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#山中柔太朗
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「あれ? 俺、モバ充どこやったっけ……?」
昼休み、部屋のすみっこで、舜太が棚の上や引き出しをガサガサと漁っていた。
「舜太、なにしてんの? 踊ってんの?」
外来を仁人と交代した勇斗がで、パイプ椅子をガラガラと引きずりながらやってきた。
白衣の袖を雑に捲り上げた腕を椅子の背もたれに預け、面白そうに舜太を覗き込む。
「踊ってないよ! ねぇ、はやちゃん、俺モバ充どこやったっけ…?」
「どうせそのパンパンに膨らんだポケットに入ってるよ。何、お前のポケット、ドラ◯もんでも入ってんの?」
「ドラえもんは入ってない!それいうならひみつ道具でしょ。あ、これ先週のフリスクだ。あ、こっちは売店で買ったお菓子のゴミ……」
舜太は両手を突っ込んで、必死にモバ充を探している。
ワケのわからないものが次々とポケットから掘り出されていく様子に、横を通りかかった太智が引いていた。
「なんでそんなゴミ入れてるの…?宝物?」
「違うよ! 捨てるタイミング逃しただけ!」
「じゃあ今捨てちゃいなよ。どうせのポケットの中ゴミしか入ってないでしょ」
「太ちゃん!!そんなことないから!」
辛辣な太智のツッコミに大爆笑する勇斗。
半泣きでポケットをひっくり返している舜太の首根っこを、後ろからひょいと掴む手があった。柔太朗だ。
「舜太、一回全部出しな。俺も整理してあげるから」
「柔……! 神……!」
診察室のテーブルの上に、舜太のポケットから出された物たちが山のように積み上がった。
分厚い服薬マニュアル、使いやすそうなペンライト、メモ帳3冊、謎の駄菓子、潰れた消しゴム……。
その他もろもろ、合計30個のものが出てきた。
「すごっ。よくこれで白衣破けないね」
「ホントにね…俺も今思ったもん」
勇斗が、驚きながら舜太のポケットから出てきたものを物色する。
「いや、でもゴミじゃないものも入ってるもんね」
柔太朗が器用にペンとメモ帳を仕分けながら言った。
「このメモ帳、全部患者さんの名前と『錠剤が飲みにくいから粉砕希望』とか『朝は起きられないから昼服用に調整』とか、一人ひとりの特徴がびっしり書いてある」
「あぁ、覚えるのが苦手だし、全部書いちゃおと思って」
舜太が恥ずかしそうに頭を掻くと、太智がふっと笑った。
「薬剤師としては満点でしょ。整理整頓は壊滅的だけど」
「だいちゃん!褒めてるのか貶してるのかどっち!?どっちも嬉しくないけど!!」
「褒めてる褒めてるー(棒)」
そう言いながら、太智は自分のデスクの引き出しから、透明なファイルケースと小さなポーチを取り出して舜太の前に放った。
「…あげる。分類して入れなよ」
「え!?太ちゃん!? 優しい……!!ありがとう!!」
「流石にこのひどさを見るとねぇ。吉田さんに何言われるか分からないし」
机は先ほどの整理整頓で、舜太のポケットのものが散乱。
モバ充を探した結果、棚の上は乱雑に物が置かれ、引き出しは出しっぱなし。
まさに泥棒が入った後のような診察室の惨状に四人は無言になった。
「あー……、取り敢えず片付けよう」
「そうね、一旦ね、」
「ごめんな、俺のせいで…」
「い、いや…大丈夫よ…」
そう言いつつも、思ったより酷い現実をみんなで眺めていたその時——。
カチャリ、と診察室のドアが開いた。
「午前中の外来終わったけど、……って、何これ」
外来を終えて戻ってきた仁人が、ドアの縁でピタリと足を止めた。
眼鏡の奥の鋭い眼光が、散らかり放題の机、出しっぱなしの引き出し、そして山盛りのゴミをゆっくりと見回す。
さらに静まり返る部屋。
顔を見合わせる四人。
仁人はゆっくりと眼鏡を外すと、目頭を押さえて深々と溜息をついた。
「全員、そこに正座しろ」
「「「「はい……」」」」
「誰?主犯は」
「舜太です」
「え!?はやちゃん!?」
「舜太!!」
勇斗の凄まじい手の平返しに驚く舜太に仁人が一喝。
その後、仁人のお説教は2時間続いた。
コメント
1件
わあっ、舜太のポケットから30個もアイテム出てきたのウケたw🤣 しかも半分はゴミじゃなくてちゃんと患者さんのメモだったんだね…!あの細かい気配り、めっちゃグッときたよ…!最後の仁人の「正座しろ→2時間お説教」も秀逸すぎたし、勇斗の手のひら返しで「舜太です!!」の流れが最高だよ…!!!(全員のキャラが生きてるのが伝わってくる回だった…!🌸