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コメント
8件
すごぉぉぉぉぉぉぉぉぉがちで尊敬 ……
なんかさ、1冊の本を読んだ気分になったわ。小説みたいですごかった!
恐怖に身を震わせながらも俺は死を受け入れる準備をして居た。
数分経って着いた先は森の中。
木が陽の光を防ぎ暗く少し寒いくらいの気温。
恐怖が心を埋め尽くす中、俺はふと男を見上げた。
先ほどは軽く目を向けた程度だったが、よくよく見れば整った顔をしている。
女であれば、いや男であっても見惚れる様な凄く格好良い顔立ち。
身体は細いながらに筋肉質。
抱えられている身なので良く分からないが地面を見る限り身長も高そうだ。
髪は金色で毛先にかけて橙色、目は大きくて黄色い。
じっと眺めていると頭の上で時々動く耳が生えていることに気づく。
男の尾骶骨あたりを何とか体を捩らせ見るともふもふな尻尾が揺れ動いて居た。
俺の頭には「獣人」と言うワードが頭をよぎる。
確か身体能力が高い生物だった。
基本的に自然の中で育っており野生的でありながら思考能力も備えている。
と、図書館で見た本に書いてあった気がする。
知能が低い俺には長い説明文を記憶など出来るわけがないので友好的かは分からない。
俺が男の顔を眺めていると何処かからガサッと音が聞こえ男の耳がぴょこぴょこ動いている。
すると急に腹に重みがのしかかる。
目を向ければそこには半透明な粘着体の様な生物。
さっきも言ったが俺には知能が他の吸血鬼に比べ劣ってしまうところがある。
だから極端に強かったり印象的な魔物以外はパッと浮かばない。
という事は、強くは無いだろうが俺を基準に置くと何とも言えない。
そう考えているうちにじわじわと腹に熱が伝わる。
焼ける様な痛みと多少の焦げた匂い。
自分の腹部に視線を向けると生物がドロっと溶け出して居て、服が焼けている。
腹の焼ける様な痛みも、焦げ臭さも、原因はこいつか。
どうしたものか、考えて居たって体制のおかげで身動きが余り取れないし、
そもそも体は恐怖のせいで強張って居て動かない。
仮にも俺は吸血鬼なわけで特殊な武器以外でくたばる事など
無いのだが何度も念を押すくらい俺は弱いんだ。
腹部がどんどん焼けていく、血も出ずただ肌が爛れていく。
痛みという感覚すら薄れていく中、男が気づいてくれたのかデコピンをした。
そんなので死ぬわけあるまいと思ったが不意に腹の重みが消える。
先程まで薄れかけていた痛みが空気にふれ感覚を取り戻したのか
ヒリヒリと続くが、重みも粘着体ももう居なかった。
俺は安堵しつつお礼を言った方がいいのか、
話しかけない方がいいのか迷い考える間の沈黙が答えとなってしまった。
攫われてから、俺は声を出していない(出せない)し、相手が何か声を出すこともない。
山の中、風で木々が揺れ葉が擦れあう音と
森に住む魔物達がガサガサ動く音が焼けに大きく聞こえていた。
暫くして、一度立ち止まったかと思えば降ろされ、目の前には暗く長く続く階段。
終着点が見えないほど長く続いていた。
語り手・主人公/tg
誘拐犯?・獣人/ーー
第三話→♡110・気分