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初めてみた時、少し似てると想ったんだ。あの目が。

────あの人に。


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「ゲハハハ!!!!」「あいつらバッカじゃねぇの!!!!」「少し脅したらまんまと金寄越してきたな?ギャハハハ」「めっちゃちょっぴいてきたな!!」


???「…………」


公園の中でゲラゲラと騒いでいるのは、いわゆる「不良」と言われる者たちである。


「なぁお前もどれくらいちょっぴいてきた?」


「「小春」」


小春「おれはそこまでですね」


「なんだよ。つまんねぇな」「次はちゃんとちょっぴいてこい。バレたら殴り飛ばしてでも持ってこいよ。なぁ?」


小春「はい。分かりました」


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小春「今日は行くとこないですし帰ります」


「もし説教してきたら殴り飛ばして来いよ」「親とかマジうぜぇよな」「マジあいつらいらねぇ。ゲハハハ」「金も持ってこいよ」


小春「…………はい」


小春は家に向かった。


小春「…………」


最初からこうだった訳じゃない。小さい時に父親が亡くなった。それで周りの奴らは普通に両親二人ともいるのに、おれだけいなかった。

それからは族に入るのも早かった。入った理由は、周りの親の子供に対するぬくもりからの劣等感からか父親のいない寂しさからか、何にせよおれは「不良」の道に進んだ。しかし……


小春「…………ちっ……」


自分の意思で入った不良の道。

正直に言うと居心地は悪くない。

悪いことをしまくってる自分を正当化できてる気がするから。

でも……おれはその代わり……


とても大切なものを傷つけてしまったんだ。


小春は家に帰ると、なんだかすすり泣きしている声がきこえた。その声は……


小春「母さん……」


リビングで、泣いているのは小春の母親だった。小春の祖母へ電話している。


「育て方を間違えてしまったのかしら……」「そんなことないわ。あの子自身もあなたを傷つけようと想って傷つけた訳じゃないと想うわ。」「片親なのが良くなかったのかしら。小さい頃の小春はとてもお父さんがいないことを寂しそうにしてたわ」「それは……そうかもしれないけれど……でもそのことに関してはあなたも小春も悪くないわ」


小春「…………」


おれは母さんを苦しめた。

確かにおれはばあちゃんの言う通り、傷つけるつもりなんてなかった。でも、傷つけてしまったなら、それは、傷つけるつもりがなくても結果は何も変わらないな。


小春「…………よし」






「族抜けしたいだぁぁ?」「お前族抜けの意味分かってるよあなぁ」「本気で言ってんのか」「お前前々からすました顔してたからいつかこうなるとは思ってたぜ」


そこからおれは、暴走族の先輩たちに殴り飛ばされ、蹴り飛ばされ、バットで頭をぶつけられ、火を何度も発射され、気がついた時には病院のベッドにいた。


「こ、小春……!」

「小春くん……」

「小春……」


目を覚ますと、母さんとばあちゃんとじいちゃんがいた。


「小春大丈夫?もしかして……何か事件に巻き込まれたの?」


おれは起き上がって、伝えなきゃいけないことを伝える。


小春「おれ、族抜けしたんだ。」

「!」

小春「母さんたちが話してるの聴いて……今更だけどこんな生き方はしたくないし、いつか寄り添えたり、誰かの力になれる……そんな神様になりたいんだ。だから……」


「「今までごめんなさい」」


おれは、頭を下げた。


「小春……こんな大怪我までして……偉い。よく頑張ったわ」

「小春くんはやっぱり優しい子なのね。」

「もう母さんたちを泣かせるんじゃないぞ?」


小春「…………うっ……うぅぅぅ……」


おれは泣き出してしまった。そんな俺を母さんとばあちゃんとじいちゃんは抱きしめてくれた。


それからも喧嘩を売られたり、殴ってこようとした奴もいたが、逃げて何とかまくことができた。そして、おれのことを保護してくれたのは、死神組の人たちで、だからおれは、後遺症もなく、退院できたのだそうだ。


小春「死神組……」

「うふふ。死神組の方々に興味出てきたの?」

小春「まぁね。母さんも話したことあるでしょ?」

「そうねぇ。小春が入院した時に、保護してくれた方々ってことは知っていたから。『具体的なことは本人から聴いて下さい』って言われて、あぁこの人たちはちゃんと小春の意志を尊重しようとしてるんだなって想ったわ」

小春「……そうなんだ」

「それでね。一つ想いついたんだけど……」

小春「?」


そういうと、母さんは弟子の募集要項を取り出してきた。


「ここの師匠さんは、現役の死神組の組長さんと第一部隊隊長さんのお師匠さんだったんですって。見学に行ってみない?」

小春「……!、うん!」


そして、おれは「雫」さんと出会った。とても神聖な雰囲気な人だなって想ったのが第一印象。でも、なんだかどこか寂しそうだなって感じた。そしておれは正式に雫さんの弟子になった。でも……


「「黒い彼岸花」と比べたらまだまだだな。」「いやあいつと比較したは小春が可哀想だろ?」「小春は物覚えも良くないし」「みんな「黒い彼岸花」を目指してるんだ。お前も頑張れよ?」


小春「…………」


ちゃんとやってるのに。

真面目にやってるのに。

何で比較されなきゃいけないんだ……!

