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夜。
仕事帰りはいつも通りコンビニで弁当を買い、足早に家路についていた。
…あっ、ないこだ。
少し前を歩くとないこの姿を見つける。
ふわりとした髪、無防備な背中。
普段ならただ通り過ぎるだけの光景だ。
しかし、ないこの後ろに、もう一つの影があった。俺は すぐにわかった。
誰かがないこの、フォークが後をつけている。
まさか、あの曲がり角で襲うつもりなんじゃ…..
胸がぎゅっと締め付けられ、理性より先に足が動いた。
こうしてはいられない。
息を潜めつつ、影のフォークとないこの間に距離を保ちながら、後をつけ始めた。
心臓の鼓動が速くなる。
普段は淡々としたフォークとしての自分が、今だけは本能に突き動かされていた。
ないこを守らなければ。
それだけが、唯一の思考だった。
ないこが駆け足になる。
背後の怪しいフォークも速度を上げ、追いかけてくる。
慌てて警察に電話しようと目を離した隙に、二人の姿は視界から消えた。
胸がざわつき、理性と本能がせめぎ合う。
待て、ないこ…!!
俺は走ってその方向へ向かう。
しかし、目に飛び込んできた光景は、想像を絶するものだった。
地面には倒れたフォーク。
血まみれで動かない。
そしてその上に立つ、ナイフを握ったないこ
「ないこ…?」
思わず声が出そうになり、衝撃で膝から力が抜けた。
心臓が凍るように止まり、目の前の現実が信じられない。
その瞬間、ないこがゆっくり近づいてくる。
顔には無邪気さなどなく、鋭い本能が宿っていた。
体が動かず、逃げる間もなく、視界が暗転し、意識を失った。
意識が戻ると、俺は床に寝ていたことに気づいた。
頭の奥がぼんやりと痛む。視線を上げると、目の前には血まみれのナイフを握ったないこが立っている。
「……ないこ」
視線が合うと、ないこの表情は普段の柔らかい笑顔ではなく、鋭く、どこか楽しげな狂気を帯びていた。
その瞬間、全てを理解した。
――あぁ、これが…本当の、ないこの姿なのか。
『俺…フォークが、だいっきらいなんだよね』
『例えば、こうやって…近づいてくるやつは、絶対に許さない』
ナイフを振り上げ、目がぎらつく。
俺は背筋が凍る。
今まで冗談のように思っていた“ケーキがフォークを嫌う”という話は、現実にこんな形で牙をむくのかと。
「ないこ!」
思わず声を出す。
しかし、ないこの本能的な怒りの前に、ただ動けずに立ち尽くすしかなかった。
『俺は…食べられるの、いやなの..!
フォークは、絶対に許さないんだから』
その言葉に、俺は言葉を失う。
恐怖と衝撃の中で、同時に胸の奥がざわつく。
なのに、このケーキを守りたい、と思ってしまった自分に気づく
300♡