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#山中柔太朗
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「あれ〜? だいちゃんは?」
午前中の外来がひと段落した診察室。
ふと周囲を見回した勇斗が首を傾げた。
処置カートの片付けをしていた柔太朗が、ふっと呆れたように微笑む。
「あ、太ちゃんならさっき『ちょっと売店行ってくる〜!』って出ていったよ」
「……あいつ、また勤務中に勝手に抜け出したの?」
パソコンから目を離さずに仁人が溜息をつく。
「……自由すぎるにも程があるでしょ。まったく」
「でもさ、太ちゃんのおかげでさっきまで泣いてた小児科からの患者さん、笑顔で帰っていったんやで!」
「それとこれとは別」
後ろから資料を抱えた舜太が庇うように口を挟むと、仁人が一蹴。
ちょうどその時、ドアが『バン!』と勢いよく開いた。
「ただいま〜! みんな、見て見て〜!」
両手に大きなコンビニ袋を下げて入ってきた太智が、太陽みたいな笑顔を咲かせる。
「太智どこ行ってたの?」
「売店の新商品! 数量限定の特製苺大福、人数分ゲットしてきたで〜っ!」
「お〜っ! マジで!? 太智ナイス!」
「お菓子で買収しようとすんな」
勇斗がパッと目を輝かせる横で、仁人がと冷たく言い放つ。
だが、太智はそんな仁人の隣へすり寄り、ニシシと笑いながら袋からひとつ取り出した。
「え〜? じんちゃん、これ『こしあん』やで? 仁ちゃんこしあん好きやろ〜?」
「……っ、だ、誰がこしあん好きだって……」
「目ぇ泳いでるやん! ほら、一回手ぇ止めて一緒に食べよ〜っ!」
諦めたように仁人が大福を受け取ると、診察室が一気に和やかな空気に包まれた。
柔太朗と舜太が嬉しそうに大福を頬張る。
「うわっ、これめちゃ美味い! 太智ちゃんごちそうさま!」
「せやろ〜! 売店のおばちゃんと仲良くなってな、『太ちゃんにだけ先に置いといてあげたで』って言われたんよ!」
「さすがだいちゃん! コミュ力化け物やね!」
勇斗が笑いながら大福を口に放り込む。
誰に対してもフランクで温かい。
売店のおばちゃんから泣いている子ども、気難しいおじいちゃん患者まで、一瞬で笑顔にしてしまうのが太智の天才的なところだった。
「太ちゃん、お菓子はおいしいけど、午後の処置室の準備は手伝ってね?」
「はいはーい!」
柔太朗がモグモグしながら釘を刺すと、太智は大福を粉まみれにさせながら元気に返事をした。
「任せとき! 午後も俺がバチッと現場和ませたるから!」
「現場を和ませる前に、まずは整理整頓からね。さっきの備品、棚に戻してないでしょ」
「あ、バレた? じゅう厳し〜!」
テヘッと笑って頭を掻く太智に、舜太が大爆笑し、仁人もお茶をすすりながらフッと口元を緩める。
「よし! 甘いもん食べたし、今日も一日がんばろーう!」
「もう午前終わってんだよ」
「お、珍しく柔太朗がツッコんでる…」
その後も柔太朗による太智へのツッコミは続いた。
コメント
1件
第8話「苺大福」、めっちゃほっこりしました…🥺💕太智ちゃんの「こしあんやで?」って仁人を狙い撃ちするところ、ずるいほど可愛い…!診察室の空気が一瞬で和むの、読んでてこっちまで温かくなりました。おばちゃんと太智の信頼関係も尊い…甘いものって、ほんとに人を溶かすんだなあ。午後もこのチームなら大丈夫って思える回でした🍓