比較されると頑張ってるのが馬鹿馬鹿しくなってくる。

そうやって勝手に失望して、幻滅して、沢山頑張ってるのに……そんなことされたらおれは……


どうしたらいい……?

間違いのおれは……どうすればいい……!?


だからおれは、直接会いに行くことにした。

……その元凶と。


小春「おい!お前!」

???「ん?」

小春「お前が「黒い彼岸花」だな?」

???「まぁ一応は」

小春「お前……お前がいるせいで……おれはみんなから幻滅される!!みんなから失望されるんだ!!お前のせいで!!」

???「…………そっか」

小春「何……だよ……何か言い返してこいよ!!」


これじゃあ本当におれが……間違いに……


???「何か言い返して欲しいの?」

小春「は……は?」

???「あなたは……頑張ってるよ。すごく頑張ってる。あなた自身は自分のこと、本当に頑張ってないと想ってる?努力してないって想ってる?」

小春「お、おれは……頑張ってる……つもりだよ」

???「うん……」

小春「!」


「「そうだよね!」」


「黒い彼岸花」……いや、「紫雲雨花」さんは、おれのどうしようもない劣等感を……醜い感情を……そのまんま受け止めてくれた。否定しないでいてくれた。


雨花「小春くんは、元ヤンなんだね!」

小春「ま、まぁ……今までずっと間違った生き方をしてたから、母さんたちをもう泣かせないって決めたから。だからおれは頑張るんだ」

雨花「間違っても良いんじゃない?」

小春「え?」

雨花「間違った道があるからこそ、自分にとって必要なものに気づけたり、大切にしたい人に出会えるかもしれない。間違ったって良いんだよ。だってその道があったからこそ、『お母さんを泣かせたくない』っていう気持ちに気づけたんでしょ?それに生きる上で間違いと正しいとかそんなものにこだわってたら自分がもったいないよ。」

小春「!、間違っても良い……」

雨花「その経験を無駄にしないように生きていけば、もっと他人や自分を大切にできると想うしね?あはは!」


それから時々、雨花さんと話すようになった。それで待ち合わせしてた時、遠くから雨花さんに声をかけようと想ったら……


小春「あめ、か……さん?」


雨花さんの目は、真っ黒な月も星もない闇夜のような、本当に何もない。空っぽですらならない。何も映っていない目だった。しかし、おれの姿をみた瞬間、覆い隠すように、瞬きした瞬間、いつもの目に戻った。


雨花「小春く〜ん!」

小春「あ、雨花さん?大丈夫ですか?」

雨花「え?何が?」

小春「……いえ、何でもないです」

雨花「そう?じゃあ……」


雨花さんの目は、とても漆黒さが深いところまで巡っていた。


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小春「!」


あの子は確か……


小春「君が海音っていう子?」

海音「え?はい……」


今のあの子の目は、少し雨花さんの目に似てた。


雨花さんがどんなものを抱えているのかおれには分からない。でも、せめてこの子だけでもおれは力になりたい。


雨花さんの目と似た……あの目を持ったこの子の。


小春(こはる)

雫の弟子。

雨花と兎白、瑠璃人は大先輩にあたる。

海音が生きづらそうにしてる顔をしていたため、話しかけた。とても紳士感のある少年。実は元ヤン。海音のことをとても心配している。


過去→父親が幼い頃に病死し、ずっと母子家庭だった。しかし、周りは両親がちゃんといて、自分にはいないという劣等感から、ヤンキーになった。ずっと悪いことばかりしていて、ある日家に帰ると、母親が自分の親に自分のことを相談していることを目撃して、雫の弟子になって、立派な神様になることを望んでいる。しかし、とても実力不足で、「黒い彼岸花」と呼ばれ、とても目立っていた雨花と比較され、とうとう痺れを切らして、雨花に自分の気持ちを全部言ったことで、雨花に受け止めてもらい、そのことをとても感謝している。感謝した後、ほんの少しだけ覗かせた雨花の表情が海音と似ていたため、海音に話しかけた。


容姿→身長:180cm 体重:71kg

若芽色の肩にギリギリ付かないくらいの髪に、桜色の目を持つ。

修行中は、ワイシャツにズボンを履いている。私服は、桜を背にしたスカジャンにジャージという服装。

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