クリスマス•イヴの夜。
僕はNoctyxの五人でクリスマス•イヴを過ごした。パーティー、というほどでは無いかもしれないけど、リビングをちょっと飾り付けたりなんかして。部屋が僕の大好きなキラキラで溢れてて、綺麗だった。
みんなで食べて、飲んで、ゲームして。クリスマスの存在自体は知っていても、それを祝ったりした事なんてなかったから凄く新鮮で、この4人に出会えて本当に良かった、なんて思った。
楽しい時間はあっという間に過ぎていって、もう日付が変わる頃。
「ふーふーちゃん、ほら、ベッド行こう」
最初に切り出したのは浮奇で、少し眠たげに舟を漕ぐファルガーの頬を優しく撫でてそう言った。
「ん…ああ、そうだな」
ファルガーもそれに同意して、二人してリビングを出て行く。
残ったのは僕とサニー、ユーゴ。
ユーゴもさっきから眠そうで、いつもの騒がしさはかけらもなかった。
「ん、俺も眠いからもう寝るわ。おやすみ、猫ちゃん」
「ユーゴおやすみ〜」
「おー」
大きなあくびをひとつして、ユーゴもリビングを出て行った。
静まり返ったリビング。
洗い物はおおかた浮奇がしていたから、机の上は綺麗だし、みんなで楽しんだゲーム類も片付けられている。
みんなで楽しい時間を過ごした後の、なんとも言えない寂しさは、ちょっと苦手だ。
さて、なんで僕が残ったかというと。
「さにぃ、起きて〜」
ソファで寝息を立てているサニーをどうにかする為だ。
僕はそこそこお酒は強いけれど、サニーはすぐふわふわになっちゃうから。
さすがにこんなところで寝てたら風邪をひくかもしれないし、ずっとリビングの暖房つけとくわけにもいかないしね。
肩を軽くゆすると、ぼんやりと瞼が開いて、瞳の焦点が僕に合わせられる。
「ほら、僕じゃおにぃ部屋まで運べないから。立てる?」
そう言って、僅かに赤みのさすサニーの頬を両手で包み込めば、
「んん、あぅばん…」
「にぎゃっ」
蕩けたような声で名前を呼ばれ、そのままぎゅぅっと抱きしめられた。
かなりの強さだったから、思わず猫が潰れたみたいな声が出てしまった。サニーは相変わらず、酔っていると力加減ができないらしい。
首筋にあたる柔らかな金髪が擽ったくて、小さく身を捩る。
「さーにぃ?今日ちょっと飲み過ぎだよ?」
たしなめるように言ってみるけれど、
「そんなことは、ないと思うけどなぁ…」
ふわふわと返事をして、サニーは僕の首筋にすりすりと額を擦りつけた。
こういう時のサニーは、なんというか…かわいい。普段は皆のお兄ちゃん的存在で、大人びているけれど。彼は酔うとこいぬみたいになってしまう。
なんだか無性に世話を焼きたくなるというか。
———だから、油断してた。
「あぅばん…」
気付いたらソファに押し倒されていた。
二人分の重みでソファがきし、と軋む。
「はぇ…?」
あれ、待って、なんで。これまずくない?
頭の中で警鐘がガンガンと鳴り響いている。抱きしめられた時もそうだけど、酔っているサニーは加減というものを知らないから危険だ。
慌てて抜け出そうとするけれど、手をがっちり掴まれていて身動きが取れなかった。
アメジストの瞳は据わっていて、ふわふわしているのにどこか色気を孕んでいる。
「ちょ、ちょっと待ってさに…んむっ」
突然がぷりと唇に噛みつかれて、そのまま唇をふにふにと喰まれる。
頭のまだどこか冷静な部分でどうしたものかと思案していると、今度はぬるりと唇を割って舌が侵入してきた。
「ん、っ…!?さに……待…っ」
咥内を隈無く舐め回され、歯列をなぞられ、擽ったさともむず痒さとも言えない感覚が背中をはしる。ぢゅっ、と舌を吸われて、意思とは無関係に体がピクリと跳ねた。
「んっ……ふぁ………、っさにぃ……」
きもちいい。
だんだんそれしか考えられなくなって、身体から力が抜けていく。
掴まれていた手はいつの間にか解放されていたけれど、与えられる快楽をどうにか逃したくてサニーの服の裾に縋り付いていた。
「…っはぁ、あぅばん……」
どのくらいたっただろうか。
舌が痺れてきた頃、ようやくサニーは唇を離してくれた。
僕とサニーの間に銀の糸ができて、ぷつりと途切れた。
「…は……、っふ、…あぅ…」
酸素を求めて喘ぐように呼吸をする僕を見て、サニーはどこか妖しさを纏った笑みを浮かべた。
「あぅばん、かわい……」
「ふにゃぁ…ッ」
耳元で囁かれて、思わず変な声が出てしまう。
そんな僕の反応に気を良くしたのか、ちゅ、と軽いリップ音をたてながら、何度も耳を啄まれる。サニーは楽しそうにくすくすと笑みを零しながら、僕の首筋に顔をうずめた。
「んん、っさにぃ、もうやめ……!」
必死になって止めようとするけれど、サニーは全く聞く様子がない。
「……ッ」
首筋を這っていた舌が不意に止まったかと思えば、ちり、と微かな痛みを感じて、小さく息を詰める。
サニーの左手は僕のズボンにかけられ、右手は今にもセーターを捲り上げんとしている。
今度から絶対サニーにお酒飲ませ過ぎちゃいけないな、なんて考えつつ、キュッと目を瞑って抵抗を諦めたその時、
「……、……すぅ…」
「……へ?」
僕の耳に届いたのは寝息だった。
え、このタイミングで!?なんて思う間も無く、力の抜けたサニーがもたれかかってくる。
「わわ……っ!」
咄嗟に抱きしめたはいいけど、どうしようかと考える。
「…………。」
なんだかどうでも良くなってきて、そのままソファで僕も寝ることにした。
明日浮奇に怒られちゃうかな。ユーゴに叩き起こされるかもしれない。それとも呆れた様子でふーちゃんが起こしてくれるだろうか。
でもまぁ、今は。
「…おやすみ、さにー」
大好きな人のぬくもりの隣で、僕はそっと目を閉じた。
コメント
2件
可愛い。。最高ありがとう。