヤツらしかおらへん。……今こいつらと戦えるのは俺だけや。俺は拳を握りしめ、覚悟を決めた。
🤍「こーじくん……」
🧡「大丈夫や。隅におり」
ラウを庇うように前に出ると、リーダーのような男が片眉をピクリとあげた。
「ん?もしかして、戦闘要員はお前しかいないのか?」
🧡「……やとしたらなんや」
俺の言葉を聞いた瞬間、高笑いをする黒ずくめの男。
「一人で俺たちに立ち向かおうとしてるのか?ハハハッ、とんだ馬鹿者だな。いくら特殊能力があったとて、俺たちに勝てる訳がない」
そう言うと、喋っていた男の後ろから黒ずくめの男がさらに六人ほど出てきた。
🤍「多い……!」
🧡「俺の強さも知らずに、よくそんなこと言えるなぁ。そっちの方がとんだ馬鹿者やで」
「何を……!」
🤍「こーじくん、回復なら任せてね」
🧡「おう、頼んだで」
俺はそう言って、腰につけていた剣を抜き出す。
🧡「俺の力、存分に見せつけたるわ」
次の瞬間、俺は能力を放って光のようなスピードで敵に近づく。俺の能力は『コメディサンダー』。剣と一緒に電気の力を使う。
🧡「ゴイゴイスパーク!」
持ちネタの一つ『ゴイゴイスー』と電気の力を掛け合わせた技を放つ。不意打ちの技に怯む敵の腹に、すかさず剣を入れ、斬った。
敵は人間に見えるけど、実は『人の形をした何か』のため、血が飛び散る代わりに黒いモヤを放って消えていく。
🧡「もみしゅりサンダー!」
今度は、持ちネタの一つ『もみあげ手裏剣』の動きをしながら指を鳴らし、敵全体に稲妻を降らせる。
「ぐあぁっ!」
敵が衝撃と電気で痺れ苦しんでいる間に、
🧡「てぃやぁ!!」
剣を振り上げ次々に敵をぶった斬る。ちょっと卑怯やけど、これくらいのことはせんとな……。
🤍「すごい、こーじくん!」
🧡「まあ俺にかかれば、これくらい余裕やわ!」
戦闘時間二十分ほどで、俺は十人の敵を全員倒した。……ラウに何事も無くて良かった。ホッと胸を撫で下ろす。
🤍「お疲れ様。守ってくれてありがとう」
ラウはそう言うと、能力で俺を回復してくれた。ところどころに出来ていた擦り傷もキレイに無くなり、疲れていた体も元気になった。……それにしても、よう擦り傷だけで済んだなぁ俺。メンバーと比べたらまだまだやけど、俺って結構強いんちゃうか?……なーんて呑気な考えを頭に浮かべる。
🧡「ありがと、ラウ! ラウを守れて良かったわぁ」
💚「大丈夫?! ラウ、康二!」
🖤「おー、すごい。全員倒したんだ」
勢いよく扉が開いて、阿部ちゃんとめめが部屋に入ってきた。
🤍「あ、めめ!阿部ちゃん!」
💚「来るの遅くなってほんとごめんね……」
🧡「大丈夫やで!ここに来たヤツらは俺が全員倒しといたから!」
グッドサインをしながら得意げに俺が言うと、ほんと凄いよ!とめめもあべちゃんも笑顔で褒めてくれた。
🖤「阿部ちゃんがもっと早く落ち着いてくれたら、こーじと協力出来たのに……」
💚「それはほんと悪かったって!マジでごめん……!」
いたずらっぽくそう言うめめに、ずっと謝り続ける阿部ちゃん。こんな光景見ることなんてほとんど無いから、自然と俺の口角も上がってきてしまう。
💚「あ、康二何笑ってるの!」
阿部ちゃんにバレてもうた……頬を膨らませながら近づいてくる阿部ちゃんに、俺は後ずさりして弁解する。
🧡「ちゃうて!こんな光景滅多に見んから、なんか微笑ましいなぁって……」
🤍「それ結局阿部ちゃんのこと笑ってるよね?」
💚「ひどいよ康二!!」
🧡「ほんまにちゃうて!ごめんってー!」
その場でしばらく追いかけっこを続ける俺と阿部ちゃんやったけど、めめとラウは真面目に任務の話をしていた。
🤍「そういえば、岩本くんたちの方は大丈夫なの?」
🖤「いや、それが結構ヤバいみたいで……今たぶん五人で戦ってるはずだよ」
🧡「え、戦っとるん!?」
めめの言葉に、俺は走るのをやめてめめの方を振り返る。すると、俺を追いかけていたあべちゃんが俺の肩に手を置きながら説明してくれた。
💚「そう。二人が気づいてくれたあの低音、やっぱり呪文だったみたいで。翔太がそのことをポロッと零しちゃって、向こうも本性を表して……って感じみたい。佐久間が教えてくれた」
向こうもなかなか大変なことになっとるんやな……俺は床に放置していたイヤホンを見つめ、五人のことを頭に浮かべる。あの五人ならきっと大丈夫や。
俺らは信じて、ただ待つしかなかった。
(続く)