テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
2.夏
入学式から3カ月が経った。
入学当初抵抗があった夏希ちゃんとは、今ではすっかり打ち解けていた。
「ねーねー、ここのクレープおいしそうじゃない?」
「確かに!」
「家からもちょっと近いし放課後一緒にいこ!」
「賛成!」
私はそう言い、放課後が来るのを待っていた。
放課後を告げるチャイムが鳴った後、私は夏希とクレープを目指して一緒に歩いた。
行く道にある木々からは夏を知らせる蝉の声がする。
「おいしー!」
「ねー!!」
「友達ってさいこーー!!」
二人してクレープの虜になっていた。
「じゃーねー!」
「また明日!!」
そう言って私たちは分かれた。そしてなぜか帰るときに胸が締め付けられる感覚があった。
わたしは思った。夏希に恋をしているかもしれないと。
けど、もうこの恋はかなわない。
私たちは「友達」なのだから…
どんなに幸運であっても、夏希の恋人になれるわけがないのだ。
私たちが出会えてることが幸運なのだから。
私は、あの踏切に行った。
見たこともないような青い空、潮風の香り、波の音。
そのすべてが私の感覚を刺激した。
翌日から一週間、夏希は体調不良で学校を休んだ
それから私は夏希に会わないまま、夏休みに入った。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!