🩷side
❤️芝居じゃない。お前が好きなんだ
涼太の声の真剣な響きに、俺は時間が止まったかと思った。
「オマエガスキ」
少し声がズレたような感覚があって、その意味を理解した直後に、俺の顔は一気に火を吹いた。
きっと今は耳まで真っ赤になってる。
🩷じ、冗談はよせよ…
動揺してるなんて絶対にバレたくないのに、思わず見てしまった床の模様に意識を集中させる。
目を見ないと変に思われるのに。
嫌だ嫌だ、こんなやつ、俺は何とも思ってないんだからな。
❤️俺と付き合わないか?
涼太は淡々と言った。
もっと熱っぽく、情に訴えて来たら俺は惑わされて首を縦に振っていたかもしれない。
涼太の冷静な声が、俺を何とかこちら側に繋ぎ止めていた。
🩷俺は、阿部ちゃんのことが
そうだ。
俺には阿部ちゃんがいる。
振られても振られても、俺は阿部ちゃんの隣りを目指すって決めたんだ。
言われなくてももう阿部ちゃんのことでいっぱい泣いたんだ。阿部ちゃんにならいくら傷つけられても我慢できるんだ。俺には阿部ちゃんしか要らない。
だから、今日だって阿部ちゃんが可愛いねって褒めてくれたTシャツを着て来て、髪も念入りにセットして、それにっ……
涙が零れた。
どんなに頑張っても振り向いてくれそうにない恋をこれからも追い続けるか、ここでその恋から降りるのか。
降りられるの?
本当に?
阿部ちゃんの笑顔が、阿部ちゃんの真剣な眼差しが、可愛いねって耳元で言ってくれる甘さが、俺の脳裏に次々に浮かんできて俺を誘惑する。
好きだ
好きだ
好きなんだよ
俺は、阿部ちゃんのことが、大好きなんだ!
黙りこくって泣き出した俺を、涼太が心配そうに見ている。
肩を抱こうと身体を寄せて来た。
俺はそれが嫌で、力いっぱい振り解いた。
🩷やだ!!!お前なんか世界一だいっ嫌いだ!!!!
その時の涼太の悲しそうな顔を俺は一生忘れないと思う。
涼太は、何も言わずに、先に練習場へ戻って行った。
俺の胸に苦い後悔だけが残った。
🩷阿部ちゃん、俺を見てよ。俺、阿部ちゃんじゃなきゃダメなんだよぅ………
俺は膝を抱えて、一人、肩を震わせ気が済むまで泣いた。
コメント
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舘様ーーーー🥹さっくんーーーー🥹 ってなりました😭