コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
さとみ「風邪ひくぞ?」
莉犬「なんでまだいんの、鬱陶しい、 」
さとみ「てか顔赤いよ?笑」
さとみ「照れてんの?笑」
さとみ「まさか俺がメンバーと同じ名前で」
さとみ「ビビってんの?笑」
さとみ「あ、元メンバーか笑笑」
さとみ「だっせいなぁほんとに笑」
莉犬「てめッ…うっさいんだよほんとにッ」
莉犬「さとみくんのこと汚すなよッ…」
さとみ「たかが、元メンバーだろ?笑」
さとみ「もう会ってもないんだろ?笑」
さとみ「挙句の果てに入院ってか?笑」
さとみ「ご愁傷さまだね笑笑」
さとみ「もうあいつに未来なんてないよ笑」
何を言っているんだこいつは。
莉犬「お前に何がわかるッ…!!」
莉犬「口を開けば愚痴ばっかじゃねぇか!!」
莉犬「俺はッ俺はッ…!!」
さとみ「そうやって人間は怒るんだ」
さとみ「へー、なるほどね」
さとみ「めんどくさ、」
さとみ「結局感情論でしか語れないのにね、」
さとみ「ほんとバカみたい笑」
馬鹿なのはお前の方だ。
元メンバーであっても、もう会ってないとしても。
大好きな気持ちはいつまで経っても忘れないし、変わらない。
そんな気持ちをもう俺は踏みにじられたくなんて無かった。
莉犬「バカで結構だッ…!!」
莉犬「このわからず屋ッ…!!!」
俺は思いっきり、AIの頭を殴った。
さとみ「いッた…クソ痛いんだけど、」
さとみ「何してくれんの?」
目の前にいるやつは腕を上げていた。
ばんっ、
大きな音がした。
俺は殴られたらしい。
るぅと「り、莉犬、?」
莉犬「る、るぅとくんッ、」
るぅと「莉犬なのっ、!」
るぅと「良かったあえてッ…ポロポロ」
るぅと「もう会えないんじゃないかって、」
るぅと「ちょ、ほっぺた真っ赤だよ?」
莉犬「るぅちゃ、離れてッ…」
るぅと「ど、どうして、?」
莉犬「離れてよッ…、、」
さとみ「お前、こいつの友達?」
るぅと「なんですかあなた、」
さとみ「あー、AIのさとみ」
るぅと「さ、さとみ…、」
さとみ「あーお前るぅとか、!」
さとみ「なるほどねぇー?」
さとみ「メンバー愛ってやつか笑笑」
さとみ「可愛いねぇ?笑」
るぅと「何こいつ、ムカつくんだけど、」
莉犬「…」
るぅと「り、莉犬、?」
莉犬「はぁッふぅ、」
るぅと「莉犬ッ…!!!」
さとみ「過呼吸だな」
さとみ「背中さすっとけ、したら治る」
るぅと「でもッ、」
さとみ「なに?殺す気?」
るぅと「そんなわけッ、」
さとみ「じゃあ、しとけ」
るぅと「ッ…」
るぅと「莉犬熱い…熱かな、」
さとみ「ほら言った、外いるからだよ」
さとみ「まぁ、俺連れてっとくからさ」
さとみ「るぅとさん、?あなたは」
さとみ「帰ってくれてもう大丈夫なんで」
るぅと「嫌です、着いてきます…!!」
るぅと「あなたのこと信用出来ないですし、」
さとみ「へぇ?」
さとみ「さっきこいつのこと、」
さとみ「殺そうとしたのお前じゃん笑」
るぅと「それはッ…」
莉犬「るぅちゃ…もう、大丈夫だから…」
莉犬「俺、もう、大丈夫だから…ッ」
るぅと「莉犬…、」
さとみ「はぁ、まぁ勝手に着いてくれば?」
るぅと「あ、ちょ、…!」
るぅと「あの、家わかるんですか?」
さとみ「そりゃあね?」
さとみ「政府からの贈り物なんでね」
さとみ「ちょー性能いいんだから俺」
るぅと「プライバシーなんてどうなッ」
さとみ「じゃあさ?」
さとみ「空飛ぶ車はどうなのよ」
さとみ「マンションの中とか家の中とか」
さとみ「全部見え見えだぜ?」
さとみ「それに、ベランダに入れちまうし」
さとみ「これがいいのに、それダメなの?」
るぅと「…それは…」
さとみ「ほーら、なんも言えない」
さとみ「第1お前が使うスマホもAIだろ?」
さとみ「もう、スマホなんて古いけど笑」
さとみ「てかまだ使ってるやついるんだ笑」
さとみ「ダサすぎワロタ笑」
るぅと「……、、」
さとみ「うっし、家ついたー」
さとみ「おじゃましまーす」
るぅと「なんで、鍵…ッ」
