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#両片思い
当麻月菜
571
榎本くもり
2,030
#地雷系
尾津嘉寿夫 ーおづかずおー
1,225
◆◆◆◆
カーテンの隙間から朝日が差し込み、鳥達のさえずりが聞こえる。鳥といってもカラスだが……。左を見ると、ミィが俺の腕――どころか首に腕を回して、肩に頬をくっつけたまま可愛らしい寝息を立てている。口が半開きになっているせいで、俺の肩がミィの唾液で湿ってしまった。
一方、右を見るとアイさんが俺の足に自身の足をしっかりと絡めていた。いや、腰どころか股も腰も密着させ、時折「ん……♡、んっ……♡」と艶めかしい声を漏らしている。
今日が休みの日で本当に良かった。全く眠れなかった分けでは無く、何度か意識を失ってはいるが、眠った気が全然しない。何というか、眠ったような眠っていないような……。もし、睡眠の深さを測定する機械で今日の俺の睡眠を計ったとしたら、恐らく全ての時間で浅い睡眠の数値が表示されるだろう。
俺は体制が窮屈なので、彼女達を起こさないよう注意をしながら膝を曲げる。すると丁度アイさんの股がこすれてしまったようで、小さな声で「お”……お”ぉ”……♡」と普段は絶対に出さないような低い声を上げた。そして、目を見開いてすぐに両手で口を塞ぎ、身体を起こし俺が寝ているのか確認するように、俺の顔を覗き込んだ。
俺の目とアイさんの目が合うと、アイさんは耳まで真っ赤にし小声で囁く。
「寝ている間に不意打ちなんてズルい。」
「い……いや……不意打ちするつもり何てなかったですよ。ただ、体制を変えようと……。」
「言い訳なんて聞きたくないわ。」
言うのと同時に、アイさんは俺の足を自身の足でがっしりとホールドする。そして、ニヤリと悪い笑顔を浮かべると布団の中に手を突っ込み、朝から元気が有り余っている俺の息子をジャージの上から鷲掴みにした。
「――――――ッッッッッ!!!!!!」
思わず上がりそうになった声を飲み込み、掛け布団の上からアイさんの手を抑えつける。その衝撃で、俺に抱き着いて眠っているミィが「んん……ッ♡」と声を上げ身体をくねらせた。
こんな所をミィに見られたら……と思うと背中に冷たい汗が流れる。しかし、アイさんは相変わらず悪い笑顔を浮かべながら耳元で囁いた。
「ほら♡ 声を上げろ♡ ユウト君も恥ずかしい声を出せ♡」
アイさんは、俺の息子をパジャマの上から撫でまわし、裏筋の辺りを爪を立ててカリカリとひっかく。その手つきは手慣れており、俺に対して”そういう事”を行ったことは無いにも関わらず、的確に俺の気持ちが良い所を責め立ててきた。
思い切って俺もベッドの中に手を突っ込んで、アイさんの腕を掴む。それと同時に俺の左肩がミィの顎にぶつかり「ウグッ!」という低い声と共にミィが目を覚ました。
俺とアイさんは、まるで今目が覚めたかのように身体を起こし、
「おはよう。」
と声をかけた。
◆◆◆◆
朝飯を3人で食べた後、洗面所で顔を洗っているとアイさんが隣で俺の首筋をそっと撫でた。
「しっかりと付いてる♡ ミィちゃんと私の2人にマーキングされちゃったわね♡」
アイさんの撫でた個所を見ると、うっすらとキスマークが付いていた。昨晩アイさんが寝る前に、俺に付けたものだ。それに左腕の香りを嗅ぐと、濃くフローラルなバラの香りがする。
「でも本気で好きな人にはこんな薄い跡じゃ無くて、暫く消えないくらいしっかりとした跡を付けちゃうんだから……。」
そう話しながら、歯ブラシに歯磨き粉を付けて歯ブラシを咥える。アイさんの唇は普段から瑞々しく柔らかそうだが、今日はいつも以上に瑞々しく蠱惑的に見えた。
◆◆◆◆
「で……なんでミィちゃんが俺の家に居るんだ?」
「へ? だって、私がユウトの部屋の扉を開けて上げたわけだし、別に私がいてもいいでしょ。」
ミィは俺のベッドの上で横になり、スマホをイジリながらゴロゴロとしている。
俺が自分の部屋の扉をミィに開けて貰わなければならなかったのは、そもそも、ミィが俺の部屋の鍵をインキ―したせいだろ。とは思うが、ノートPCに向かい執筆をしている俺の邪魔をしている分けでは無いため強く言うのも違う気がする……。
「今日はメルラブには行かないの?」
「今日は19:00から出勤するよ~。 今日はバレンタインデーイベントなんだ。そうだ、ユウトも来なよ。キャストからチョコを貰えるよ~。何なら、私が上げよっか? どうせ貰う宛てなんて無いでしょ?」
そうか、今日はバレンタインデーか……。俺には無縁のイベントだったので完全に忘れていた……。というかミィのやつ、今メチャメチャ失礼な事を言わなかったか……? まあ、イベントなら少しだけ顔を出してやっても良いか。
「ああ、キリが良い所まで書けたらな。」
◆◆◆◆
「あ、ユウト君、来てくれたんだ。」
相変わらず殺風景な新宿にある雑居ビルの3階の重苦しい扉を開けると、俺の姿に気が付いたアイさんが、パタパタと小走りで駆け寄って来た。普段のメルラブのコスチュームは黒を基調とした地雷系の服装なのだが、今日はベージュとブラウンのクラシカルなメイド服風のコスチュームだ。
「あ……あの……若い娘なら似合うと思うんだけれど……私が着るとちょっと……アレよね……。」
それまで笑顔だったアイさんの表情がどんどん赤くなり、スカートのすそをギュッと握る。確かにアイさんの年齢を考えると”普通なら”キツさが出て来てもおかしくない。しかしアイさんの美貌によるものか、スタイルのおかげか、逆に凄く映えている。
「マジで似合っていますよ。コスプレ感が無くて本物のメイドさんみたいです。」
コメント
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あおいです🌷 第54話、読み終わりました! 朝のベッドシーン、アイさんの「言い訳なんて聞きたくないわ」からの悪い笑顔…あの空気感、ドキドキしました。普段と違う低い声「お”……お”ぉ”…♡」も思わず笑っちゃうけど、ユウト君の焦り方が伝わってきてニヤニヤしちゃいます。 バレンタインのメイド服姿、アイさんが自分に自信なさそうに「アレよね…」って言うところが逆に愛おしい。ユウト君が「マジで似合ってます」って真っすぐ言えるのが素敵だなあ。 ミィの「どうせ貰う宛てなんて無いでしょ?」も、ちょっと刺さる言い方だけど、彼女なりの距離感なんだろうなって思います。 3人の関係がゆるっと温かくて、続きが気になります!