テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
. .。 .:・.。. .。.:・
アイアンウッドの南港のゲートに「イベント・ステージ・トラック」と金の文字で書かれた、巨大な大型トラック一台が船着き場に乗りつけて来た
ゲートを開く係の二人の警備員が、そのトラックに近づいて来た、運転手のオーバーオールの男は、通行許可証を提示したにもかかわらず、神経質な警備員が荷台の中身を見せろと運転手に詰め寄って来た、運転手はこまった顔で言った
「発電機を荷台ギリギリに積んでいるので、中身を開けると、せっかく綺麗に積んだ荷が崩れてしまいますぜ、旦那」
と主張した
「少し扉を開ければいいだけだ!」
警備員が問い返した、そんなやり取りをしばらく続けている間、オーバーオールの男がトラックから降りて、二人の警備員に近づいて行った、警備員達は夜食を食べたばかりで動作が鈍くなっていた、完全な同時進行で二つのことが起こった、運転をしていた男は腰のズボンの中に手を入れたと思ったら、小型のサイレンサー銃を取り出し、二人の警備員の喉元に一発ずつ打ち込んだ
警備員は声を出さずに二人とも息の根が止まり、バタリと地面に横たわった、それをオーバーオールの男が転がし、海に蹴り落とした、男は手動でゲートを開けてトラックに乗り込んだ
港の積荷場に到着すると、大きなコンテナ貨物船が近づいてきていた、57番ドックと港の地面に書かれていた場所にトラックは停車した、かなり大きなコンテナ船も、57番ドッグを目指して港にゆっくり入港してきた
トラックのモーターがブーンと爆音を鳴り響かし、トラックがバカンと開き、ステージの部分が自動で降りてくると、コンチネンタル・ファミリーの二十人の兵士が飛び降りて辺りに散らばった
トラックには密輸用の武器が山ほど積まれていた、全員黒装束を見につけて、サイレンサーの銃を携帯している
「クーパー!!」
ルビーが全身黒のボンテージスーツ姿で叫んだ、胸の谷間は大きく開き、赤い薔薇のタトゥーが見える
「何も殺さなくても良かったでしょう!」
オーバーオールを着てトラックを運転していたクーパーに向かって大股で歩いて来て怒鳴った、ルビーの手にもサイレンサーの銃があった
「この銃の威力をちょいと試したかったのさ」
クーパーが肩をすくめた、覆面を被ったチャック、アンドリューの指揮に従って、残りの兵士たちがたちまち港内へ散らばった、特殊任務を帯びた数人の男が、貨物船のデッキを銃を持ってウロウロしている、ウクライナのならず者と無線で連絡を取り合っている
それを見た港の関係者が異変に気付いた
「あ・・・あわわわ・・・け・・・警察・・・」
事務所から緊急連絡用の電話を掴んで警察に通報しようとした途端に「スガーンッ」と言う音と共に関係者がかけようとしていた電話が砕け散った
「ヒィッ!!」
関係者はその場にうずくまりながらそそくさと逃げて行った、砕けたガラスが辺りに飛び散って今はキラキラしている、撃ったのはジャスティンだった
覆面はかぶらず、黒のトレーナーに黒の皮パンツを履いている、コルト45口径の銃口からピンクの煙が漂った
「おーい!!なぜ殺さない!」
クーパーがあきれて首を振る
「それでいいのよ!ジャスティン、無駄に血を流さなくてもいいわ、血は嫌いなのよ!汚いから!吹き飛ばす方がいいわ」
「早く船へ銃を積め!!時間がない!!」
ジャスティンが指示を出した
. .。 .:・.。.
竜馬は港の船着き場で、コンテナの間に隠れ大型トラックからジャスティン達が出てきたのをハッキリ見た
#地雷系
尾津嘉寿夫 ーおづかずおー
1,294
クラリス
2,220
リリア💙🤍
207
#いじめ
名瀬口にぼし
279
―信じられない!―
そしてあの覆面を被っているのは、体つきからして間違いない、チャックとアンドリューだ!竜馬はハーレーを近くの通りに停車し、動揺し、不安にさいなまれながらも少しづつ彼らに近づいて行った
するといきなり昼間のように野外ライトが照らされ、竜馬はハッとして宙を見渡した、港には緊急避難用のサイレンが鳴り響いている、竜馬には何が起こっているのか見当もつかなかったが、竜馬がやってきた遠くの道から武装した車と警察のパトカーの軍団がこっちへ一斉にやってくるのが見えた、おびただしい数だ
竜馬はゴクリと唾を飲んだ
―大変だ!ジャスティン達に知らせなきゃ!!―
サイレンが鳴り響く中、ジャスティンたちのコンチネンタルの兵士も異変に気付き、みんなあちこちに散らばった、竜馬も慌ててジャスティンを探してそこらを探し回った、そこへ覆面を被ったアンドリューがこっちへ走って来た
―助かった!―
竜馬は叫んだ
「アンドリューさん!!アンドリューさん!!」
ハッとアンドリューがこっちを振り向いた
