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第3話、読み終えました。診察室のドールハウス的な世界観、一気に引き込まれました。主治医が球体関節人形ってのも不気味でいいですね。「あめだまさん」の正体がまだぼんやりしているのも、伏線として楽しみです。そして「ニンジンを増やしましょう」の不気味さと、最後に意識を失うループ感…この世界、どこまでが現実なのか、続きが気になります!
前回までのあらすじ。
謎の患者と思われる少女「ユメ」に出会った私は彼女が言っていた「あめだまさん」の真相を知るためにユメに手を引かれた。そこはユメのカラフルな病室だった。
「あのさ、ユメちゃん」
「おねーちゃん?なあに?」
ユメちゃんはこてっと効果音が出そうな愛らしさで首をかしげた。
「あのね、『あめだまさん』って言ってたでしょ?」
「うん」
「それって、なんなのかな?」
「あめだまさんはあめだまさんだよ!」
さらにわからなくなる。
「あめだまさんから来たってほんと?」
「うん!まぁまがねぇうそついちゃだめっていってたから、ユメねぇうそつかないもん!」
「…そっか」
あめだまさんというのは何の比喩だろう。施設的なものかあるいは家の比喩なのか。
しかし、これ以上聞いても何も得られるものはなさそうだと思い、その話はやめた。
すると、
「あら、ここに居たんですね」
ユメちゃんと違うけど聞いたことのある女性の声、ウサギ頭の看護師だ。
「なんですか?」
「診察室に行きましょう」
その返答の速さは私の話が耳に入ってないのを物語った。
その後ろでユメちゃんは不思議そうな顔をしていた。
「行ってくるね」
逃げられないと思い私は看護師についていく。
「…!うん!」
ユメちゃんは遅れてそう反応した。
ユメちゃんを置いていき、私たちは「診察室」に向かった。
診察室のドアは病室のアイシングクッキーとは違いおもちゃのようなプラスチックだった。
それをウサギ頭の看護師がコンコン、と軽い音を鳴らす。
そして、返事はなかったがそれを気にせず看護師がドアを開けた。
私は自分が大きくなった錯覚を覚えた。
なぜならそこは、黒と紫を基調としたドールハウスだった。
全体的に小物がミニチュアだった。
しかし、患者が座る丸椅子は普通のサイズだったのでそこに座る。
目の前を見ると、白衣の下にゴシックロリータのドレスを着た球体関節人形がいた。
「…これが…お医者さん?」
私がそう呟いた瞬間、ウサギ頭の看護師が複数人現れた。
どれも同じようでまるでクローンのようだ。
それらが一斉に寸分の狂いもないタイミングでおおよそ90°の角度で礼をする。
そしてそれらはこう言った。いや唱えたが正しい。
「我らが主治医、我らが主治医、我らの神、しあわせ、しあわせ」
看護師が私の方を一斉に向いてまた人形に視線を戻す。
「こちら、主治医」
看護師の人形を指差して一人がそう言った。
「…はい」
さっきの圧に気圧されて短く返事をする。
私はじっと「主治医」と呼ばれる人形を見つめる。
本当にただの人形だった。どこも動かさず呼吸もない。目は瞬きがなくガラス玉の濁った目でこちらを…いや虚空を見つめている…のか?
「さあ、診察しましょう」
看護師の一人がそう言った。
そしてもう数人の看護師が私の周りを囲みまじまじと私を見つめる。
すると、人形が急に動き出した。
ヒッ、と私の口から短い悲鳴が漏れる。もう何が起きても怖くない気がしてきた。
人形の主治医が使い古した赤いクレヨンでカルテであろう紙に「◯」と書き込んだ。
看護師たちはそれを見て
「ニンジンを増やしましょう」
と一斉に言った。
ニンジン、とは最初に飲んだあの薬だろうか。
だが、私はそんなものもう飲むつもりはない。
なるべくここに干渉しすぎず早く帰ることを考えていた。
…考えていたのだが。
帰る?
「…どこに?」
その瞬間、視界がグラリと歪んだ。意識を飛ばすまいと必死で足に力を入れる。
だが、努力は虚しく床にへたり込んでしまった。
看護師が何が言っている。
しかしそれは文字とならず頭に反響する。
そのままフラリと倒れてしまった。
…ははっ、これで何度目だろうか。