テラーノベル
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部屋の時計が午後11時を告げると・・・ジャスティンは読んでいた本を置き目を擦った
傍らには乱雑に積み上げられた聖書の山があり、眠気を払うために飲んだコーヒーのカスが溜まったカップを見つめた・・・洗おうかと思ったがそのままにしておくことにした、次にこの部屋に戻った時には、竜馬が洗って食器棚に置いてくれている
ジャスティンは竜馬に口うるさくても身の回りの世話をしてもらうのが好きだった、なんだかんだ言いながらも、竜馬が自分の服を勝手に着るのも気に入っていた、自分の領域の中で竜馬が楽しくしているのが好きだった
多分アンドリューは場数を踏んだ策士ではないなと考えていた、そして暗殺者としても場数を踏んでいるようには見えない、たぶんチャック寄りの良いマフィアなのだろう・・・もっともチャックが良いマファなのかどうかも分からないが・・・
チャックの帝国を維持するには敵が多すぎる・・・そしてチャックの殺し屋の自分は絶対単独で動く、仲間はいらない、そもそもマフィアに良いも悪いもあるのだろうか、分かっていることは自分はもう逃れられないってことだけだ
アンドリューは今の所、竜馬に何か危害を加えるようなそぶりは見せていなかった、自分の所のファミリーのボスを殺されたのにも関わらず、奴からは復讐の匂いはまったく受けない、むしろ竜馬を守っているようにも感じた、しかし安心してはいけない、常に警戒は怠ってはいけない
乱雑に積まれている聖書をじっと見る・・・今更神に許しを乞うてもしかたがない、地獄で罪はすべて清算する。全うに生きることなどすでに望んでいない、ミシガン湖に眠る死者たちに背中を向け、こうして生きている自分にも憤りを感じていた、自分も最後はきっとどこかで撃たれて野垂れ死ぬのがお似合いだ
それでも慰めは欲しかった・・・ジャスティンが部屋から出てリビングのソファーに目をやった、そこには竜馬が花が咲くように眠っていた
ソファーに黒髪を広げ・・・窓からの月明りを受けて、両手を胸に引き寄せ・・・胎児の格好で眠る彼が、何の穢れも無い幼さと純粋さを思わせる、涙が出てきそうだ・・・ジャスティンは思った、どうしてこんなことになったんだろう
「よく寝るのは人の事言えないぞ・・・」
ジャスティンは小さく呟いた、竜馬は夕食を食ったらいつもこのソファーで眠る、自分のベッドから毛布を持ってきてそっと掛けてやった
日付が変わる前に起こしてカルロスの家に竜馬を帰す、そんな何でもない日常が好きだった、日本人はよく風呂にはいると聞いていたが本当だった、こいつほど体を洗う人間はみたことがない、竜馬からはいつもシャンプーの良い匂いがする
ジャスティンは胸いっぱいに竜馬の香りを吸った、しばらく眠る竜馬の傍らに座りじっと見つめていた
―時が止まればいいのに・・・でも、もう行かなきゃ―
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息をひそめて眠る竜馬の頬にキスをした、そして黒のライダーズジャケットを着こみ、ため息をついてまた亡霊が彷徨う夜の街へ出かけた
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ガチャン・・・とドアが閉まると同時に竜馬の目が開いた
「いったいどこに行ってるんだよ・・・ジャスティン・・・」
竜馬はポツリと呟いた
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月夜の夜、竜馬はカルロスの家の自分の部屋の窓から月を眺めていた・・・大きくて青白く斑点のある、日本では絶対に見れない雪花石膏(アラバスター)のような輝く月のおかげで、街灯が無い道でも遠くのメインストリートまで明るく照らしている
もうジャスティンは三日三晩夜中に外出している・・・どこへ行くのか聞くといつもはぐらかす、その時のジャスティンは冷たく、まるで他人のような雰囲気を醸し出して竜馬を寄せ付けない
そして今日の夕方、ジャスティンとアンドリューが話していることを偶然聞いてしまった
竜馬が三階のディーラー室にウイスキーの補充を取りに行った時に見てしまったあの光景・・・
