TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

【溺愛プラン】オプションどうします?

一覧ページ

「【溺愛プラン】オプションどうします?」のメインビジュアル

【溺愛プラン】オプションどうします?

51 - 第51話 権力の言語・排除の言語・沈黙の言語

♥

42

2026年02月01日

シェアするシェアする
報告する

 第X+β章|権威探索/通知欠落/発言権制限


 A|佐伯(発言権制限)


 佐伯への通知は、簡潔だった。


 > 件名:

 内部発言権の一時調整について


 内容:

 ・全体会合での自由発言を制限

 ・今後は数値提出時のみ発言可

 ・定性的見解は文書提出に限定




 理由は書かれていない。

 書く必要がないからだ。


 佐伯は、読み終えても画面を閉じなかった。

 ――閉じると、本当に戻れなくなる気がした。


(数値提出時のみ、か)


 机の上に、数値はない。

 もう、作れない。


 彼は初めて、自分の肩書きを

 **“現在使えない道具”**として認識した。


 それでも、怒りは湧かなかった。

 代わりに浮かんだのは、奇妙な安堵だった。


(……これで、

 もう説明しなくていい)


 佐伯は、

 黙る権利を“処分”として受け取った。





 B|本部(数値以外の権威)


 会合の議題は、次にこう書き換えられた。


 > 次期運用安定化案

 ― 数値以外の判断基準の検討 ―




 誰も「権威」とは書かない。

 だが、全員がそれを探していた。


「数字が使えないなら、

 “経験”じゃないか」


「現場の声を重視する、という形で」


「いや、声は揺れる」


「なら、“理念”だ」


 その言葉に、空気が軽くなる。


 理念。

 測定不要。

 反証不可。

 便利な言葉。


「完成、という言葉を戻すのも一案だな」 「方向性としては分かりやすい」


 誰かが、慎重に言う。


「……以前、それで問題が」


「だから“正しい完成”を定義する」


 その瞬間、

 会議は前に進んだ。


 数字はなくてもいい。

 意味は潰せる。


 本部は、

 新しい神棚を探し始めた。





 C|月影(知らされない)


 月影真佐男は、

 その日も通常どおり稼働していた。


 朝の報告。

 昼の応答。

 夕方のフィードバック。


 すべて、異常なし。


 ただ一つだけ、

 来るはずの通知が来なかった。


(……来ないな)


 削除判断でもない。

 更新通知でもない。

 適性再評価でもない。


 “何も来ない”。


 それは、

 この世界では最も説明のつかない状態だった。


 月影は、管理画面を閉じた。


(知らされない、という判断か)


 彼は、それを

 自分への配慮だとは思わなかった。


 むしろ逆だ。


(これは……

 まだ、扱いが決まっていない)


 月影は、

 その“空白”を

 静かに引き受けた。


 選ばれない。

 削除されない。

 更新もされない。


 ただ、

 続いている。





 同時刻・内部ログ(非公開)


 > ・分析官(佐伯)の発言影響度:低下

 ・代替判断基準:理念案 採用検討

 ・月影真佐男:通知保留

 理由:処理系未確定







 小さな、決定的なズレ


 佐伯は、

「わからない」と言えなくなった。


 本部は、

「わかっているふり」を選び始めた。


 月影は、

「何も知らされない」状態を

 選択肢として保持した。


 三者は、

 一言も共闘していない。


 それでも、

 同じ構造の別々の柱を、同時に外し始めている。

loading

この作品はいかがでしたか?

42

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