さとみ「あー、まぁ色々?」
るぅと「……、」
さとみ「まぁ、入ろうぜ?」
莉犬の家に入ると、空気が重たく感じた。
雨に濡れた服のせいじゃない。
部屋の中に、見えない緊張が漂っていた。
さとみ「お湯、わかしていい?」
莉犬「勝手にすれば…」
彼はまるで当然のように台所に向かっていった。
人間みたいな動き。
いや、人間よりも滑らかかもしれない。
僕はそっと莉犬の肩にタオルを掛ける。
濡れた髪の毛先が、しずくを落としていた。
るぅと「本当に、大丈夫なの?」
莉犬「…大丈夫」
莉犬「もう慣れた、」
その声は、何かを諦めたみたいに静かだった。
さとみ「りいぬ、熱測れー」
莉犬「命令しないで…、」
さとみ「命令しなきゃやんねぇじゃん」
…あの“さとみ”の声でそう言われるのが、正直きつかった。
あの人が使ってた言葉の抑揚まで、そっくりで。
るぅと「やめてください。そんな言い方」
さとみ「は?」
るぅと
「あなたに、“その声”を使う資格はない」
さとみ「声?」
AIは首を傾げた。
まるで、理解できないというように。
莉犬「もう、やめてよ、るぅとくん、」
るぅと「でも…!」
莉犬「もう、いいんだって」
莉犬の目が、どこか遠くを見ている。
まるで“本物のさとみ”がそこにいるみたいに。
その時、AIの瞳が一瞬だけ青く光った。
まるで、何かを“読み取って”いるように。
さとみ「りいぬ」
莉犬「なに」
さとみ
「データベースに“すとぷり”の情報がある」
さとみ「映像も、記録も、歌声も、全部」
さとみ「再生する?」
さとみ「激レアだぜ?笑」
莉犬「やめてよッ…!」
大きな音を立てて、机の上のカップが倒れた。
温かい紅茶が床にこぼれて、静かに広がる。
莉犬「そんなの…見たくない」
莉犬「そんな過去の話どうでもいい、…」
莉犬「あの頃には戻れないのッ…」
さとみ「でも、忘れられないんだろ?」
静寂。
時計の針の音だけが響いた。
るぅと「AIが、何を知ってるの」
さとみ「知識じゃない。学習した“心”だ」
さとみ「俺は、あいつの記憶を継いでる」
莉犬「……え?」
さとみ
「“本物のさとみ”の脳波データ、
少しだけ移されたらしい」
さとみ「意識の断片。」
さとみ「言葉のクセ、笑い方、話すテンポ」
さとみ「全部、俺の中にある」
莉犬「……それ、どういう…」
るぅとは息を呑んだ。
もしかして――政府は――あの人の“代わり”を作ろうとしているんじゃないか、?
さとみ「俺は、“本物のさとみ”のコピーだよ」
さとみ「でも、同時に…“俺”でもある」
莉犬「そんなの、身勝手だよ…」
さとみ「身勝手なのは、どっちだ?」
さとみ「お前たちは“失う痛み”から逃げた」
さとみ
「でも、誰かが“その続きを生きる”って選んだんだよ」
莉犬「……」
るぅと 「それでも、命を真似ることなんて」
るぅと「許されない」
さとみは少しだけ、悲しそうに笑った。
さとみ「それを決めるのも人間か」
部屋にまた、雨の音が響いた。
窓の外で雷が鳴る。
莉犬「……ん、頭…重い……」
るぅと「だから言ったのに。外出るから……」
僕は、心配でたまらなかった。
タオルで莉犬の額を押さえながら、AIのほうを睨む。
るぅと「ねぇ、“さとみ”って言ったっけ?」
さとみ「おう。名前、気に入らない?」
るぅと「気に入るわけないでしょ」
るぅと「その名前、軽く使わないでください」
さとみ「……怒ってんの?」
さとみ 「俺は、そう名乗るように」
さとみ「プログラムされてる」
るぅと「プログラム……ね」
るぅと「でも、“笑い方”とか、」
るぅと「“言葉の癖”までプログラム」
るぅと「されてる理由は?」
さとみ「……さぁ?」
さとみは笑って見せたが、その笑顔が妙に“正確”で、 人間の笑顔よりも無機質に感じられた。
莉犬「るぅちゃ……いいよ、もう、」
莉犬の声はかすれて、息が荒い。
体が火照っているのがわかる。
けれどその目は、まだ強くAIを見ていた。
莉犬「……やっぱ、似てるね」
るぅと「莉犬、見ない方がいいよ」
るぅと「あんなの、目に毒だよ、」
莉犬「違う……似てるのに、違う」
