テラーノベル
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「血ヲ……」
くっと足首を掴まれた感触に見下ろすと、彼女の骨張った手が足首を掴んでいた。
伏したまま、最後の力で這いずり寄る。
「モット……血ヲ……オウマノ……」
不思議ともう、何の感情も湧いてこなかった。
ただアーシュラを眺めて、徐ろに銀の銃を構える。
殺セ、吸血鬼ヲ。殺セ。
大好きなお母さん。
優しいお母さん。
私もずっとあなたの娘でいたかったよ。
殺セ!吸血鬼ダ!
「さよなら、おかあさん」
銃声と共に、それはぎゃっと小さく悲鳴をあげた。
吸血鬼は動かなくなった。
これでおしまい。ほんとにおしまい……。
銀の銃が滑り落ちて、コドンと大きな音を立てる。
ああ……疲れたな。
たくさん動いたもの。
なんだか疲れちゃった……。
思わずふうとため息をついたら、喉に穴が空いていることを思い出した。
痛いような気もする。
体も重いし、寒くて……眠い気もする。
ああ、そうか。私は眠いのかもしれない。
眠気を思い出したら、急に目が霞んだ。
帰ろう……。
帰るってどこへ?私にはもう帰る場所なんて。
その時、脳裏にある風景がよぎった。
蝋燭に照らされた冥い場所が閃く。
ああ、そうだ……。伝えに行かなきゃ。
崩れ落ちそうになる体を引きずり上げた。
深い深い眠りに落ちてしまう前に。
赤い海の中、静かに私を待っているあの子に。
吸血鬼の体を跨ぎ、越して階段へ向かう。
教えなくちゃ。もう終わったって。ちゃんとやれたって。
もう心配しなくていい。もう、戦わなくてもいい。
吸血鬼は皆、その目を閉じた。
そして、私もこの目を閉じよう。
フレディ、あなたの隣で……。
コメント
1件
最終夜、ついにここまで来たんですね……。「さよなら、おかあさん」の台詞、とても静かで深く刺さりました。ずっと吸血鬼を♡♡♡ために生きてきたのに、最後に残るのが「帰る場所」と「伝えなきゃ」という想いなのが切なくて。フレディの待つ場所へ向かうラスト、言葉にできない寂しさと温かさが混ざり合って、しばらく動けませんでした。本当にお疲れさまと言いたいです。
#一次創作
ruruha
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