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🍠side
ゆうまは最初から分かりやすかった。
視線。
距離。
声をかけたときの反応。
kvn(あー、これ完全に僕のこと好きだな)
入学してすぐの頃
中庭で歌ってたときも僕の声を聞いて立ち止まったまま動かなかった。
純粋。
素直。
扱いやすい。
——そう思った。
だから優しくした。
kvn「困ってる?」
「無理しなくていいよ」
「大丈夫大丈夫」
人一倍やさしい先輩。
その役は得意だった。
だって そうしてれば向こうから近づいてくる。
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告白されたときも驚かなかった。
ym「……好きです」
震える声。
必死な目。
kvn(ほらやっぱり)
少し困ったふりをして
でも拒まない。
kvn「大事にするから」
この一言で 全部信じる顔をする。
kvn(ちょろ笑)
——最初はそれでよかった。
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付き合い始めた頃のゆうまは本当に可愛かった。
言うこと聞くし僕 の顔色ばっかり見る。
でもそのうち足りなくなった。
kvn(僕だけ見てよ)
他のやつと笑うのが気に入らない。
スマホを見るのも気に入らない。
kvn「僕といるときは僕だけでいいでしょ」
優しく言えば ゆうまはちゃんと頷く。
それでもたまに逆らう。
その瞬間感情が手より先に出る。
殴ってから 後悔した顔を見せる。
kvn「ごめん」
「怖かったよね」
抱きしめるとゆうまは離れない。
kvn(……やっぱり僕がいないとダメだ)
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記録を残すようになったのはいつからだったか。
弱ってる顔。
縋る目。
僕の名前を呼ぶ声。
全部、
僕のものだって確かめたかった。
スマホに残しておけば逃げられない。
ym「消してください」
kvn「ダメ」
即答。
kvn「だって」
ym「……」
kvn「ゆうま、可愛いじゃん」
本心だった。
あんな顔俺以外に見せるわけない。
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それでもたまに“あの頃”に戻る。
頭を撫でて優しく声をかけてやる。
kvn「大丈夫」
「僕がいる」
そうするとゆうまの目がまた俺だけを見る。
kvn(ほら)
殴っても、
縛っても、
結局戻ってくる。
最初に“やさしい先輩”を見せたのが一番の正解だった。
あれがある限りゆうまは離れない。
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たまに思う。
もし最初から 本当の俺を見せてたらきっと逃げただろう。
でも今は違う。
歌声がきれいで笑顔がやさしい先輩。
その記憶がゆうまをここに繋ぎ止めてる。
kvn(……僕、やさしいでしょ?)
だって、
逃げ道を消してあげてるんだから。