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最初におかしいと思ったのは、
あっきぃが「大丈夫」しか言わなくなったことだった。
ミスしても笑う。指摘されても笑う。
置いていかれても、笑う。
【あき】「俺だから平気でしょ!w」
その一言で、全部を終わらせる。
――それが、一番危なかった。
企画終わりの楽屋。
珍しく、誰も騒がなかった。
俺は真剣な顔であっきぃ話しかけた。
【ぷり】「なぁ、あっきぃ」
「最近、俺らの前で“本音”言ってないよな」
あっきぃは一瞬だけ目を泳がせて、すぐ笑った。
【あき】「また急に何?w」
「俺いつも本音だけど?」
【ぷり】「嘘つくな」
はっきりした否定に、空気が張り詰める。
【ぷり】「さっきの企画さ」
「無理して盛り上げてたの、分かってた」
「ミスも、視線も、全部一人で被って」
「それであっきぃが“楽しかったね!”って言うの、
正直しんどい」
あっきぃの笑顔が、少しずつ崩れる。
【あき】「……別に」
「俺がやりたくてやってるだけだし」
【まぜ】「違う!」
まぜたが、声を荒げた。
【まぜ】「それ、自己犠牲だろ」
「誰もあっきぃにそこまで求めてない」
【あき】「求めてないなら――」
あっきぃの声が、急に低くなる。
【あき】「じゃあ俺は、何?」
全員が息を止めた。
【あき】「盛り上げなきゃ価値ない」
「面白くなきゃ必要ない」
「そう思ってたから、やってただけ」
「……それの何が悪いの?」
誰もすぐに答えられなかった。
その沈黙が、決定打だった。
【あき】「ほら、w」
「やっぱ俺がいなくてもいいんじゃん、w」
笑おうとして、失敗した声。
【あき】「俺さ」
「嫌われないようにしてただけなんだよ」
あっきぃの指が、ぎゅっと握られた。
【あき】「嫌われないために」
「邪魔にならないように」
「ちゃんと“役”やってただけ」
「でもさ(微 震」
声が震え始めた。
「それでも、一人になるの、怖くてさ(声 震」
――ぽたっと、床に落ちる音。
それは、あっきぃの涙だった。
【あき】「……なんで、誰も言ってくれなかったの」
「俺、ちゃんとここにいていいって」
顔を覆って、しゃがみ込んだ。
【あき】「俺がさ、いなくなったら楽になるんじゃないかって」
「考えたこと、何回もあった」
その瞬間、全員が動いた。
【まぜ】「ふざけんな!」
まぜたが強く言った。
【まぜ】「それ、一人で決めんなよ」
【ちぐ】「気づけなくてごめん」
【けち】「押し付けてたかも」
【あと】「当たり前みたいに、あっきぃが笑ってるって思ってた」
あっきぃの肩を、背中を、腕を、
次々に手が包む。
【まぜ】「一人になるな」
【ぷり】「逃がさへん」
【ちぐ】「泣いていいよ」
【あき】「……っ、ずるい……」
嗚咽混じりの声。
【あき】「今さら、そんな……」
【ぷり】「今だから言うんだよ」
俺は、はっきり言った。
【ぷり】「いなくなったら困るとか、そういう次元じゃない」
「あっきぃがいないAMPTAKは、成立しない」
【あと】「役じゃない」
【まぜ】「笑えなくてもいい」
【ちぐ】「弱くてもいい」
【けち】「“あっきぃ”だから一緒にいる」
あっきぃは、とうとう耐えきれなくなって、声を上げて泣いた。
【あき】「…っ…こわかった…グスッ…」
「ずっと……」
抱きしめられたまま、震える背中。
誰も離れなかった。
【まぜ】「もう一人で抱えるな」
【あと】「俺らがいる」
【ちぐ】「何回でも言うから」
あっきぃは、涙でぐしゃぐしゃの顔で、かすかに笑った。
【あき】「……逃げないでいい?」
【ぷり】「逃がさん」
【まぜ】「一緒に落ちて、一緒に戻る」
AMPTAKは、
あっきぃを“盛り上げ役”としてじゃなく、
“仲間”として、全力で抱き止めていた。
壊れる前じゃない。
壊れてしまった、その瞬間に。