やっとの思いで隠れた場所は
路地裏のゴミ捨て場の物陰。
世界も私なんかには味方してくれないのか
空からは沢山の雫が降ってくる。
私はオバケが濡れないように抱きしめると
オバケと目が合う。
「こんな大事になってごめんね」
そう言いながら私は苦笑いをする。
水溜まりには私とオバケが映ってる。
「なんか鏡の中の世界みたいだね」
と言いながらオバケの方を向くと
明らかにさっきよりもオバケの数が
増えていた。
そして最初に助けたであろうオバケが
ゴミ捨て場から何かを引っ張り出している。
呆然としていると次々と他のオバケ達も
それを引っ張っているようだった。
次の瞬間、ガタンという音と共に現れたのは
鏡だった。
そしてオバケは私の手を引いて
鏡の方を指さしていた。
指というか手だったけど…。
「え?」
私が不思議に思ってると、
「プー」
と言いながらオバケ達は私を鏡に押し当てた。
「え、ちょ、何!?」
ぐわんと歪む視界。
そこで私の意識は途切れた。
次に目を開けた場所は
何も無いただ白い世界だった。
すると、足元には沢山のオバケ達が居た。
さっきのオバケ達だろう。
なんとなくそんな気がした。
そのとき、急に目の前に看板が現れた。
だが、その看板の文字は日本語では無い
謎の文字で書かれていた。
「んー……」
目を凝らして見てみるも、全く分からない。
「ていうかどうやって帰ればいいの!?」
見渡しても出口は無い。
それどころか前も後ろも分からない状態だ。
「あなた達のせいで出られなくなったじゃん!!」
私がそう言いながらオバケを揺らしていると、
「お前、どうやって来た」
という声が聞こえた。
驚いて声の方を向くと白髪の男の子が
立っていた。
多分同じくらいの歳だろう。
それよりもあれは地毛なのだろうか。
いや、違うか。ただ染めただけだろう。
「質問に答えろ。どうやって来た?」
「え…っと、この子達が私のことをゴミ捨て場の鏡に押して、それから───」
そう言って続きを話そうとしたら
突然話を遮られた。
「そいつらは懐かないはずなのに….」
何か呟いている。
上手く聞き取れないがオバケ達のことだろう。
「まぁいい。着いてこい」
そう言ってその子は私に背を向けて
どこかへ歩き出す。
私も慌てて着いていくとオバケ達は
続々と私に着いてくる。
なんだか可愛い気がする。
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