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【下僕プラン】想定外に健全だとバレ始める回
――そして、“善意の改訂案”が提出される(地獄)
1|異変の発生(本部・観測ログ)
最初に気づいたのは、
カスタマーサポートだった。
・クレーム減少
・依存系トラブル報告なし
・契約者の情緒不安定率:低下
・更新率:想定より低いが安定
「……あれ?」
誰かが言った。
「これ、
健全すぎない?」
本部は、
“問題が起きないこと”を
問題として検知した。
・溺愛プラン:感情摩耗率 高
・スタンダード:中
・下僕プラン:
摩耗率 低/依存 低/炎上 なし
「数字が、きれいすぎる」
「人が残らない」
「完成に向かわない」
その言葉で、
空気が固まった。
2|本部の結論(潰し)
会議の結論は、早かった。
【下僕プラン】
・感情提供なし
・完成概念なし
・顧客が自立しやすい
→ ブランド毀損の恐れあり
「優しすぎる」
「物語がない」
「依存が生まれない」
「成功談が作れない」
誰かが言う。
「……このままだと、
“完成しなくていい”
って思想が広がる」
それは、
最も避けたい未来だった。
3|花子、呼ばれる
花子は、
オンライン会議に招待された。
名目は、
【下僕プラン】改善ヒアリング
花子は、
カメラをオンにして、即答した。
「改善、要りますよね」
本部側が少し安心する。
「やはり、
現場としても――」
「はい。
今のままだと健全すぎます」
一瞬、沈黙。
4|善意の改訂案(花子)
花子は、
画面共有をした。
タイトル:
【下僕プラン】改訂案(利用者保護強化)
「まず、“完成”という言葉、
使わない方がいいです」
本部、頷く。
「その代わり、
“依存しない安心”を
前面に出しましょう」
スライドが進む。
下僕は判断しない
感情を提供しない
利用者の迷いをそのまま返す
「これ、
“支配”じゃないんですよ」
花子は、
穏やかに言う。
「責任の所在を明確にするだけ」
誰かが言った。
「でも、それだと……
感動が……」
「感動は、
利用者が勝手にします」
静かな声。
「こちらが
用意しなくていい」
5|本部の違和感
会議室に、
言葉にならない違和感が漂う。
「……花子さん」
「はい」
「それだと、
長期契約に……」
花子は微笑んだ。
「なりませんね」
即答。
「でも、それが
健全です」
誰も反論できない。
なぜなら、
すべて“善意の言葉”だから。
6|地獄の成立
議事録には、こう残った。
・下僕プラン改訂案:
倫理的妥当性 高
ブランド整合性 要検討
・利用者保護観点から
一部要素を参考採用予定
花子は、
会議を退出する前に言った。
「“完成”が要らない人、
増えますよ」
「それでも、
いいですか?」
本部は、
答えなかった。
答えられなかった。
7|花子、メモ(私的)
善意は、
相手の言葉で殴ると
一番効く。
彼らは
「健全」を
扱えない。
花子は、
【下僕プラン】を
“壊さずに、触れない場所へ押し出した”。
それが、
本部にとっての地獄だった。