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また、目を覚ました。
次は目の前に少女がいた。
赤紫のボブヘアーの小さな少女。
そのピンクの目は爛々と輝いていた。
「おねーちゃん!ユメのあたらしいおともだち?」
この子も私と同じ入院着を着ていたためここの患者だと思われた。
患者、なのだろうか。私と同じ巻き込まれただけではないだろうか。
だが、私自身もなぜここにいるのかわからないから、私が巻き込まれたというのも断定できない。
「あのね!ユメね、ユメっていうの!おねーちゃんは?」
「私は…」
名前を口にしようとした。しかし、名前が出てこなかった。
軽いパニックで混乱していた。
記憶が、ないのだ。
「なあに?」
「…カノ」
無邪気な圧に気圧されて、咄嗟に思いついた名前で誤魔化した。
「カノおねーちゃん!よおしくね!」
「ろ」を「お」と発音するほど、舌ったらずな可愛らしい声でそう言った。
「君はどこからきたの?」
たくさん思うことはあるが今、一番知りたいことを彼女に聞いた。
「えーとーぉねー?あめだまさん!」
何を言っているんだこの子は。
「…えっと、『あめだまさん』ってなにかな?」
私の声は震えていた。だが、精一杯優しく聞いてみた。
「ついてきて!」
ユメちゃんはそう言って私の手を引いた。
さっきの頭の痛みが引かないまま私たちはアイシングクッキーの扉を押す。
廊下は病室に反してかなり無機質だった。
鉄のように固いグレーの空間。
歩くたびにコツコツと金属音が鳴る。
さっきよりも、本能の「異常だ」という叫びが強くなり耳鳴りのように頭を下げて埋め尽くす。
それを悟られぬようにフラフラした足取りで前を向く。
「◾️◾️◾️ゆめ」と書かれた札のある一室「201号室」に着いた。
長く感じたが私の部屋と隣だ。
「ここねーあたしのねーおうちなの!」
ユメちゃんはそう言って病室の扉を開く。
中は私のと同じような仕様だった。
しかし、明らかに違うのはオレンジ色をした血痕のような水たまりだった。
よく見たらユメちゃんの入院着にも同じ色のシミがついている。
「ユメね!はじめてのおともだちだからうれしーの!ユメのおうち、いっぱい遊びに来てね!」
その笑顔は純粋で、無邪気でそして
とても
痛々しかった。
「おねーちゃん?」
この子も私も何か病気があるのだろうか。それとも、何か別の施設なのだろうか。
もしそうなら私は彼女をどうにか連れ出さなくては。
たぶんここは居ていい場所ではないから。
コメント
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リオンです。第2話、読みました。 ユメちゃんの「おねーちゃん!」「あめだまさん!」という無邪気さが、無機質な病棟のグレーと対照的で、すごく切なくなりました。名前が出てこない主人公が咄嗟に「カノ」と名乗る瞬間の緊張感。そして部屋のオレンジの血痕と、ユメちゃんの服のシミ。あの痛々しい笑顔の意味が気になります。この世界がどういう仕組みで成り立っているのか、もう夢中で読み進めたいです。続きが待ち遠しい!