テラーノベル
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青い監獄(ブルーロック)の中枢、無数のモニターが青白い光を放つ管理室。
「……絵心さん、伍号棟のチームV、また勝ちましたよ。しかも潔京介選手……公式記録では走行距離がチーム内で圧倒的に最下位なのに、得点関与率がバグってます」
帝襟アンリがファイルとモニターを交互に見比べながら、困惑した声を上げた。
画面に映し出されているのは、試合終了のホイッスルが鳴った直後のピッチだ。
汗ばんだ黒髪を雑なポニーテールに結び直し、心底ダルそうにあくびをしている男――潔京介。
「走行距離が短い? 当たり前だろ、アンリちゃん」
モニターの前でカップラーメンの湯気を燻らせながら、絵心甚八が不気味な薄笑いを浮かべる。メガネのフチを中指で静かに押し上げた。
「あいつは走りたくないんだよ。走るのも、競り合うのも、声を出すのも全部コスト(無駄)。だからあいつの脳は、最小限のエネルギーで相手を殺す『最短ルート』だけを常時計算し続けている」
「でも……同じ遺伝子を持つチームZの潔世一選手とは、あまりにもプレイエリアもスタイルも違います。世一選手はフィールド全体を俯瞰して、熱量で味方を巻き込みながら未来を創る『空間認識』……ですよね?」
「クソだね。表面しか見てない」
絵心は麺を啜り、冷ややかに画面の京介を指し示した。
「世一の空間認識が『未来を創るための閃き』なら、京介のそれは**『他人が置き去りにした死角と絶望の嗅ぎつけ』**だ。あいつが見ているのは未来じゃない。ピッチ上の人間が『あ、ここは安全だ』と脳の思考を休めたコンマ数秒の隙間――つまり、他人の油断と死角だけだ」
画面上の京介が、ふと動きを止める。
相手DFが味方に指示を出そうと首を振った、まさにその0.1秒。
ポニーテールが空中を一筋の影のように揺れたかと思うと、京介は走ることすらなく、ただヌルりと相手の視界から消え去っていた。次の瞬間には、フリーでボールを受け取り、キーパーの反応できない死角へ冷酷なダイレクトシュートを叩き込んでいる。
「奪いにも行かない。相手が死角に入った瞬間に、勝手にボールを差し出させてるだけだ。言っただろ? あいつは『死角のハイエナ』であり、冷えた空間認識の持ち主だと」
アンリは息をのむ。
「……だったら、どうして二人を同じ棟に入れなかったんですか? ふたりを組ませたら、それこそ恐ろしい双子ストライカーになったんじゃ……」
「ぬるい仲良しコシヒカリみたいなこと言ってんじゃねぇよ」
絵心が舌打ちを吐く。
「同じ部屋に入れたらどうなる? 世一の熱に毒されて京介が適当にアシスト役に収まるか、あるいは京介の無気力に毒されて世一のエゴが芽を吹かずに終わるかの二択だ。……だが、離してみろ」
絵心はモニターの中、チームVのベンチで凪誠士郎とだるそうに会話している京介の顔を凝視した。
「世一という『最大の理解者であり毒』がいない環境で、京介は自分の退屈に耐えかねる。そして、凪や玲王といった強烈なエゴと触れ合うことで、嫌でも自分の『タチの悪いエゴ』を垂れ流し始める」
「タチの悪い……エゴ……」
「あいつは勝ちたいわけじゃないんだよ、アンリちゃん」
絵心の声が、一段と低く、昏い期待を帯びる。
「あいつはただ、『ピッチ上の人間が自分を忘れた瞬間』に絶望をぶち込み、相手の顔が歪むのを眺めることだけに快感を覚えてる異常者だ。あのみっともなく結んだポニーテールすら、相手の視線を誘導して死角へ潜り込むための get(トリガー)に過ぎない」
絵心は背もたれに深く体重を預け、画面の中で冷めた目をしている京介を見つめた。
「見ものだな。世一が泥臭く覚醒していく裏で、伍号棟の影に潜むこの『絶対零度』がどこまで肥大化するか……。この二人が一次選考を勝ち上がり、ピッチ上で直接ぶつかり合った時、果たしてどちらのエゴが相手を喰い尽くすか」
青い光の中で、絵心甚八の瞳が妖しく光っていた。
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コメント
1件
え、ちょっと待って……めっちゃ良かった🥀 潔京介、まじでヤバいやつじゃん。走らないのに点を取るって時点でズルいのに、相手の“油断したコンマ数秒”だけを狙うっていう思考が完全に冷血ハイエナでゾクゾクした。絵心の「あいつは勝ちたいわけじゃない。相手の顔が歪むのを見たいだけ」って台詞、これぞブルーロックの闇だよね。 弟・世一との対比もたまらなくて、熱量で周りを巻き込むタイプと、誰も見てない隙を突くタイプ——この双子がいつか直接ぶつかる日を想像するだけで震えるわ。凪や玲王の中でどう京介が変わっていくのか、めっちゃ気になる。 また次も読みに来ます🌙🤍