テラーノベル
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地方公演の夜。ホテルの部屋割りが同室になった二人は、照明を落とした薄暗い部屋で、一つのベッドに潜り込んでいた。
……いや、正確には「康二が翔太のベッドに侵入してきた」のだが、翔太はそれを追い出すどころか、康二の腕の中にすっぽりと収まっている。
「なぁ、しょっぴー」
「……んぅ……」
「ほんま可愛いなぁ。肌もちもちやん」
康二は関西弁の甘い口調で囁きながら、腕の中にいる翔太の背中を一定のリズムでトントンと叩いている。
まるで赤ちゃんを寝かしつけるような手つきだ。
普段なら「子供扱いすんな」とキレるはずの翔太だが、今夜は違った。
「……康二、あったかい……」
「お?もっとくっつく?」
「……ん」
翔太はとろんとした瞳で康二を見上げると、自分から康二の胸板に顔を埋め、ギュッと抱きつき返した。
その仕草があまりにも無防備で、康二は心臓が止まるかと思った。
「っ……!ちょ、しょっぴー!?今日どうしたん!?」
「……うっさいなぁ…。…なんか…寂しいの」
消え入りそうな声。
連日の疲れか、それとも深夜の魔力か。
いつもは尖っている「塩」の角が完全に取れ、ただの甘い砂糖菓子になっている。
「……寂しいんか。そっかそっか」
康二は愛しさが爆発しそうなのを必死に堪え、優しく、より強く翔太を抱きしめた。
「俺がおるやん。ずっと一緒におるで」
「……お前、うるさいけど……安心する」
「ふふ、最高の褒め言葉やな」
康二が翔太の額に、チュッと音を立ててキスを落とす。
翔太はビクッと肩を揺らしたが、嫌がる素振りは見せない。むしろ、もっと触れてほしいとねだるように、康二のTシャツの裾を握りしめた。
「……なぁ、康二」
「ん?」
「……もっと、構って」
「えっ」
「……俺のこと好きならぁ…。もっと甘やかしてって言ってんの…」
上目遣いでの爆弾発言。
その瞬間、康二の理性の何かがプツンと切れた
「……はぁ〜〜〜っ! もう、知らんで!? そんなこと言われて我慢できるわけないやん!」
康二は翔太の体を仰向けにすると、覆いかぶさるようにして頬ずりをした。
「好き!大好き!世界一愛してるで、しょっぴー!」
「くすぐったいって……ふふ」
「笑った!なぁ、もう一生離さんからな。トイレ行く時もついてったる!」
「それはキモい……けど、今はいいよ」
「今はいい」。
その許可証は、康二にとっては無敵のスター状態と同じだ。
「よし、じゃあ朝までこうしてるわ。しょっぴーが『暑い』って泣いても離さん」
「……泣かねーよ。……おやすみ、康二」
「おやすみ、俺の可愛いしょっぴー」
康二の体温に包まれ、翔太はすぐに深い眠りへと落ちていく。
その寝顔は、普段のクールな表情からは想像もできないほど、安らぎに満ちていた。
甘すぎる関西弁の愛の言葉をBGMに、とろけるような夜は更けていく。
コメント
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いいな~うちもこーじに添い寝されたい!! 続きまってるね~