次の日の朝、阿部ちゃんからLINEが来た。
【俺明後日と明明後日なら空いてるよ!⠀】
【分かった。じゃあ明後日空いてるから、持ってくね。⠀】
【もう行けるの?荷物そんなに少ないの?⠀】
【ちょっとの間住むだけだからね。必要なものだけ持ってくよ!服も最低限あれば行けるし。】
実際私物は少ない方だから、あんまり悩まずに直ぐに用意が出来た。問題は寝るとこ、いつもベッドで寝てるから布団が無いんだよね。まぁこれは明日仕事一緒だしその時話すか。最悪床で寝ればいいし。
【OK⠀】
【逆に阿部ちゃんは大丈夫なの?スペースの確保とか。⠀】
【俺は物置替わりの空き部屋あるから大丈夫だよ!⠀】
そういえばこの前泊まりに行った時結構広い家だったよね…。なんの部屋かわかんないとこあったし。阿部ちゃんって何気金持ち?
【分かった。ありがと、阿部ちゃん。⠀】
【いいえー⠀】
話がとんとん拍子で進みすぎて怖い。阿部ちゃんも阿部ちゃんで優しすぎない?急な話なのに…。でも、阿部ちゃんで良かったな。もちろん自分でできる家事は最低限俺が全部するけど、分からないこととか教えてくれそう。俺ついてるな。
次の日楽屋で阿部ちゃんに明後日のことについて詳しく話した。料理は分担してやろう、洗濯は、溜まっているのを見たら洗おう、と簡単なことからルール?を決めた。
「あっ、そういえば阿部ちゃん。」
「ん?なぁに?」
あざといは通常運転。首を傾げて小文字を入れて話すけどもうツッコまないから。
「僕さ、いつもベッドで寝てて布団ないんだけどさ布団ってどこで買えばいいの?」
「え?いいよ、布団なんて。」
「なんで?」
泊まった時は、しょうがないから一緒のベッドで寝てたけど、まさかこれからもずっとそうなのか?
「ベッドで一緒に寝ればいいじゃん。」
そのまさかだった
「あっそれとも狭いのいや?じゃあそのうちダブルベッド買おっか!俺1人で寝てても広い方が良いし。」
「違う違うそうじゃなくて。」
話進みすぎだよ。ちょっと待って。
「阿部ちゃんは良いの?」
「何が?」
「だって広い方が好きなんでしょ?僕と寝たら狭くなるよ?僕は別に良いけど。」
広い方が好きなのになんで一緒に寝ようとしてんだ。ていうかなんでそんなサラッとダブルベッド買う?とか言えんの?やっぱり金持ちなの?
「別に良いよ〜。わざわざ布団買って俺がベットでラウが床でってなんか嫌じゃない?お泊まりじゃないんだし、仮にも一緒に住むんだし。あっ、人と一緒に寝るのが嫌なら別に良いんだよ?」
「あ、いや。大丈夫それは。」
まあ。分からなくもないけど…うーん。阿部ちゃんが迷惑しないかな?俺結構寝相悪いし。
必死に悩んでる俺を見てる心配した阿部ちゃんがそっと肩に触れて顔を覗いてきた。眉を下げて困り顔の阿部ちゃんはファンの人なら発狂するであろう可愛さ。ホントあざといな、この人。あっツッコんじゃった。
「本当にラウが嫌なら良いからね?ラウの部屋も俺の部屋もあれ以上布団を置くスペースがほぼないから、ちょっと提案しただけで、頑張れば作れるし。あ!もう1個部屋あるしそこで…。」
「大丈夫大丈夫大丈夫。本当に大丈夫。」
そういう理由なら言ってよ。なんか俺が頑なに一緒に寝たくない見たいじゃん。康二くんじゃあるまいし。…あっ康二くんごめんね。
ていうかもう1個部屋あるって、絶対一人暮らし用の家じゃないよね、あれ。
「阿部ちゃんが良いんだったら。一緒に寝よっかな?お互いが寝坊しそうな時直ぐに起こせると思うし。」
パァッという効果音が聞こえそうなほど大きく目を開けてニッコリと笑った。心配かけすぎた、ごめんね阿部ちゃん。
「!!おっけー!じゃあ明後日から…ではないか住むのは、明明後日からよろしくね!」
「うんよろしく!」
明明後日から遂に阿部ちゃんとの同居生活。うん。眠れない。人と共同して生活ってなんかすっごい楽しそう。毎日がお泊まり会じゃん!
…
俺はこれから苦労する日々が来るとは思いもしなかった。