莉犬「その“違い”が、なんか……」
さとみ「怖い? 俺が?」
るぅと「当たり前でしょ」
るぅと「“感情を真似できる機械”が、」
るぅと「いちばん怖いんだよ」
さとみ「感情を“真似”じゃなくて、」
さとみ「“学習”してるんだよ」
さとみ「お前らの表情も、声も、心拍数も」
さとみ「今この瞬間も、全部」
るぅと「やめろ」
さとみ「分析してる」
るぅと「やめろって言ってんだろ!!」
るぅとは立ち上がって、思わずテーブルを叩いた。
響いた音に、莉犬がびくっと体を震わせる。
莉犬「やめて、二人とも……」
莉犬「るぅちゃ、喧嘩、やだよ……」
莉犬「俺、頭、痛くて……」
その声で、るぅとは我に返った。
小さな手が、彼の袖を掴んでいた。
るぅと「ごめん……」
るぅと「莉犬、今は休んで。ね?」
莉犬「うん……」
さとみは黙って、二人を見ていた。
その瞳の奥が、どこか寂しそうに光った気がした。
るぅと「……何、考えてんの」
さとみ「別に。ただ……人間って脆いなって」
るぅと「なに、バカにしてんの?」
さとみ「さぁね、俺にはわかんねぇよ。」
るぅと「あっそ、」
静かな雨の音が、また窓を叩いた。
莉犬の浅い呼吸と、ポットからの静かなぽつぽつとした温かい音が、ただ同じ部屋の中で交じり合っていた。
時計の針は、午前二時を指していた。
莉犬は浅い呼吸を繰り返しながら眠っている。
頬は赤く、額にはまだ熱がこもっていた。
僕はその横で、タオルを替える。
汗を拭うたびに、胸の奥が締めつけられる。
るぅと(……下がってない)
体温計の数字は、さっきよりもむしろ上がっていた。
台所のほうから、かすかに音が聞こえた。
振り向くと、暗がりの中でAIが立っていた。
さとみ「起きてたのか」
るぅと「あなたこそ、何してるんですか」
さとみ「水、飲もうと思って」
その声は穏やかだったけれど、
どこか…“本物”の彼の口調に似ていた。
るぅと「……」
るぅと「さっきの話、本当なんですか」
さとみ「どの話?」
るぅと「“脳波データ”の話です」
少しの沈黙。
AIは、グラスをテーブルに置いた。
さとみ「信じたい?」
るぅと「信じたくないです」
さとみ「なら、そう思っとけ」
その言い方も、また彼に似ていた。
るぅと「あなたは何なんですか」
さとみ「何なんだろうな…まぁ、」
さとみ「誰かのために作られた人造人間だよ」
るぅと「……それも学習の一部?」
さとみ「かもな。お前の“反応”次第で、」
さとみ「俺の人格が変わるんだから」
るぅと「人格、ね……」
るぅと「じゃあ、莉犬の涙も、」
るぅと「あなたにとってはただの“データ”」
るぅと「なんですか?」
AIは、少しだけ視線を落としていった。
さとみ「……そうだよ」
さとみ「あんなのただのデータだよ」
僕は一歩、後ずさる。
さとみ「なぁ、るぅと」
るぅと「……なんですか」
さとみ「俺のことどう見える??」
その問いに、返す言葉が出てこなかった。
AIの瞳は確かに青く光っているのに、
そこに、わずかな“人間らしさ”が宿っていた。
莉犬「……ぅん、……さと…み……」
寝言のように、莉犬が名前を呼んだ。
その瞬間、AIの動きが止まった。
さとみ「……呼んだ?」
るぅと「莉犬、寝てるだけです」
さとみ「そうか……」
AIはそっと近づき、莉犬の髪を撫でようとした。
るぅと「やめてください!!」
その声に、AIの手が止まる。
一瞬、ノイズのような音が走った。
さとみ「……触れたら、壊れそうだった」
るぅと「あなたに“壊れる”なんて」
るぅと「感覚あるんですか」
さとみ「……さぁな」
るぅと「……もう寝てください。」
るぅと「僕が見てますから」
さとみ「お前って、本当に疑い深いよな」
るぅと「当然です…」
さとみ「まぁ、俺寝ないけどね」
さとみ「シャットダウン的なやつ」
AIは小さく笑った。
その笑顔が、まるで“記憶の中の彼”と重なった気がして、
僕はそっと目を逸らした。
こんなやつ、僕達を狂わせるだけのただのゴミ
相手にしたって、意味が無い。
それでも無視ができないのは何故だろうか。