テラーノベル
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6話目もよろしくお願いします!
スタートヽ(*^ω^*)ノ
見つめ合う二人。
甘く、熱を帯びた視線が静かに絡み合う。
周りの音は、いつの間にか遠ざかっていた。
時計の針の音も、窓の外から聞こえる騒音も。
まるで世界そのものが息を潜めたみたいに消えていく。
残るのは、
互いの呼吸と、重なる鼓動だけ。
ここはもう、二人だけの世界だった。
キヨの喉が小さく上下する。
一度だけ目を細めて、決意を固めるように息を吸う。
そして、ゆっくりと声を落とした。
「….Kiss(キスして)」
その一言は、
今までのどんなコマンドよりも静かで、
けれど圧倒的に重く、深く、
まっすぐレトルトの奥へ届いた。
体の芯に、じんわりと熱が広がる。
逃げようなんて気持ちは、最初から存在しない。
ただ従うのではなく、
望んで引き寄せられていく感覚。
レトルトは一歩だけ近づく。
指先がキヨの頬ををそっと撫でる。
『キヨくん……大好き』
小さく笑って、
でもその声は震えていた。
キヨもわずかに息を乱しながら、
レトルトの顎に指を添えて顔を上げさせる。
視線が甘くぶつかった その瞬間、 どちらからともなく距離が消えた。
「…..んっ////ん..ぁ..っ♡ちゅ…♡レ..ト、さっ….////♡」
甘い口付けに翻弄されるキヨ。
今まで触れることのなかった唇に、
二人はただ夢中だった。
『ぷはっ。キヨくん…かわいい。俺とのキス、気持ちいい?』
レトルトはトロンと蕩けたような顔でキヨに尋ねる。
「….ん/////きもち…いい♡」
その表情にレトルトの理性はギリギリだった。
柔らかい温度が重なって、
胸の奥にじわりと熱が広がる。
ぎこちなさも、遠慮も、
最初の一瞬でほどけていく。
互いの温度を確かめるように、
ゆっくりと、でも確かに距離を詰めていく。
求める気持ちが重なって、
呼吸のリズムさえ同じになっていくようだった。
キヨの唇がわずかに離れるたび、
こぼれる吐息が静かな空気を震わせる。
その震えが、
胸の奥まで届いてくる。
レトルトの心臓は強く打っていた。
嬉しさと、満たされていく感覚と、
どうしようもない愛しさが混ざり合ってーー。
キヨをさらに引き寄せようとした、その瞬間だった。
「STOP!!(止まれ)」
低く、けれど確かに響く声。
レトルトの体はぴたりと止まり、
まるで時間だけがそこに取り残されたみたいに静まり返る。
『……え?』
怪訝そうに眉を寄せ、
レトルトはキヨの顔を覗き込んだ。
なんで?
そう言葉にしなくても伝わる表情だった。
キヨは視線を少しだけ逸らし、
耳まで赤く染めながら小さく息をつく。
「きょ、今日は……ここまで////」
照れ隠しみたいにそう言うと、
レトルトは一瞬きょとんとして——次の瞬間、盛大に声を上げた。
『えーーー!なんでなん?! 生殺しやん! なんでよーーーー!キヨくーーん!!!』
腕をばたばたさせて抗議する姿は、
さっきまでの熱を纏った雰囲気が嘘みたいに子どもっぽい。
キヨは苦笑しながらその手首をそっと掴み、
暴れる体をなだめるように近くへ引き寄せた。
「レトさん、落ち着けって」
少しだけ真面目な声色に、
レトルトの動きがゆっくり収まっていく。
そしてキヨは、
逃げるみたいに視線を外しながらも、
小さく続けた。
「続きは……もう少し待って? な?」
その言い方があまりにもずるくて、
頼むというより甘えるようで。
レトルトはしばらく黙ったままキヨを見つめ、
やがて肩の力を抜いて小さく笑った。
『….わかった。でも、ちゃんと褒めて?』
名残惜しさを滲ませながら そっとキヨの肩に額を預けた。
さっきまでの熱は、
静かな余韻へと形を変えて、
二人の間にゆっくり沈んでいく。
キヨは小さく笑って、
少しだけ照れたようにレトルトを見つめた。
「……Good boy///(よくできました)」
レトルトは頬を赤くしたまま、
でも嬉しそうに目を細める。
『ふふ。嬉しい』
その言葉に、
キヨの胸がもう一度キュンと高鳴った。
キヨの胸に体を預けながらレトルトは優しく呟いた。
『キヨくんのコマンドってさ、 強くないかもしれへんけど……』
一度だけ言葉を探すように間を置いて、
『めっちゃ、あったかいんよ』
その一言は、
静かにキヨの胸の奥へ落ちていく。
『無理やり支配される感じじゃなくて、
ちゃんと俺を見てくれてるって分かる声やから…』
レトルトは少しだけ頬を赤くして笑う。
『だから俺、キヨくんのコマンド大好きやで。
もっと、もっと色々言って欲しい』
――大好き。
その一言だけで、
これまで胸の奥に溜め込んでいた不安や劣等感が
少しずつほどけていくのが分かった。
弱いと否定され続けてきた自分のコマンド。
それを、こんなにも真っ直ぐに受け止めてくれる人がいる。
込み上げてくるものに抗えず、
キヨはレトルトの体をぎゅっと抱きしめた。
壊れないように、
でも離さないように。
腕の中の温もりが、
ちゃんとここにあると教えてくる。
「……ありがと、レトさん」
かすれた声が、
自分でも驚くほど震えていた。
視界が少し滲んで、
こらえきれなかった涙が静かに滲む。
ようやく許されたみたいな安堵の涙だった。
レトルトは何も言わず、 そっとキヨの背中に手を回して、 同じ強さで抱き返す。
――続きは、もう少し先の約束。
続く
コメント
2件
攻めsubの受けdomでなぜこんな神みたいなお話が作れるんだ…?最高です…