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誠也も杉原弁護士を訪ねて代理人契約を結んだ。それからすぐに割れた皿を持って警察署に行った。皿が割れて自分が傷つくくらいならいいが、妻の暴力が子どもに向かわないか心配だと相談をするために。それから誠也は警官を伴って帰宅。直美は逆ギレした。
「皿が割れて顔を何発か殴られたくらい何なの? あんただから殴ったんであって、言われなくたって子どもに手を上げたりしないわよ!」
直美は警官と息子たちの前で自らDVを自白した。
「何かあったらすぐに呼んで下さい」
警官はそう言い残して去った。翌日、直美の外出中に玄関ドアの鍵を交換して直美を締め出した。
「何考えてるの? 早く開けなさいよ!」
「おまえ、妹の不倫、知ってただろ? 止めずにむしろあおってただろ? そんな母親ならいない方が子どもの教育にいい。とりあえず実家に帰れ!」
「馬鹿言わないで! それに夢香が不倫してたとしても、される方にも問題があったんじゃないの?」
玄関ドア越しの言い争いに息子たちも参戦した。
「LINEのやり取り見たよ。俊輔おじさんのことミミズって言ってたよね。学校の先生が友だちを嫌な呼び方で呼ぶのはいじめだって言ってたよ」
「浮気してるおばさんをかばうってことは自分もしてるの? 気持ち悪い。もう顔も見たくない!」
誠也は義実家に電話して直美を引き取るように要請した。
「直美がDV? 何を馬鹿なこと言ってるんだ?」
「俊輔のDVは虚偽だけど、直美のDVは本人も認めてますから。三十分以内に引き取りに来なければ警察を呼びますよ」
十分で飛んできた義父母は直美といっしょに秋葉家の玄関前で騒ぎ立てたが、通報で駆けつけたパトカーから警官が降りてくるのを見て慌てて逃げ出した。
翌日、間髪入れずに杉原弁護士は義実家の直美あてに受任通知書を送りつけた。
秋葉直美様
とらのあな法律事務所
弁護士 杉原烈彦
受任通知書
前略 当職は、貴殿の夫である秋葉誠也氏(以下、「依頼人」という。)から、貴殿に対する離婚請求、及び婚姻費用請求の委任を受けたので、本書をもってご通知申し上げます。
よって、以後、依頼人本人に対してはもちろんのこと、依頼人の子息を含む親族、友人等関係者一切に対して、訪問、電話、手紙、電子メールその他手段の如何を問わず、直接に接触すること、およびこれを試みることは、厳にお控え下さい。
何か連絡があるときには、すべて、依頼人の代理人である当職宛にして下さいますようお願い申し上げます。
草々
夢香の依頼を受けて鷲本弁護士が僕に送付した文面を、あえて丸パクリして送ってもらった。義姉と夢香は地団駄を踏んで悔しがったに違いない。
その後、婚姻費用請求の通知を義姉に改めて通知した。もちろん請求額は毎月三十万円。応じないなら即座に調停に移行すると書き添えて。