二人誰もいない控室で言い争っていた、ジャスティンとアンドリューの怒鳴り声を聞くまで、二人が最近カジノにいないことなど不思議にも思わなかった、なぜそうしたのかは分からなかったが、しばらく竜馬はウィスキーの棚に隠れて口論する二人の姿を見守った
「だから俺の言う事を信じろっ!アイアンウッドの港は穴場だ、今夜の0時に出荷する、俺達はそのままウクライナに行くつもりだ、でもサツに漏れてるかもしれない」
アンドリューはそう言ってゆっくり部屋の中を歩き回っていた
「ドンの命令だ!二人一組でやれってことだっ!0時にあっちのマフィアの連中に引き渡すまで、お前と俺は一チームになるんだっっ!」
#地雷系
尾津嘉寿夫 ーおづかずおー
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クラリス
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リリア💙🤍
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#いじめ
名瀬口にぼし
279
「俺はひとりでやる主義だっっ!仲間は作らんっ!!」
ジャスティンが言った
「今回だけはそうはいかないっ!」
アンドリューの声は低く憤りを感じているようだ
「仲間を守るんだっっ!状況があまりよくない!」
アンドリューはテーブルに身を乗り出し、さらにジャスティンに凄んだ、ジャスティンが長い脚を組んで優雅に座って鼻で笑った
「今じゃお前がドンの右腕となって、この組織を動かそうとしているかのよ?え?ご大層なこったな!バーボンの所で役立たずだった癖に」
アンドリューがジャスティンの頬に平手打ちした、ジャスティンが吹っ飛んだ、しかしすぐにジャスティンがアンドリューに襲いかかった、二人は服が破れるぐらい胸ぐらをつかんで、あちこちの壁にお互いをぶつけ合った!まるでゴジラとキングギドラが暴れているようだった
「仲間割れしてる場合じゃないんだよっっ!!」
やがてハァハァ息を切らしアンドリューが言った
「ドンがそう言ったんだ!それにいくらお前が不服かわからんが、作戦中は俺の命令にしたがってもらうっ!!」
―ドンって誰のこと?―
竜馬はウイスキーが並んでいる棚に隠れ、声を出さないように両手で口を押えた、二人が話している事を理解しようとしたが、まるで見当もつかなかった
分かっているのは、あの二人はいがみ合っているが何かを一緒にしている 、絶対良いことじゃないのは分かっていた
―何をしているの?―
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あれから竜馬は色々考えを巡らせた、そして一つの結論に至った
ジャスティンを信じたい・・・
けれども何をしているか確かめたい・・・時計は午後10時・・・アイアンウッドの港までハーレーなら2時間はかかるだろう
たぶん今夜は日付けが変わるまでには帰れないだろう、外泊するのは初めてだ、それでもどうしてもやらなければいけなかった
「今夜こそつきとめるぞ!」
竜馬はリビングで酔いつぶれて大いびきをかいているカルロスを見た、この調子じゃ竜馬が朝までいなくてもきっとカルロスにはわからない 、そっと納屋からハーレーを出してエンジンをかけ、メインストリートに向かった
月は明るく竜馬を照らした
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カルロスの家から二キロ離れた場所に、黒塗りのセダンの中にいる男が無線に話かけた
ジッ「ペットが動きました」
無線のスピーカーから、ゼレンスキーの声が聞こえた
ジッ「そのまま泳がせろ・・・」
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コメント
1件
うわあ、第181話、すごく切なくて胸が締め付けられました……。ジャスティンが眠る竜馬にキスして、また夜の街へ消えていくシーン、本当に泣きそうになりました。「もう行かなきゃ」って自分に言い聞かせてるのが辛い。それなのに竜馬は起きてて、こっそり「どこ行くんだよ」って呟くところも切なすぎる……。 それにしても、アンドリューとの乱闘シーンは迫力ありましたね。普段クールなジャスティンが激情をあらわにするのが新鮮で、余程追い詰められてるんだなと。 最後の「ペットが動きました」で終わるのがもう……次が気になって仕方ないです!竜馬、どうか無事でいてほしい。続き、めっちゃ楽しみにしてます!