「竜馬?そこにいるのは・・・竜馬か??」
サッと覆面を取ってアンドリューが竜馬のもとへ駆けて来た、竜馬はアンドリューにかしずいた
「アンドリューさん!ジャスティンは?ジャスティンもいるんでしょ?」
「あちゃ~~・・・・つけて来たのかよ・・・・竜馬」
アンドリューが顔を右手で擦った
「ジャスティンは何か悪い事してるんでしょ?アンドリューさんも一緒なんでしょ?それにどういう訳か警察が沢山こっちへ来てるよ!」
「あ~・・・悪い事っていうかぁ~・・・うん・・まぁ・・・そうだな」
アンドリューはガシガシ頭を掻いた
「とにかくここは危ないから、一緒にあっちへ行こう!さっ!おいで!!」
「う・・・うんっ!」
そう言ってアンドリューは竜馬の肩を抱き、二人は夜の闇に隠れて人気のない場所へやってきた
「いいかい?もう一回、詳しく聞かせてくれ、どうして君はここの場所がわかったんだ?」
アンドリューが竜馬と向き合って両肩に手を置いてじっと見つめた・・・アンドリューはとても困った顔をしていた、途端に竜馬に罪悪感がこみ上げる
「ご・・・ごめんなさい・・・その・・・二人が話している所を・・・」
言葉が尻すぼみになる
「盗み聞きしたんだね?」
アンドリューは片眉を上げて問いかけた
「ほ・・・本当に・・・ごめんなさい・・・でも・・・」
「それはもういいよ・・・いいかい?ここからが大事だ、今夜ここに俺達がいることを君は誰かに言った?」
アンドリューの目が探るように竜馬を見る、竜馬はかぶりを振った
「そんなっ!言うわけないよっ!!」
「本当に?」
アンドリューが毅然と言う、その目は暗く、竜馬を見つめる視線は揺るがない
「僕!誰にも言ってない!誓うよ!アンドリューさん!信じて!」
「そうかい・・・・」
―カチャリ―
アンドリューが竜馬の額に銃を突きつけた、伏せたまつ毛越しに竜馬を凍るような視線でねめつける
竜馬は目をしばたいた、冷たい指で背筋を撫で降ろされた気分だった、ゾクリと竜馬の背筋に悪寒が走り、竜馬はそのままアンドリューを見つめたまま固まった
弾がこめられていた額につけられた銃から火薬の匂いがする
―どうして?―
まるで現実的ではなかった、あの優しいアンドリューに今、竜馬は銃を突きつけられている
「君の事は好きだったけど 残念だよ・・・竜馬・・・君がいるとジャスティンが殺人鬼になり切れないんだ」
竜馬の額から汗が噴き出る・・・体が硬直して動けない
「ぼ・・・僕を・・・・撃つの? 」
「君はジャスティンの アキレス腱なんだよ・・・竜馬」
氷のようなアンドリューの声に竜馬の全身が力が抜けた
―殺される―
. .。 .:・.。. .。.
「やめろっ!アンドリュー!!」
ハッとアンドリューが振り返って声のする方に一発打ち込んだ、途端に弾丸が自分達の方へ帰って来た、弾は後ろのコンテナに竜馬の頭上1メートルの所に穴を開けた、足元に撃ち込まれ、勢いでアンドリューが竜馬から離れた
10メートル離れた所でジャスティンが銃をこちらに構えて煙の向こうにいるのが見えた
彼の目は竜馬とアンドリューの姿を捉えていた、アンドリューは素早く手を伸ばすと、あっという間もなく竜馬を抱え込んで、自分の前に突き出し盾にした
竜馬は自由になろうともがいたが、アンドリューはしっかりと竜馬を羽交い絞めにし動けなくさせた
「妙なマネをしたらお前の竜馬を撃つぞっ!! ジャスティン!!」
アンドリューはそう叫んで片手で竜馬の後頭部の髪をつかんで後ろにひっぱった、竜馬の白い喉があらわになる
「ア・・・アンドリューさ・・・ん 」
竜馬の喉に銃口が付きつけられる、ジャスティンとアンドリューはにらみ合ったままピクリとも動かない
「竜馬を離せっ!アンドリュー!」
ジャスティンが叫んだ
「なぁ・・・知ってるか・・・ジャスティン!コイツの髪は花のような良い匂いがするぜ 、う~ん・・・いい香りだ」
アンドリューはそう思わせぶりに言って、竜馬の髪の匂いを嗅いだ、髪をさらに後ろに引っ張られ、竜馬が喉の奥から苦し気に声を出した
「よくもバーボンを殺してくれたな!バーボンはアホだったけど俺の弟だった!殺すことはなかったんだ! 」
―弟? アンドリューさんの?弟?―
竜馬は以前アンドリューに弟がいたと話してくれたことを思い出した、アンドリューが悪魔のような笑みを浮かべて叫んだ
「マフィアのやり方だっ!!目には目をだよ!ジャスティンっっ!バーボンを殺された仕返しに、お前の目の前で竜馬を殺すっっ!」
コメント
1件
わあ…第182話、重かったですね。アンドリューがあんな形で竜馬に銃を向けるなんて、本当に信じられなかったです。ジェスティンの「アキレス腱」という言葉がずしりと響きました。彼の優しさが仇になるという皮肉…。でも最後のジェスティンの登場で少し希望が見えた気がします。続きが待ちきれないです!