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事件発生


忙しくも平和な日常は突然壊れた。


杏奈が作った料理で、体調不良を訴える者が出てきたのだ。


状況を詳しく聞くと、それは料理を食べた全員ではないらしい。


朝食後に3人、昼食後に10人、夕食後に17人。


症状は頭痛、吐き気、嘔吐、腹痛など。


幸い重症者はいなかったものの、1日の食事で30人も体調不良者が出てしまった。


事情聴取の為、杏奈は一旦業務を禁じられ、地下牢に入れられた。


薄暗くて肌寒い。




どうして?なんでこんなことになったの?

食材は新鮮なものしか使ってないし、中心まで入念に火を通した。

食器だって調理器具だって、洗いもすすぎも丁寧にやって、ちゃんと水気を取り除いて収納してたのに。




抵抗もなく牢に入れられた杏奈の、その顔は真っ青だった。


「すまねえな、アンナ。お前が悪いなんてこれっぽっちも思ってないが…少し辛抱してくれ」


見張り役の兵士が言う。


「原因が分かってお前の潔白が証明されたら、すぐ出してやるからな。」


またお前の作る飯が食いたいし…と続ける。


『…はい……』


杏奈は力なく返事をするしかなかった。





もうすっかり兵団に馴染んだアンナ。

彼女の作る料理はいつも彩りも美しく、栄養バランスも考えられていて、美味しかった。


調理中の監視が緩くなったことで、今回の事件が起きてしまったのだろうか。

彼女が意図的にこの事件を起こしたとは思えないが……。

それも自分の主観による考えだからよくない。


「エルヴィン、お待たせ。具合悪くなった兵士のリストだよ。…と、アンナに聞いた調理の詳細をメモしてきたよ」

「ああ、すまない」


ハンジが持ってきた書類に目を通す。

兵士の名前、何期生か、いつの食事で具合が悪くなったのか、現れた症状、食事前の行動が細かく記載されていた。


そして、地下牢でアンナから聞き取った内容。

これを見る限りでは調理中の衛生管理に問題があったようには思えない。

初めの頃のリヴァイからの報告にもあったが、エプロン、三角巾、マスクを着用し、ことあるごとに手を洗い、消毒していたと。もちろん調理器具も。


体調不良を訴えた者には何も規則性がない。

もしこれが食中毒なら、アンナの料理を食べた全員に症状が出ているだろう。

それなら厳重注意で、再び調理中の監視を立てて、アンナに調理を任せてよかったのかもしれない。

しかしそうもいかないのが今回の出来事だ。


リストには、アンナと普段仲がいい、104期の兵士数人の名前もあった。


「…アンナはどうしてる?」


私の問いに、ハンジが深い溜め息をついた。


「かわいそうに。真っ青な顔して牢の中のベッドに腰掛けてたよ。彼女のあんな顔、初めて見たさ」


「そうか……」


今日に限って、リヴァイやミケは壁外調査に出ている。

彼らの知恵も借りたかったが……。

仕方ない。できるだけ早く、原因を突き止めて解決しなければ。





「アンナ、アンナ」


心配になって地下牢に様子を見に行くと、アンナはベッドの上で膝を抱えて小さくなっていた。


『…あ、アルミン……』


顔を上げた彼女の頬には涙の痕が残っていて胸が締めつけられた。

アンナがベッドから降りて、僕のほうに近づいてくる。


「アンナ、大丈夫?酷いことされてない?」

『うん、全然。それより具合悪くなった人たちは?』

「今は症状は落ち着いて、ゆっくり休んでるよ」

『そっか…よかった……』


少し安心したように笑うアンナ。

でも無理矢理笑顔を作ってるようにも見える。


『…アルミン……やっぱり私のせいなのかな。食品衛生にはすごく気を遣ってたし、加熱も充分にしたつもりだし、食器だってちゃんと乾かしてた筈なのに…こんなことになっちゃって……』


言いながら、アンナの目から涙が零れ落ちる。


『たくさんの人に苦しい思いさせて……。私もう…ここにいられない……』


いつも明るいアンナが泣いてる。

肩を震わせて、大粒の涙を流して。

今にも消えてしまいそうな、弱々しい彼女の姿。

そんな彼女を見たら、さっきより強く胸が締めつけられて、 思わず自分も視界がぼやけていく。


「違うよ、アンナは悪くない!食中毒ならみんなやられてる筈だよ。でも具合悪くなった人、年齢も入団時期も役職も全部バラバラだ。アンナのせいじゃないよ」


『…っ…でも!料理するのは私しかいないのに……。私以外いないじゃない……っ』


必死に励ますけど、アンナの涙は止まってくれない。


僕は柵越しに、アンナの手を握る。


ああ、なんて冷たいんだ。

指先までこんなに冷たくなって。


もし彼女が上手すぎる芝居を打っているとしても、この冷たさは表現できないだろう。


きっとアンナは無実だ。

証拠なんて何もないし、僕が彼女に対して情があるからだって言われたらそうだけど。


これは、ひょっとしたら彼女を貶めようとする誰かが仕組んだことなのかもしれない。

その可能性も含めて、慎重に調査すべきだ。


「アンナ、泣かないで。大丈夫!僕も含めてみんなで君の無実を証明するから!」


『アルミン……』


「言ったろ?初めて会った時に。“僕たちが君を守るからね”って」


アンナが顔を上げた。

目も鼻も真っ赤で痛々しい。


「エレンやミカサも心配してたよ。ここの面会には1度に1人しか来られないから僕だけで来たけど」


僕はアンナの冷たい手を少し強く握った。


「絶対君は悪くない。ちゃんと証明するから、厨房に戻ってまたごはん作ってね。みんな君が作るごはんが大好きだから」


アンナの目からまた涙が溢れ出す。


『アルミン…ありがとう…!』


アンナがやっと僕の手を握り返してくれた。

そして無理矢理かもしれないけど、いつもの笑顔を作って見せてくれた。


僕はそっと、指でアンナの頬に残った涙を拭う。


「…あ、もう時間だ。アンナ、気をしっかり持つんだよ。僕たちは君の味方だからね!」


そう言い残し、僕は地下牢を後にした。




つづく





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