「………」
「あ、ぺいんと」
クロノアさんがこちらに気付き、歩いてくる
…結局あの後俺の才能は何も出なかった
「…なんか…どした?苦虫を噛みつぶしたような顔してるけど…」
「いや…ただ…」
「……?」
「かっこいい才能ほしいなぁ…って…」
「あ〜…」
俺も強い才能欲しかった!!!目の前であんなん見せられて羨ましくないわけなくない!?
「……そうだ、クロノアさんの才能ってなんですか?」
他の人はどうなのかと思い聞いてみた
「あ〜、俺?」
「そうだな…ちょっとやってみる?」
そして、真面目な顔をして
「ぺいんと、俺の目を見て?」
と言った
「……?」
特に何も考えずじっとクロノアさんの目を見つめた
…それにしてもなんか綺麗な瞳だな…
エメラルドグリーンというか…澄んだ海の色的な…
………あれ?
…しかいが…ぼやけて………
パン!!
「はっ…」
耳を貫いた手を叩く音
「あれ?ぺいんと?」
「…え?」
「あぁ、良かった…」
「俺の能力は、3秒間目を合わせたら相手の意識を奪うことなんだよ」
「…今目を合わせたのは…?」
「…2秒間ぐらい…かな?」
「じゃあ後1秒で意識持ってかれてたんですか?!」
「まぁ…人によって効果はよりけりだから〜…」
若干はぐらかされたように感じた
「…あ、それともう一つ」
クロノアさんがスッとこっちに手のひらを向けてきた
「ぺいんと、ちょっとここにでこピンしてみて」
「?はい」
言われた通り、でこピンをする
ググググッ…パッ
パチッ
「…これがなんですか?」
クロノアさんはこっちに手のひらを向けたまま
俺のおでこの方に手のひらを向けた
「?」
パチッ!!!
「痛ったぁ!」
思わずおでこを押さえる、そこまで痛くはないが、
軽く痣ができそうなぐらいの痛みだ
「どう?」
「痛いです…」
「ふふっ…wごめんごめん」
痛がる俺を見て少しイタズラっぽい笑みを浮かべている
「もう一つが、自分の痛みを相手に2倍で返す能力」
「へぇ〜…」
…………かっこよくね?どっちも…
「…羨まし…」
「まぁまぁ、きっとぺいんともそのうち出るよ!」
そんな話をしながら歩いていると、
唐突に俺のお腹が鳴った
「あ、そっか、ぺいんとってもしかして昨日から何も
食べてない?」
「そういえば…そうですね」
意識を向けていなかったから気付かなかったが、確かにお腹が減っている…
「そっか、じゃあ食堂でも行こうか」
と言い、部屋とは逆方向の食堂へと向かった
向かっている途中でクロノアさんが何かを思い出したようで、「あ!」と言った、そして
「忘れてた、これ」
と、カードを俺に渡した
「これは隊員証」
「へぇ〜」
「これがあれば基本この施設内はどこでも行けるよ 」
クロノアさんから受け取った隊員証をまじまじと見ていると、名前の隣に隊員ナンバー、と書かれた数字がある
「クロノアさん、この隊員ナンバーって?」
「あぁ〜、これはね…個人を識別するときとかのための番号で、あと自分が何番目に入ったかとかも分かるよ」
「ぺいんとは〜…3918番だね」
「へぇ〜…意外とここって人居るんですね」
「あ〜…うーん、まぁでも半分ぐらいはもうここには居ないよ」
クロノアさんは寂しげな顔で遠くを見つめた、
その表情から大体の事を察した
そんなこんなで食堂に着いた
「ここだよ、この機械に隊員証かざしてみて」
「…こうですか?」
ピッと音が鳴り、ドアが開いた
「うわぁ…広!」
そんじょそこらのフードコートとかそんなものじゃない
超広くて天井も高い部屋に丸型のテーブルと椅子のセットが規則的に置かれていて、そこに3〜4人が腰掛けている
「今日はやけに人が多いなぁ…」
クロノアさんがため息交じりにそう言った、
「いつもはもっと少ないんですか?」
「うん、任務やらなんやらで食事なんて悠長にしてられないからね〜」
「へぇ〜…」
A〜Cの3つの定食がある券売機
「俺はB定食にするけど、ぺいんとは?」
「じゃあ俺は…クロノアさんと同じので、」
俺がそう言うとクロノアさんは2回B定食のボタンを押して、 「今日は俺が奢るよ、」と言い、俺に1枚食券を渡した
「ありがとうございます!」
「いいんだよ、まだお金とか持ってないでしょ?」
そんな会話をしていると、食事が出来たみたいで受け取って、適当に空いてるテーブル席に座った
「…ていうか、この錠剤なんですか?」
明らかに普通の定食なのに、箸の隣に白い錠剤が2つ置いてある、そこだけとても異質な感じかする
「あ〜これは…」
??「クロノアさ〜ん!!」
妙に聞き慣れた声が話を遮った
??「今日人多いですよね!お隣いいですか?」
その声は…
「え、しにがみ?」
「……えっ!ぺいんとさん!?」
しにがみ、本名 詞苦実 秀斗(しにがみ しゅうと)
去年iskに才能が認められ、もう二度と会えないと思っていた親友…
「…うわぁぁぁぁん!!!!」
「うわっ!ちょっやめろよ!」
いきなりしにがみが抱きついてきた
「だってぇ…だってもう二度と会えないかと…」
「……まぁ、そうだよな」
相変わらず身長が低くて、安心した
「えっと…2人は友達なの?」
「あっ、はい!そうです、同じ高校だったんです!」
「へぇ〜!どうりで仲いい訳だ」
クロノアさんはもうすでに箸を持って、おかずを食べ進めていた
「ほら、早く食べなきゃご飯冷めちゃうよ?」
そうクロノアさんに言われ、やっとしにがみが俺から
離れたので、俺達はご飯を食べ始めた
味は意外と普通で、肉が少ない野菜炒めという感じだった
しばらく駄弁りながらご飯を食べ進めていた、そこで
しにがみの才能はなんなのかと、気になった
「…そうだ、しにがみ?」
「はい、なんです?」
「お前の才能って何?」
「………あ〜…それ聞いちゃいますw?」
「え、なに?聞いちゃだめだった?」
「いや…別にいいですよ…でも…」
「僕、最強なんでw」
「………」
「じゃあ今から訓練場行きましょ!皆で!」
「あ!そうだぺいんとに錠剤の説明してないからちょっと待って」
半分以上忘れかけていたが、クロノアさんがちゃんと覚えていてくれた
「えーっと、この錠剤は才能の因子を活性化させる薬で、 毎食必ず飲まなきゃいけないから忘れないようにね、」
「あ、はい!」
…昔から薬ってなんか苦手なんだよな…
「…飲み方は普通の薬と一緒で、水で飲み込めばいいよ」
薬とにらめっこしている俺に、クロノアさんがアドバイスをくれたので、その通りに水で錠剤を流し込んだ
「僕これ嫌いなんですよね〜…なんか違和感があるというか…口の中がもぞもぞする…」
そう言いながら、しにがみも錠剤を飲み込んでいた
しにがみの言う通り、あまり好ましい味ではない…
「2人とも苦い顔してるねw」
「はい、飲み込んだ!訓練場行きましょ!」
しにがみがバッ!と席を立ちそう言った
俺達は食器やらを片付け、すぐ訓練場に向かった
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