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俺様生徒会長に鳴かされて。

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俺様生徒会長に鳴かされて。

41 - Last Lesson わたしは、あなただけの小鳥 11

♥

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2025年03月04日

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いよいよ学校祭当日がやってきた…。

彪斗くんは朝になってもやっぱり姿を現さなかった。

「彪斗のヤロー、いったいなーにやってんだ?」

苛立たしげに言った洸さんを、寧音ちゃんが大きな目でにらんだ。

「大丈夫だよ!彪斗は来るよ…絶対…」

けど、その声もいつもよりも沈んでいた…。

『どうしても断れない仕事をしなきゃならなくなった。しばらく戻らない』

寧音ちゃんが心配して電話やメールを彪斗くんに送りまくった結果、いなくなった翌日の夜遅くに返って来たのが、この簡素なメール一通だった。

『しばらく、っていつ?』

『今どこにいるの?』

そんな質問をその後も何度もしたけれど、それからはまったく返ってこなかった。

電源を切っているみたいだった…。

「…まぁ、あの彪斗と言えども、仕事の世界となると力関係には気を使わないといけないから、こういう事態になることって、けっこうある方なんだけど…それにしてもアクセス悪すぎだよ…。なんか、避けられてるみたいじゃん…」

寧音ちゃんの深長な言葉に、ぎくりとなる。

寧音ちゃんの勘、半分くらいは当たってるかも…。

彪斗くんはきっと、わたしに会いたくないんだ…。

きっと、お仕事は本当なんだと思う。

玲奈さんに連れてかれる直前に彪斗くんにかかってきた電話、あれがきっと依頼の要件だったんだ。

本当は、断ろうと思っていたのかもしれない。

でも、わたしがあんなふうに拒絶してしまったから、

『意地悪』なんて言ってしまったから、怒って…

彪斗くん…。戻って、くるよね…?

お願い、戻ってきて。

わたし、あなたに伝えたいことがあるの…。

「大丈夫だよ、優羽ちゃん。彪斗はきっと来るよ。だってあの彪斗だもん!優羽ちゃんのヒーロー役を途中で投げ出したりなんか、するわけないじゃない!」

押し黙っているわたしを心配してくれたのか、寧音ちゃんが励ましてくれた。

「うん…」

そうだよね。

あの彪斗くんが、なにかを途中で投げ出すなんてこと、するわけがない。

わたし信じる…。彪斗くんを信じる。

「あー、あれ、マキプロの社長じゃね?すっげー、あんな大御所までくるとは…たかが学校祭の劇だぞ」

「うわ…一番前にはジーベックスの営業部長までいるよーぉ?ちょっと、さすがに緊張してきた・・」

開演間際。

舞台袖から観客席をのぞく洸くんと寧音ちゃんが、そろって顔をしかめた。

「わ…すっごい人…」

ふたりの背後からのぞいたわたしも、びっくりする。

三千人は入る観客席には人が溢れかえっていて、立ち見スペースすらない状態だった。

けど無理もない…。

だって敏腕プロデューサーの一瀬雪矢さん総指揮で、出演者と言えば、今をときめく売れっ子の寧音ちゃんや洸くんだし。

しかも、王子様役は、子役を引退して以来、滅多に表舞台に姿を出さなくなった彪斗くんだ。

この前のパークにいた大学生のお姉さんがいい例で、露出は極小と言えども、彪斗くんのことを知っている人は知っている。

この機会を逃せば、今後、生の惣領彪斗を拝めれないかもしれない、と躍起になっているんだ…。

ただの学校祭の劇といえ、これほど豪華なものは、そうそうない…。

チケットは数秒で完売してしまったと聞くし、洸くんと寧音ちゃんによると、業界の偉い人もかなり多く来ているそうだし…。

うう…。

それなのに、こんな一般人のわたしが、主役なんか演じて大丈夫なのかなぁ…。

どうしよう…今更緊張してきたよ…。

ヘンな失敗なんかしたら、みんなに恥をかかせてしまうし…

それに、彪斗くんの久々の演技に、泥をぬってしまう…。

けど…。のまれないぞ…。

この役をやりたいって言ったのは自分。

一生懸命この日のために練習してきたし、みんなにもたくさん助けてもらった。

それに、見てほしいの。

彪斗くんに。

彪斗くんのおかげで、わたしここまでできるように変われたんだよ、って証明したいの。

彪斗くんは、きっと来てくれる。

だからわたしも自分を信じて、がんばる。

開演を告げるブザーが鳴った。

ステージや観客席が一気に真っ暗になって、アナウンスが入る。

―――これより「シンデレラ」を開演いたします。―――

ステージに煌々と照明が点いた。

幕がゆっくりと上がる。

ついにわたしは運命の初ステージを踏んだ。





第一幕は、継母と姉とシンデレラのやりとり。

継母役は、なんと洸くん。

そして、姉役は寧音ちゃんだ。

中年女性役にもかかわらず、さすが実力派で名高い洸くんの演技は見事だ。

寧音ちゃんの姉役も、イヂワルなのに、なんだかかわいくて嫌みがない。

しかも、いつもの素のやり取りをそのまま持ってきたような親子の掛け合いは、コメディみたいに絶妙で、早くも観客席を笑いに包んでしまっている

イビリのシーンすら、面白おかしく見せてしまうんだから、さすがだ。

わたしも、ふたりに負けないように、アドリブにもついていく。

一週間の間に洸くんに猛特訓してもらった甲斐あってか、わたしの演技も、ふたりには及ばなくても、棒読み状態からは脱していた。

観客のつかみも上々。

舞踏会へ行けず置いてきぼりにされる第二幕の最後まで、なんとか無難に進むことができた。

そうして、第三幕、魔女の登場。

ここで、会場を驚かすサプライズがあった。

俺様生徒会長に鳴かされて。

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